新生児・小児における鎮静薬使用のエビデンスの確立:特にミダゾラムの用法・用量、有効性、安全性の評価

文献情報

文献番号
200717004A
報告書区分
総括
研究課題名
新生児・小児における鎮静薬使用のエビデンスの確立:特にミダゾラムの用法・用量、有効性、安全性の評価
課題番号
H17-小児-一般-004
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
伊藤 裕司(国立成育医療センター周産期診療部新生児科)
研究分担者(所属機関)
  • 梶原 眞人(愛媛県立中央病院総合周産期母子医療センター)
  • 楠田 聡(東京女子医科大学母子総合医療センター新生児学)
  • 五石 圭司(東京大学大学院医学系研究科小児医学講座)
  • 中村 知夫(国立成育医療センター周産期診療部新生児科)
  • 羽鳥 文麿(国立成育医療センター総合診療部救急診療科)
  • 宮坂 勝之(長野県立こども病院)
  • 中村 秀文(国立成育医療センター治験管理室)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 医療技術実用化総合研究(臨床試験推進研究)
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
15,052,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
新生児・小児の集中治療領域では、侵襲の多い治療を行う際の鎮静が神経学的・発達心理学的予後に影響することが指摘され、鎮静の重要性が認識されてきている。しかし、日本では新生児・小児に対する鎮静薬として承認されている薬はなく、使用方法についても確立していない。本研究では、臨床現場での使用頻度が高い鎮静薬であるミダゾラムに関して、文献的検討や臨床試験により、新生児・小児の集中治療領域での、薬物動態、用法・用量、有効性・安全性の評価を行い、有効で安全なミダゾラムの使用法の確立を目的とした。
研究方法
1) 新生児・小児におけるミダゾラムの使用に関する文献調査を行なう。2) 日本における新生児・小児集中治療領域でのミダゾラムの使用実態調査を行う。3) 多施設臨床試験を企画実施し、その薬物動態、用法・用量の評価と、有効性・安全性の確認を行う。
結果と考察
1) 文献的検討:ミダゾラムの鎮静薬として有効性は証明されているが、その副反応・有害事象についての報告もあり、特に新生児・未熟児での用量・用法について十分な検討が必要であり、薬物動態の基礎的なデータの収集・解析が重要である。2) 新生児・小児集中治療での実態調査:新生児・小児集中治療では、人工呼吸時に鎮静を行う施設が80%以上あり、鎮静薬としてはミダゾラムが最も頻用(約80%)されていたが、その使用薬・用法・用量に関しては施設間の較差が大きく早産児では欧米に比して多い用量が使用されていた。有害事象の経験のある施設もあり、安全で有効な用法・用量の設定が必要である。3) 多施設臨床試験:日本でのミダゾラムの使用実態に基づいて、ミダゾラム臨床試験のプロトコールを作成した。ミダゾラムの鎮静効果の評価は点数化して行い、有効率を評価し、ミダゾラムの血中濃度測定によりpopulation PKを予定した。各参加施設での倫理審査の承認を得て、平成18年11月より、臨床試験を開始している。
結論
ミダゾラムに関する文献的検討、使用実態調査に基づき、ミダゾラム多施設臨床試験を企画し開始した。症例登録開始後15ヶ月で新生児症例の70%の登録が終了し、試験を継続中である。2回のモニタリング報告では重症度が高度であった有害事象は白血球減少と血圧低下であったが、いずれも試験薬との因果関係は否定的であった。また、試験薬による重篤な有害事象の出現は認めていない。

