小児ネフローゼ症候群に対する初期治療確立を目指した多施設共同臨床研究と拡大臨床試験体制整備

文献情報

文献番号
200717012A
報告書区分
総括
研究課題名
小児ネフローゼ症候群に対する初期治療確立を目指した多施設共同臨床研究と拡大臨床試験体制整備
課題番号
H19-臨床試験-一般-007
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
吉川 徳茂(和歌山県立医科大学 医学部小児科)
研究分担者(所属機関)
  • 五十嵐 隆(東京大学 医学部)
  • 本田 雅敬(東京都立清瀬小児病院)
  • 飯島 一誠(成育医療センター)
  • 中村 秀文(成育医療センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 医療技術実用化総合研究(臨床試験推進研究)
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
61,970,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 再発と副作用の少ない小児ステロイド感受性ネフローゼ症候群の初期治療法を確立し、多施設臨床試験を通して、腎臓専門医と一般小児科医の参加した小児腎疾患拡大臨床試験ネットワークを構築する。
研究方法
 本研究では仮説「小児ネフローゼ症候群の初期治療として、再発と副作用の面から、国際小児腎臓病研究班の提唱した2ヶ月のプレドニゾロン投与が妥当である」のもとに、わが国の初期治療状況から、プレドニゾロン2ヶ月と6ヶ月投与の比較試験を実施する。
 課題名:初発小児特発性ネフローゼ症候群患者を対象としたプレドニゾロン国際法(2ヶ月投与)と長期投与法(6ヶ月投与)の有効性と安全性の多施設共同オープンランダム化比較試験

結果と考察
 本研究では症例数の確保が重要課題である。症例数確保のために、一般小児科医も参加した拡大臨床試験ネットワークを構築し、参加施設を当初計画の60施設から155施設にふやした。3月1日現在、111施設で倫理委員会の承認を得、34例が試験を開始しており、順調に進んでいる。平成20年度は試験を継続し、登録患者の適格性や有害事象の発生に関してセントラルモニタリングを行い、モニタリングレポートを発行する。監査を実施しプロトコル遵守状況を調査する。試験開始後1年目の10月にはに有効性と安全性について中間解析を行う。患者と親のQOLの評価は、小児QOL評価法としてドイツで開発・確立され、日本語訳も存在するKID-KINDL質問紙を用いて実施する。
 全国多施設の小児腎臓専門医・一般小児科医は、試験計画を実行し、正確なデータを積み重ね、データを解析して評価をする、という実際のプロセスを経て、EBM、臨床試験と治療開発について学習していただく。一般小児科医には、充分な臨床試験の経験を有する小児腎臓専門医が、実施施設を訪問し直接指導する。さらに本研究終了後には、今後本格的に一般小児科医が参加した拡大臨床試験ネットワークを運用していくための問題点や解決方法についての検討を行う。

結論
 初発時の小児ネフローゼ症候群患者の多くは、腎臓専門医でない一般小児科医により治療されるため、一般小児科医も参加した拡大臨床試験ネットワークの構築が必要である。
 平成19年度(初年度)は、研究実施計画書等は完成していたので、各施設の倫理委員会の承認を得て、9月より試験を開始した。3月1日現在、111施設で倫理委員会の承認を得、34例が試験を開始しており、順調に進んでいる。

公開日・更新日

公開日
2008-06-11
更新日
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