心血管疾患のハイリスク患者スクリーニングのための新たな診断システムの構築とその臨床応用

文献情報

文献番号
200715008A
報告書区分
総括
研究課題名
心血管疾患のハイリスク患者スクリーニングのための新たな診断システムの構築とその臨床応用
課題番号
H17-チーム(生活心筋)-若手-001
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
北 徹(京都大学大学院医学研究科 循環器内科)
研究分担者(所属機関)
-
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 医療技術実用化総合研究(臨床研究基盤整備推進研究)
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
40,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2008-12-16
更新日
-

文献情報

文献番号
200715008B
報告書区分
総合
研究課題名
心血管疾患のハイリスク患者スクリーニングのための新たな診断システムの構築とその臨床応用
課題番号
H17-チーム(生活心筋)-若手-001
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
北 徹(京都大学大学院医学研究科 循環器内科)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 医療技術実用化総合研究(臨床研究基盤整備推進研究)
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
我々は食事療法や運動療法により種々のメタボリック症候群関連指標がどのように改善するかを明らかにすべく前向き研究を施行した。この研究の実施を支援し、その実践を通して、臨床研究に習熟する人材を育成することを目的として臨床研究実施チームは形成された。
研究方法
メタボリック症候群患者に運動(1日1万歩)・食事療法(理想体重×25kcal)による介入を行い、体重・ウエスト周囲径や血圧、血液データの変化を検討した。
結果と考察
京都大学を含む数大学でメタボリック症候群を有する外来通院患者を対象に食事療法・運動療法の介入を行った。京都大学で33例が登録され、プロトコールを完遂した解析対象症例数は26例であった。全体では97名を解析した。両者を達成した症例は25%にとどまった。大学病院外来において栄養士による栄養指導と医師による運動指導を行ったにもかかわらず、両者を達成したのは約25%にとどまり生活習慣の改善の困難さが認められた。体重、ウエスト周囲径、総コレステロールや高感度CRP等は有意に低下し、HDLコレステロールは有意に上昇した。メタボリック症候群に対する治療法としては食事療法(理想体重×25kcal)、運動療法(1日1万歩)を3ヶ月から6ヶ月継続することにより、メタボリック症候群の改善効果が得られることが実証された。
さて、メタボリック症候群の研究では、研究立案の段階から、京大病院における症例登録、さらにデータ解析まで本臨床研究実施チームが深く関わり、支援を行ってきた。臨床研究では、病院における症例の流れをスムーズに行うことが実際に運用する場合重要であるが、その具体的な方法の作成や、データベース作成等は本臨床研究実施チームが主体的に行った。本研究が3年間順調に行われたことは実施チームの成果といえよう。また、本臨床研究実施チームにおいてそれぞれの若手医師および研究協力者は、本メタボリック症候群の研究を通じ、臨床研究の具体的な進行を経験し、習熟した。今後、多くの臨床研究で今回の経験を生かし、活躍するであろうと思われる。
結論
メタボリック症候群患者に対する食事、運動療法の有効性を実証した。臨床研究実施チームのメンバーはこの研究の支援を通じ、臨床研究実施者として成長した。

公開日・更新日

公開日
2008-06-11
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2008-12-16
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200715008C

成果

専門的・学術的観点からの成果
メタボリック症候群の診断基準は2005年に作成されたが、今回はメタボリック症候群に関する疫学調査を含め、その病態に関する様々な解析を本研究班において行った。従って、診断基準が改訂された場合にはその基礎資料として活用されると考えられる。また、メタボリック症候群に対する介入方法は、平成20年4月から開始される特定健診における保健指導での活用が期待できる。
臨床的観点からの成果
心血管イベント発症に関してハイリスクと考えられているメタボリック症候群に関して、その発症予測、病態解析、診断基準に関する検討及び治療介入に関する研究を行った。メタボリック症候群は平成20年4月からの特定健診においても重点的な予防の対象となっており、メタボリック症候群患者に対する標準指導法を確立していくうえで重要なデータを得た。
ガイドライン等の開発
特記事項なし。
その他行政的観点からの成果
臨床研究実施チームでは臨床研究を推進できる若手医師、研究協力者を養成することもひとつの目的であるが、本研究を実践することにより、実力をつけ、今後多くの臨床研究を推進すると考えられる。
その他のインパクト
実際、チームメンバーの幾人かは、臨床研究を推進する位置につき、実践している。京大病院内で、臨床治験・開発を担当する助教に採用された若手医師や心臓リハビリテーションの研究に邁進する医師、さらに、多くの研究協力者は、この研究での経験を生かし、現在も何らかの臨床研究支援者として活躍している。