公開日・更新日

公開日
2008-04-09
更新日
-

文献情報

文献番号
200717004B
報告書区分
総合
研究課題名
新生児・小児における鎮静薬使用のエビデンスの確立:特にミダゾラムの用法・用量、有効性、安全性の評価
課題番号
H17-小児-一般-004
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
伊藤 裕司(国立成育医療センター周産期診療部新生児科)
研究分担者(所属機関)
  • 梶原 眞人(愛媛県立中央病院総合周産期母子医療センター)
  • 楠田 聡(東京女子医科大学母子総合医療センター新生児学)
  • 五石 圭司(東京大学大学院医学系研究科小児医学講座)
  • 中村 知夫(国立成育医療センター周産期診療部新生児科)
  • 羽鳥 文麿(国立成育医療センター総合診療部救急診療科)
  • 宮坂 勝之(長野県立こども病院)
  • 中村 秀文(国立成育医療センター治験管理室)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 医療技術実用化総合研究(臨床試験推進研究)
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
新生児・小児の集中治療領域では、侵襲の多い治療を行う際の鎮静が神経学的・発達心理学的予後に影響することが指摘され、鎮静の重要性が認識されてきている。しかし、日本では新生児・小児に対する鎮静薬として承認されている薬はなく、使用方法についても確立していない。本研究では、臨床現場での使用頻度が高い鎮静薬であるミダゾラムに関して、文献的検討や臨床試験により、新生児・小児の集中治療領域での、薬物動態、用法・用量、有効性・安全性の評価を行い、有効で安全なミダゾラムの使用法の確立を目的とした。
研究方法
1) 新生児・小児におけるミダゾラムの使用に関する文献調査を行なう。2) 日本における新生児・小児集中治療領域でのミダゾラムの使用実態調査を行う。3) 多施設臨床試験を企画実施し、その薬物動態、用法・用量の評価と、有効性・安全性の確認を行う。
結果と考察
1) 文献的検討:ミダゾラムの鎮静薬として有効性は証明されているが、その副反応・有害事象についての報告もあり、特に新生児・未熟児での用量・用法について十分な検討が必要であり、薬物動態の基礎的なデータの収集・解析が重要である。2) 新生児・小児集中治療での実態調査:新生児・小児集中治療では、人工呼吸時に鎮静を行う施設が80%以上あり、鎮静薬としてはミダゾラムが最も頻用(約80%)されていたが、その使用薬・用法・用量に関しては施設間の較差が大きく早産児では欧米に比して多い用量が使用されていた。有害事象の経験のある施設もあり、安全で有効な用法・用量の設定が必要である。3) 多施設臨床試験:日本でのミダゾラムの使用実態に基づいて、ミダゾラム臨床試験のプロトコールを作成した。ミダゾラムの鎮静効果の評価は点数化して行い、有効率を評価し、ミダゾラムの血中濃度測定によりpopulation PKを予定した。各参加施設での倫理審査の承認を得て、平成18年11月より、臨床試験を開始している。
結論
ミダゾラムに関する文献的検討、使用実態調査に基づき、ミダゾラム多施設臨床試験を企画し開始した。症例登録開始後15ヶ月で新生児症例の70%の登録が終了し、試験を継続中である。2回のモニタリング報告では重症度が高度であった有害事象は白血球減少と血圧低下であったが、いずれも試験薬との因果関係は否定的であった。また、試験薬による重篤な有害事象の出現は認めていない。新生児領域では初めてデータマネージメントを行う質の高い臨床試験を企画・実施できた。

公開日・更新日

公開日
2008-04-09
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200717004C

成果

専門的・学術的観点からの成果
網羅的な文献検索による世界的な既存のデータ収集及び既存のエビデンスの整理を施行した。374の文献から、エビデンスの質の高いものを精選し報告書とし、今後の利用に足るものを作成できた。
新生児の臨床試験においては、欧米での推奨される用量を用いた試験であるために、日本人での同用法・用量でのミダゾラムの有効性・安全性に関するデータと、日本人での薬物動態的なデータを、いずれも初めて得ることができ、国際比較が可能となる。早産児での有効性・安全性と薬理学的データはこれまでほとんど存在せず、非常に貴重である。
臨床的観点からの成果
本邦の新生児・小児集中治療領域に於けるミダゾラム使用に関する実態調査(アンケート調査)では、新生児領域においては、欧米で推奨される用量よりも多い量が使用されており、かつ、副作用の出現も認めていることが判明した。この結果に関しては、日本周産期・新生児医学会で報告し、現場の医師に注意を促した。
新生児の臨床試験の結果は、ミダゾラムの適正な用法・用量を提示するための有用なデータとなり、臨床現場に、適正な用量を啓蒙し、高用量に起因する有害事象を避けることが可能になる。
ガイドライン等の開発
今後の鎮静薬の適正な使用法に関しての指針作成の基礎データを作成できたと思われる。
その他行政的観点からの成果
新生児の臨床試験の結果は、関連学会で発表し、論文として発表する予定である。この臨床試験で、本邦の新生児に於けるミダゾラムの有効性と安全性が証明されれば、製薬企業側も本邦での新生児への適応拡大の申請を検討する準備があるようである。この臨床試験で得られる本邦の新生児に於ける母集団薬物動態解析のデータは、貴重なデータとしてミダゾラムの添付文書に反映されることが期待される。
 今回確立した質の高い臨床試験のインフラを、新生児医療領域での他の臨床試験に応用し、研究者に広く流布していくことが可能と考える。
その他のインパクト
医学新聞「Medical Tribune」紙に研究の内容が掲載され、この研究の内容が、医学関連者に広く知られるようになった。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
8件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
10件
学会発表(国際学会等)
2件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2015-05-26
更新日
-