国産新規ウイルスベクターを用いた重症虚血肢に対する新GCP準拠遺伝子治療臨床研究

文献情報

文献番号
200716007A
報告書区分
総括
研究課題名
国産新規ウイルスベクターを用いた重症虚血肢に対する新GCP準拠遺伝子治療臨床研究
課題番号
H18-トランス-一般-002
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
米満 吉和(九州大学大学院医学研究院消化器・総合外科学遺伝子治療臨床研究準備室)
研究分担者(所属機関)
  • 中西 洋一(九州大学大学院医学研究院呼吸器内科学・九州大学病院高度先進医療センター)
  • 伊東 啓行(九州大学大学院医学研究院消化器・総合外科学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 医療技術実用化総合研究(基礎研究成果の臨床応用推進研究)
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
56,460,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 本研究は、全く新しい概念に基づく国産新規ウイルスベクター(組換えセンダイウイルス:SeV)による、慢性動脈閉塞症(重症虚血肢)に対するPhase I・IIa相臨床研究であり、具体的に以下を目的とする。
1.国産ウイルスベクターSeVの臨床上の安全性の確認
2.効果を示すと考えられる用量の確認 
3.新GCP準拠臨床研究による第I・II相臨床データの集積

 本遺伝子治療臨床研究は、12例を対象とし3年で完了する。その後は企業主導の後期相治験へ移行し、製剤化を目指す。
研究方法
 臨床研究はオープンラベル、用量漸増式試験であり、第I、IIa相に相当する。4段階の投与量を設定、投与後1ヶ月の経過観察において3人の患者に問題がないことを確認後、第三者委員会の判定によりステージアップする。
結果と考察
 2008年3月現在、6例(第1ステージ:3例、第2ステージ:3例)への投与が終了し、第3ステージアップ前の観察期間でる。
 第1ステージでは45件の有害事象を認めたが、うち43件はGrade1であった。重篤な有害事象として登録番号103(1件:下腿切断)、同105(重複2件:趾切断)が登録され、この2症例は速やかに厚生科学審議会へ報告された。第三者委員会にて因果関係は否定できないものの、科学的・医学的見地から原疾患の増悪と判断され、臨床研究の継続は可とされた。第2ステージではGrade1の有害事象が2件、登録番号201に検出されているが、いずれも投与前のものであり因果関係は無い。
 登録番号102(第1ステージ)は投与後安静時疼痛の軽減に加え、歩行距離が約2倍に延長、20ヶ月経過後も維持されている。登録番号201(第2ステージ)は投与後4ヶ月で安静時疼痛の消失、トレッドミル試験で完走する状態に改善した。本症例では趾尖脈波が認められるようになった。同203、204も投与後安静時疼痛の軽減、歩行距離の延長を認めているが、現在観察期間中である。
結論
 第1、第2ステージとも、臨床研究薬に直接起因する有害事象は検出されておらず、このベクター量は耐容量であり、手技的にも安全に施行可能であることが明らかになった。
 一部の効能評価項目で症状の改善が見られていることから、今後増量により、より薬効が明確になると期待される。

公開日・更新日

公開日
2008-06-11
更新日
-