経鼻粘膜投与型インフルエンザワクチンの臨床応用に関する研究

文献情報

文献番号
200716011A
報告書区分
総括
研究課題名
経鼻粘膜投与型インフルエンザワクチンの臨床応用に関する研究
課題番号
H19-トランス-一般-002
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
長谷川 秀樹(国立感染症研究所感染病理部)
研究分担者(所属機関)
  • 田代 眞人(国立感染症研究所ウイルス第3部)
  • 喜田 宏(北海道大学獣医学部)
  • 真鍋 貞夫(財団法人阪大微生物研究会観音寺研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 医療技術実用化総合研究(基礎研究成果の臨床応用推進研究)
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
80,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では新型インフルエンザにも対応でき更に、変異ウイルスによって毎年繰り返される流行予防に寄与する広い交叉防御能をもつ経鼻粘膜投与型のインフルエンザワクチンの実用化に向け、製剤の決定、投与方法を決定する事を目的とする。
研究方法
合成二本鎖RNAPoly I: Poly C12U (Ampligen) を粘膜アジュバントに用いた不活化H5N1インフルエンザワクチンの感染防御能と交叉防御能及び粘膜投与時の安全性を動物モデルで調べる。また流行動向、抗原解析、遺伝子解析等に基づきワクチン株の選定を行う。WHO世界インフルエンザ計画と協力して、世界各地で分離されたウイルス株について新型インフルエンザとして出現が危惧されるウイルス株に対するプロトタイプワクチン株の選定を行った。また交叉防御を考慮したあらゆる亜型のワクチン候補株になりうる様々な亜型のウイルス株の遺伝子を解析し系統保存した。
結果と考察
ヒトでの安全性がすでに証明されている合成二本鎖RNAを粘膜アジュバントに用い、高病原性鳥インフルエンザ(H5N1)ワクチン及びシーズナルインフルエンザワクチンで感染防御に有効な粘膜免疫誘導が証明され、cladeの異なるH5N1ウイルスに対して高い交叉防御効果を示した。ワクチン株の選定には平成19年度(2007/08シーズン)に向けたインフルエンザワクチン株は、A/ソロモン諸島/3/2006 (H1N1)、A/広島/52/2005 (H3N2)、B/マレーシア/2506/2004に決定した。また交叉防御を期待したワクチン候補株としての系統保存では16のHA亜型と9のNA亜型の組み合わせ144通りのうち、136通りがワクチンおよび診断に利用できるウイルス株として系統保存された。
結論
新型インフルエンザに対応した経鼻投与型インフルエンザワクチンの臨床応用に向け感染防御効果、交叉防御効果が示され、シーズナル、新型それぞれに対応したワクチン候補株の選定を行った。またほぼ全ての亜型の系統保存も終了し臨床応用に向けた準備が整いつつある。

公開日・更新日

公開日
2008-04-03
更新日
-