咽頭冷却による選択的脳冷却法の臨床応用を目的とした研究

文献情報

文献番号
200716014A
報告書区分
総括
研究課題名
咽頭冷却による選択的脳冷却法の臨床応用を目的とした研究
課題番号
H19-トランス-一般-005
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
武田 吉正(岡山大学医学部歯学部附属病院)
研究分担者(所属機関)
  • 森田 潔(岡山大学大学院医歯薬学総合研究科)
  • 小林 武治(大研医器株式会社)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 医療技術実用化総合研究(基礎研究成果の臨床応用推進研究)
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
33,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
日本全国で1年間に9万5千人以上に心肺蘇生が施行されているが、社会復帰率は極めて低い。脳低温療法は心停止蘇生後の神経学的予後改善に対する有効性が確認されている唯一の治療法である。咽頭冷却は選択的脳冷却なので分単位で脳の冷却が可能であり、神経学的予後を改善する効果が期待される。また、全身に対する悪影響が無く、救急外来等の施設で施行可能である。本研究は、咽頭冷却カフ及び冷却水潅流装置を作成し、解剖学液構造がヒトに近似したニホンザルを用いて実証試験を行い、臨床応用を目指した臨床研究や臨床評価を行うことを目的としている。
研究方法
咽頭冷却カフと冷却水潅流装置に分けて研究開発を行った。
<咽頭冷却カフ>
咽頭冷却カフを潅流する冷却水の至適潅流速度、至適潅流圧を求めた。研究には咽頭の解剖学的構造が人と近似しているニホンザルを用い、全身麻酔下に研究を施行した。
<冷却水潅流装置>
1.咽頭冷却カフ内圧を一定に保つ必要がある。送液ポンプの配置によるカフ内圧影響を検討しポンプユニットの開発を行った。
2.冷却水を急速に5℃に低下させ、維持する必要がある。熱交換ユニットの開発を行った。
3.カフから冷却水がリークすることを防ぐため、リーク検出ユニットの開発を行った。
結果と考察
<咽頭冷却カフ>
潅流速度は脳温の低下幅に影響を与え、潅流圧は脳温の低下速度に影響を与えた。至適な潅流条件は500ml/分、40mmHgと考えられた。冷却水潅流時にニホンザルの心拍数に変化を認めなかった。このことは、咽頭冷却が極めて非侵襲的で、循環系に対する影響が少ないことを示している。
<冷却水潅流装置>
1.送液ポンプを咽頭冷却カフの前後に配置することで、カフ内圧のコントロールが可能であった。
2.320W以上のペルチェモジュールを用い、デューティ比を変化させることにより冷却水の温度制御が可能であった。
3.10-1000Hzの電気抵抗、電気容量の測定により、極めて小さいピンホールの検出が可能であった。
結論
咽頭冷却カフに関しては動物を用いた実証試験により、至適潅流圧と至適潅流速度が決定された。冷却水潅流装置に関しては、送液ユニット、熱交換ユニット、リーク検出ユニットの開発を行った。来年度は、ユニットを統合してコントロールする制御プログラムを開発し、早期の実用化を目指す。

公開日・更新日

公開日
2008-04-07
更新日
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