小児気管支喘息重症発作に対するイソプロテレノール持続吸入療法の検討:サルブタモール持続吸入を対象とした多施設共同盲検ランダム化比較試験

文献情報

文献番号
200717006A
報告書区分
総括
研究課題名
小児気管支喘息重症発作に対するイソプロテレノール持続吸入療法の検討:サルブタモール持続吸入を対象とした多施設共同盲検ランダム化比較試験
課題番号
H19-臨床試験-一般-001
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
勝沼 俊雄(東京慈恵会医科大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 中村 秀文(国立成育医療センター 治験管理室)
  • 大矢 幸弘(国立成育医療センター アレルギー科)
  • 藤澤 隆夫(国立病院機構三重病院 臨床研究部)
  • 足立 雄一(富山大学 医学部 )
  • 橋本 光司(日本大学 医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 医療技術実用化総合研究(臨床試験推進研究)
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
10,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
小児重症喘息発作患者を対象として、日本国内ガイドラインには採択されているものの十分なエビデンス無く標準化されているイソプロテレノール持続吸入療法(ICIT)の有用性を、国際ガイドラインに採用され世界的に頻用されるサルブタモール持続吸入療法(SAL)と比較する。両治療法をランダムに割り付け、多施設共同二重盲検比較試験を実施し、以下の仮説を検証するための適正なプロトコル作成を行なう。
<仮説>気管支喘息重症発作に対する発作改善効果は、ICITがSALを上回る。
研究方法
患者選択基準:喘息重症発作の患者で、β2刺激薬施行した後に、修正PIスコアで一定基準以上のもの。
治療計画: 入院後、症状の評価を行った後、以下のいずれかの治療を開始する。
A. ICIT + ステロイド静注
B. SAL + ステロイド静注
担当医師は、十分な説明のもと、同意を得、インターネット登録(UMIN)をする。データセンターで登録後、割付番号を発行する。担当医師はオンライン画面で登録・割付番号を確認する。薬液はダブルダミーの形で用意され、二重盲検下に実施する。
主要評価項目は、喘息発作重症度の客観的評価方法の一つである修正PIスコア(mPIS)を採用し、試験治療開始3時間後における基礎値からの改善値とする。副次的評価項目は試験開始12時間後のmPIS改善値、および試験治療開始3時間後の呼吸数低下率とする。
mPISを用いた評価はすでに論文化されているが、本研究においては同一評価者における評価の再現性や、評価者間でのバラツキについて最小化する努力と検証を検証後、本試験を行なう。すなわちDVD(各重症度の発作を記録)等の教材を用いた参加医師・看護師の勉強会を行なった上で、統計的検証を実施する。
なお本研究においては全例で心電図モニターを装着し、注意深く監視する。
結果と考察
2007年度は、プロトコル内容を妥当性、実行可能性等の観点から、臨床、薬理、統計等多面的に逐一議論し、さらにICIT・SAL実行データを基に、最終的評価項目を決定した。その結果、実行可能性の高い適正なプロトコルを作成した。

結論
本試験ではICIT・SAL両持続吸入療法の優劣を決定するため、今回の研究で作成したプロトコルに基づいて二重盲検比較試験を実施する。仮説通りICITがSALに優ると結論できれば、日本発のエビデンスとして世界に示すことができると期待される。また劣っていても、日本のガイドライン再検討のための重要なエビデンスとなる。

公開日・更新日

公開日
2008-04-09
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200717006C

成果

専門的・学術的観点からの成果
2007年6月現在、本試験(盲検ランダム化比較試験)は、未開始である。本試験に入る最後の詰めとして、「喘息発作重症度評価」の妥当性を検証している。さらに、24時間ランダム化を実行するに当たってのweb管理上の問題を審議している。また海外派遣事業による細胞を用いた基礎検討結果より、サルブタモールにはMAPKを介した催炎症効果が示唆されている。
臨床的観点からの成果
「喘息発作重症度評価」の妥当性に関しては、CGと実写ビデオ・DVDによる喘息発作適正評価のための教材を作成中である。現在、参加施設の倫理委員会を通り、喘息発作状況のビデオを収集中である。日本で初の試みであり、本研究以外の公益的目的(喘息ガイドラインの教材)にも使えると期待する。
ガイドライン等の開発
本研究グループには、4人の「小児気管支喘息治療・管理ガイドライン」作成委員が含まれている。本研究により、喘息重症発作の良質なエビデンスが得られれば、直ちにガイドラインに反映されるだろう。
その他行政的観点からの成果
現在のところ、具体的成果はない。しかし、本研究成果が大きな契機となって小児「オフラベル」薬剤使用問題が進展する可能性はある。
その他のインパクト
今現在はまだ学会等での発表がなく、従って社会的な認知・注目は低い。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
0件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2015-05-26
更新日
-