医療技術実用化総合研究事業(基礎研究成果の臨床応用推進研究)の企画と評価に関する研究

文献情報

文献番号
200716015A
報告書区分
総括
研究課題名
医療技術実用化総合研究事業(基礎研究成果の臨床応用推進研究)の企画と評価に関する研究
課題番号
H19-トランス-一般-006
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
渡辺 敏(財団法人医療機器センター)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 医療技術実用化総合研究(基礎研究成果の臨床応用推進研究)
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
11,200,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
競争的資金制度においては、優秀な研究の絞り込み作業(事前評価)に重点をおく必要があり、その結果、事後の研究成果を著しく向上させることが期待できる。このような概念を導入した本研究は、基礎研究成果の臨床応用推進研究事業における事前評価を適切かつ効率的に行うため、欧米で実施されているピアレビュー制度の導入を目的としたものである。
研究方法
米国NIHのピアレビュー方式を調査すると共に、事前評価委員会の効率的かつ効果的な評価を支援するため評価支援WGを組織し、ピアレビューをトランスレーショナルリサーチ分野及び再生医療分野において試行した。
結果と考察
1)米国NIHのピアレビュープロセスの自己検討状況;NIHのピアレビューシステムはこれまで、科学的主体性を最もよく保証するものとして国際的に採用されてきた。しかし、現代の研究の広がり、複雑さおよび学際的な性質が増加しつつあることから、生物医学的・行動科学的研究を支援するためにNIHによって用いられるシステムに対し、また研究活動の土台であるピアレビューに対して新たな課題が創出されている。科学的展望と公衆衛生上の展望は発展し続けるものであるため、科学を支援するために用いられる評価プロセスは公正で、効率的かつ効果的なものである必要があるとNIHは認識しており、「Peer Review Self-study」と題した自己検討研究を行っており、2008年2月にFinal Draftを発表している。これによれば、NIHとそのすべての利害関係者に7つの主要な課題(challenge)とそれに関連した目標(goal)、およびその目標に向けて提言される対策(recommended action)が指摘された。2)ピアレビュー方式;応募事業における優先性、研究の新規性・独創性、その目標、方法論、実行力という独立した5つの評価事項により、試行的ピアレビューを行った。1課題に対し4名のピアレビュアーの評点結果とコメントを整理した評価支援資料を作成した。本研究により、ピアレビュー制度の導入と試験的実施という目標を概ね達成することができた。
結論
基礎研究成果の臨床応用推進研究の事前評価を適切かつ効率的に行う最適モデルの構築のため、欧米で実施されているピアレビューの在り方の検討を行った。今後は本方式に修正を加え、ピアレビューを定着させることに努める。

公開日・更新日

公開日
2008-04-15
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2008-12-16
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200716015C

成果

専門的・学術的観点からの成果
世界最高水準の研究成果の創出には、意欲ある研究者の優れた提案に基づいて実施される研究を採択する必要がある。特に、競争的資金制度においては、限られた研究資源を有効活用するため、優秀な研究の絞り込みに作業(事前評価)に重点をおく必要があり、その結果、事後の研究成果を著しく向上させることが期待できる。その意味から本研究の専門的・学術的成果は高いと考える。同時に米国NIHのピアレビュープロセスの自己点検状況について調査を行ったことで、事前評価制度のより本質的な課題も明らかにしている。
臨床的観点からの成果
画期的かつ優れた治療法の確立を目指し、我が国で生み出された基礎研究の成果を臨床現場で適切に応用する探索的臨床研究(トランスレーショナルリサーチ)は、国民に有益な医薬品・医療技術等を提供する意味からも国家的支援政策として必要であり、本分野において、新たな事前評価の在り方を示した点は評価できる。
ガイドライン等の開発
事前評価のスクリーニング作業としてピアレビューの導入を提案し、実施手順を示した。
その他行政的観点からの成果
厚生労働科学研究費補助金;基礎研究成果の臨床応用推進研究事業の採択プロセスにおいて本研究で作成した評価支援資料が参考資料として用いられ、事前評価委員会の作業負担の軽減に貢献した。また、再生医療実用化研究事業にも応用展開したことで、競争的資金における公正で効果的かつ効率的な事前評価作業に広く貢献した。
その他のインパクト
本研究では、基礎研究成果の臨床応用推進研究を中心としてモデルケースとして、試行的ピアレビューを行った後、再生医療実用化研究事業にも応用展開したことで、汎用性の高い評価システム確立の道筋が見えたと考えられる。必要な修正の後に厚生労働科学研究全体で採用すれば、我が国の厚生労働科学の全体的底上げと発展に大きく寄与するものと考える。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
0件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2015-05-26
更新日
-