発表件数

原著論文(和文)
24件
原著論文(英文等)
64件
その他論文(和文)
30件
その他論文(英文等)
2件
学会発表(国内学会)
136件
学会発表(国際学会等)
69件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計2件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
Okauchi Y, Nishizawa H, Funahashi T, et al.
Reduction of visceral fat is associated with decrease in the number of metabolic risk factors in Japanese men.
Diabetes Care  (2007)
原著論文2
Tamura T, Furukawa Y, Taniguchi R, et al.
Serum adiponectin level as an independent predictor of mortality in patients with congestive heart failure.
Circ J  (2007)
原著論文3
Arai H, Yamamoto A, Matsuzawa Y, et al.
Prevalence of metabolic syndrome in the general Japanese population in 2000.
J Atheroscler Thromb  (2006)
原著論文4
Okura T, Nakata Y, Ohkawara K, et al.
Effects of aerobic exercise on metabolic syndrome improvement in response to weight reduction.
Obesity  (2007)
原著論文5
Nakamura K, Okamura T, Hayakawa T, et al.
The proportion of individuals with alcohol-induced hypertension among total hypertensives in a general Japanese population: NIPPON DATA90.
Hypertens Res  (2007)
原著論文6
Hozawa A, Okamura T, Kadowaki T, et al.
Is weak association between cigarette smoking and cardiovascular disease mortality observed in Japan explained by low total cholesterol? NIPPON DATA80.
Int J Epidemiol  (2007)
原著論文7
Nakamura K, Okamura T, Hayakawa T,et al.
The proportion of individuals with obesity-induced hypertension among total hypertensives in a general Japanese population: NIPPON DATA80, 90.
Eur J Epidemiol  (2007)
原著論文8
Okamura T, Nakamura K, Kanda H, et al.
Effect of combined cardiovascular risk factors on individual and population medical expenditures: a 10-year cohort study of national health insurance in a Japanese population.
Circ J  (2007)
原著論文9
Arai H, Yamamoto A, Matsuzawa Y, et al.
Polymorphisms of apolipoprotein E and methylenetetrahydrofolate reductase in the Japanese population.
J Atheroscler Thromb  (2007)
原著論文10
Nakata Y, Ohkawara K, Lee DJ, et al.
Effects of additional resistance training during diet-induced weight loss on bone mineral density in overweight premenopausal women.
J Bone Miner Metab  (2008)
原著論文11
Takeno T, Yasuda S, Otsuka Y, et al.
The Impact of Metabolic Syndrome on the Long Term Survival in Patients with Acute Myocardial Infarction: a potential assoaciation with C-Reactive Protein.
Circ J  (2008)
原著論文12
Shigematsu R, Okura T, Nakagaichi M, et al.
Square-stepping exercise and fall risk factors in older adults: A single-blind randomized controlled trial.
J Gerontol A Biol Sci Med Sci  (2008)
原著論文13
Matsuo T, Okura T, Nakata Y, et al.
The influence of physical activity-induced energy expenditure on the variance in body weight change among individuals during a diet intervention.
Obesity Research & Clinical Practice  (2007)
原著論文14
Numao S, Hayashi Y, Katayama Y, et al.
Plasma fat concentration increases in visceral fat obese men during high-intensity endurance exercise.
Obesity Research & Clinical Practice  (2007)
原著論文15
Okura T, Nakata Y, Ohkawara K, et al.
Effect of weight reduction on concentration of plasma total homocysteine in obese Japanese men.
Obesity Research & Clinical Practice  (2007)
原著論文16
Okura T, Nakata Y, Ohkawara K, et al.
Effect of aerobic exercise on metabolic syndrome improvement in response to weight reduction.
Obesity  (2007)
原著論文17
Schwingel A, Nakata Y, Ito LS, et al.
A comparison of the prevalence of the metabolic syndrome and its components among native Japanese and Japanese Brazilians residing in Japan and Brazil.
Eur J Cardiovasc Prev Rehabil  (2007)
原著論文18
Schwingel A, Nakata Y, Ito LS, et al.
Central obesity and health-related factors among middle-aged men: a comparison among native Japanese and Japanese-Brazilians residing in Brazil and Japan.
J Physiol Anthropol  (2007)
原著論文19
Kamijo K, Nishihira Y, Sakai T, et al.
Effects of a 12-week walking program on cognitive function in older adults.
Advances in Exercise and Sports Physiology  (2007)
原著論文20
Ueda A, Kume N, Hayashida K, et al.
ELISA for soluble form of lectin-like oxidized LDL receptor-1, a novel marker of acute coronary syndrome.
Clin Chem  (2006)

公開日・更新日

公開日
2015-05-26
更新日
-