体外培養の増幅血管内皮前駆細胞移植による虚血性疾患治療に関する基礎・臨床研究

文献情報

文献番号
200716001A
報告書区分
総括
研究課題名
体外培養の増幅血管内皮前駆細胞移植による虚血性疾患治療に関する基礎・臨床研究
課題番号
H17-トランス-一般-002
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
浅原 孝之(先端医療振興財団)
研究分担者(所属機関)
  • 川本 篤彦(先端医療振興財団 血管再生研究グループ)
  • 増田 治史(東海大学 基盤診療学系 再生医療科学)
  • 村澤 聡(先端医療振興財団 血管再生研究グループ)
  • 西村 浩美(先端医療振興財団 血管再生研究グループ)
  • 川真田 伸(先端医療振興財団 先端医療センター 研究所)
  • 木原 康樹(神戸市立中央市民病院 循環器内科)
  • 福島 雅典(先端医療振興財団 臨床研究情報センター 研究部門)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 医療技術実用化総合研究(基礎研究成果の臨床応用推進研究)
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
34,160,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
臨床試験に向けた最終的な培養システムの確立と、CPCの手順書作製、臨床研究プロトコールの作製を目的とした。
研究方法
1)血管内皮前駆細胞(EPC)の培養・増幅・分化誘導技術の確立
東海大学部門において、増田は基本培養技術の最終改良開発を行った。
先端医療センター部門では、西村らによって、増幅培養EPCの臨床的な検討が進められた。
2)増幅EPCの心筋・下肢虚血組織への移植治療技術の開発
先端医療センターおよび神戸中央市民病院部門では、川本・木原らによって最終的な細胞移植技術検討としてヌードマウス下肢虚血モデルに対するヒト末梢血EPC(CD34+細胞)の移植実験を実施した。
3)Cell processing center (CPC)における細胞加工技術の確立
先端医療センター部門で、村澤・川真田らによって、臨床研究実施のため、Cell Processing Center (CPC)における標準作業手順書の作製を進めた。
4)慢性重症下肢/心筋虚血患者に対する増幅EPC移植による再生医療に関する臨床試験プロジェクトのプロトコル企画・制作
川本・福島らによって、臨床研究のプロトコル企画・作製も進められた。
結果と考察
増田・西村らの研究により、hflt-3, hVEGF, hSCF, hTPO, hIL-6を含有する無血清培地において、ヒト末梢血由来CD34陽性細胞を5%酸素条件下で培養すると、臨床的条件に最も適した細胞を採取できると判断された。
川本・木原らによる研究で、上記培養細胞の下肢虚血・心筋虚血疾患への血管再生治療の有効性が示唆された。また、細胞の安全性の面も確認できた。
村澤・川真田らによって、CPCにおける細胞加工のための標準作業手順書作製が終了した。製造管理者・品質管理者の選定も終了し、川本らによる臨床プロトコルの作製と共に、臨床研究の申請段階に入ることが可能になった。
結論
臨床試験での使用が想定される末梢血由来CD34陽性細胞を用いて、無血清培養下での血管内皮前駆細胞分画の分化・増幅誘導を目指した体外培養法が完成した。細胞の質及び量は十分であり、安全性及び有効性は前臨床試験的に確認された。CPCの標準手順書、臨床試験全体のプロトコルの作成は予想以上に作業が難航したがほぼ終了し、臨床研究として医療応用に一歩近づける事が出来たと考える。

