文献情報
文献番号
200716002A
報告書区分
総括
研究課題名
アディポネクチンを標的にした糖尿病・メタボリック症候群の新規診断法・治療法の臨床応用
課題番号
H17-トランス-一般-003
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
門脇 孝(東京大学医学部附属病院糖尿病・代謝内科)
研究分担者(所属機関)
- 山内敏正(東京大学医学部附属病院糖尿病・代謝内科 )
- 戸辺一之(富山大学附属病院内科学(1))
- 原 一雄(東京大学医学部附属病院糖尿病・代謝内科 )
- 堀越桃子(東京大学医学部附属病院糖尿病・代謝内科 )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 医療技術実用化総合研究(基礎研究成果の臨床応用推進研究)
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
26,790,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
糖尿病・メタボリックシンドロームはわが国の高齢者における主要な疾患であり、心筋梗塞・脳卒中のリスク増大を介して日本人の健康寿命を短縮する最大の原因となっているため、分子メカニズムに立脚した革新的診断法を開発し臨床応用することが急務である。平成19年度は、本研究によって開発されたアディポネクチン分画測定法を実際の日常臨床に応用するための臨床試験を実施した。
研究方法
本研究で開発したアディポネクチン分画測定法について臨床試験DI-6101を(株)第一化学と共同で実施し、血中アディポネクチン分画と、①グルコースクランプ法による正確なインスリン抵抗性指標との相関、② MRSによって評価される骨格筋・肝臓中性脂肪含有量との相関、③ 内臓脂肪蓄積量との相関について検討した。
結果と考察
①グルコースクランプ法によるインスリン抵抗性指標と血中アディポネクチン分画との相関:主に骨格筋におけるインスリン抵抗性を評価するグルコースクランプ法でのGIR (glucose infusion rate)と高分子量アディポネクチンとの相関は傾向に留まった。② MRSによって評価される骨格筋・肝臓中性脂肪含有量と血中アディポネクチン分画との相関: 高分子量アディポネクチンとMRSで得られた肝臓における脂肪含量は有意に相関したのに対して骨格筋における脂肪含量とは相関を認めなかった。①と②の結果は、我々のモデル動物における検討でアディポネクチンが肝臓における脂肪含量を低下させることによってインスリン抵抗性を改善するというデータと良く合致していると考えられ、アディポネクチンは肝臓におけるインスリン抵抗性という病態を良く評価することが明らかになった。③ 内臓脂肪蓄積量・メタボリックシンドロームとの関係:高分子量アディポネクチンは男女ともに内臓脂肪面積と良く相関し、アディポネクチン分画測定法がメタボリックシンドロームの基礎的病態である内臓脂肪蓄積を良く反映したバイオマーカーであることが確認された。
結論
アディポネクチン分画測定法が糖尿病・メタボリックシンドロームの病態診断に有用であることが明らかとなった。
公開日・更新日
公開日
2008-06-11
更新日
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