小児の臨床研究推進に必要な人材育成と環境整備のための教育プログラム作成

文献情報

文献番号
200715018A
報告書区分
総括
研究課題名
小児の臨床研究推進に必要な人材育成と環境整備のための教育プログラム作成
課題番号
H18-臨研(教育)-若手-003
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
中川 雅生(滋賀医科大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 竹内 義博(滋賀医科大学 医学部 )
  • 大野 雅樹(京都女子大学 発達教育学部)
  • 大森 崇(京都大学大学院医学研究科社会健康医学系 医療統計学)
  • 土田 尚(国立成育医療センター 総合診療部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 医療技術実用化総合研究(臨床研究基盤整備推進研究)
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
16,501,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
小児の臨床研究を推進するため、臨床研究に精通した医師や治験コーディネーター(CRC)等の人材育成と環境整備に向けた教育プログラム作成を目的として研究を企画した。
研究方法
滋賀医科大学の医学生に臨床研究に関する基礎知識、医薬品の開発と承認について講義し、次いで治験の意義と医師の役割、臨床研究における倫理性と科学的信頼性の重要さを理解させることを目的に、治験支援部門での臨床実習を開始した。また、医学生が臨床試験における生物統計学を理解できるような実習教材を試作した。滋賀県下の小児科医に小児における医薬品適応外使用の現状と問題点を解説し、それが臨床研究に対する意識を高めるかを検討するため、3つの臨床試験を企画、参加の意思を確認した。小児を専門とするCRC育成に向け、滋賀医科大学の2名のCRCを小児科学の聴講生とし、講義の知識が小児治験を支援する上で有用か検討した。小児の治験参加に抑制的な因子を抽出するため、医療機関及び教育機関において小児と保護者を対象に、小児が治験に参加することについてアンケート調査を行った。
結果と考察
治験の臨床実習に対し、「講義だけでは漠然としていた治験のイメージが具体化され、その重要性と必要性が認識できた」という感想が多く、医学生が臨床研究を理解し、親近感を抱く上で効果があると評価できた。小児に処方された医薬品の6割が適応外であったこと、適応外使用に伴う患者や医師の不利益、診療報酬上の問題等の情報提供は、小児科医の臨床試験への参加意欲を高めたことから、継続的な情報提供と啓発が必要と考えられた。CRCが講義から得た知識は、被験者の発達段階を考慮した対応を可能とし、プロトコルで求められる検査や評価法を理解する上で有用であったことが示された。小児治験に関するアンケートでは総計3,185名から回答が得られ、参加意思には治験の認知度と小児の年齢が重要な因子であったことから、低年齢の小児とその保護者を対象とした治験の啓発と介入が必要と考えられた。
結論
臨床研究に精通した医師の育成には、医学生から継続してレベルに応じた臨床研究の教育を受けられるプログラムの提供が必要で、そのために文部科学省と厚生労働省の有機的な連携が重要と考えられた。小児を専門とするCRC育成には、聴講生等、系統的に小児科学の知識を得る機会を備えた教育プログラムの構築が有効と考えられた。

公開日・更新日

公開日
2008-03-19
更新日
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