公開日・更新日

公開日
2008-04-11
更新日
-

文献情報

文献番号
200716001B
報告書区分
総合
研究課題名
体外培養の増幅血管内皮前駆細胞移植による虚血性疾患治療に関する基礎・臨床研究
課題番号
H17-トランス-一般-002
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
浅原 孝之(先端医療振興財団)
研究分担者(所属機関)
  • 川本 篤彦(先端医療センター 血管再生研究グループ)
  • 増田 治史(東海大学医学部 再生医療科学)
  • 村澤 聡(先端医療センター 血管再生研究グループ)
  • 西村 浩美(先端医療センター 血管再生研究グループ)
  • 岩畔 英樹(東海大学医学部 再生医療科学)
  • 木原 康樹(神戸中央市民病院)
  • 川真田 伸(先端医療センター 研究所)
  • 福島 雅典(臨床研究情報センター 研究部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 医療技術実用化総合研究(基礎研究成果の臨床応用推進研究)
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
EPCを体外で培養増幅し、数・質の改善を図った上で移植治療する臨床研究の確立を目指す。
研究方法
(1) EPC体外培養増幅技術の確立
より効果的な血管内皮前駆細胞増殖法をまずin vitroで確立した。
(2) 培養細胞移植の技術開発
培養細胞の移植方法・移植細胞数の検討などを前臨床試験として進めた。下肢虚血性疾患・心筋梗塞モデルなどの動物実験で確認した。
(3) CPCでのEPC培養加工技術の確立
CPCを用いた治療用の細胞の製造が可能となる施設の要件を記した衛生管理基準書とその付随標準作業手順書(SOP)、製造に関する要件を記した製造管理基準書とその付随SOP、と品質管理に関する品質管理基準書とその付随SOPなどの管理文書類を作成し、今後の細胞製剤製造手順の手引き書作製した。
(4) 培養細胞移植の臨床プロトコールの企画・推進
従来および本研究データに基づいた下肢虚血性疾患、続いて虚血性心疾患の臨床プロトコールの作製を計画した。
結果と考察
(1) EPC体外培養増幅技術の確立
臍帯血あるいは骨髄・末梢血CD34陽性細胞あるいはCD133陽性細胞を用いて、培養条件を広く検索した結果、hflt-3, hVEGF, hSCF, hTPO, hIL-6無血清培地に、5%低酸素条件を組み合わせると、培養細胞中の血管内皮前駆細胞(EPC)の量・質を適切に保てることが判明した。このin vitroの結果は、動物実験で下肢虚血・心筋虚血モデルで血管再生治療効果として判定された。
(2) 培養細胞移植の技術開発
ヌードマウス下肢虚血モデルに対するヒト末梢血EPCの移植実験の結果、培養増幅後のEPC、特に高用量群で血流改善効果が顕著であった。静脈投与による治療の効果も確認できた。
(3) CPCでのEPC培養加工技術の確立
EPCの細胞培養を通じて下記のCPC製造・品質・衛生管理文書類が策定された。
(4) 培養細胞移植の臨床プロトコールの企画・推進
CPCを使用した細胞培養増幅が必須であるため、それに対応した製品標準書・製造管理基準書・衛生管理基準書・品質管理基準書などの作成が行われ、臨床研究プロトコールの基礎となった。

結論
臨床と同じ末梢血由来EPCで無血清培養による分化・増幅法による移植細胞の体外培養法が完成した。細胞の質及び量は十分であり、安全性及び効果性は前臨床試験的に確認された。CPCの標準手順書、臨床試験全体のプロトコールの作成は予想以上に作業が難航したがほぼ終了し、臨床研究として医療応用に一歩近づける事が出来たと考える。

公開日・更新日

公開日
2008-04-11
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200716001C

成果

専門的・学術的観点からの成果
血管再生治療のための血管内皮前駆細胞を増幅させ移植する事が可能になった。幹細胞・前駆細胞の培養をコントロールすることは、細胞生物学研究としての価値も高いと考える。
臨床的観点からの成果
血管再生治療のための患者の血管内皮前駆細胞の数をコントロールすることにより、臨床的により多くの患者さんに、より効果的に治療が可能になる。
ガイドライン等の開発
幹細胞・前駆細胞の細胞治療のあり方を問うために、無血清・合成因子組成の培地を開発した。ガイドラインの範囲で、現実的な治療が可能なことを示す題材になると考える。
その他行政的観点からの成果
GMPレベルのcell processing centerで細胞培養を進め、臨床研究を遂行することは、行政的な観点で適切な臨床研究を展開できていると考える。
その他のインパクト
NHK、フジテレビ、などのテレビ取材、日経新聞、朝日・読売などの新聞社からの取材をうけ、臨床研究・前臨床研究の重要性をアピールしている。

発表件数

原著論文(和文)
4件
原著論文(英文等)
18件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
10件
学会発表(国際学会等)
15件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計3件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2015-05-26
更新日
-