小児造血器腫瘍の標準的治療法の確立に関する研究

文献情報

文献番号
200715003A
報告書区分
総括
研究課題名
小児造血器腫瘍の標準的治療法の確立に関する研究
課題番号
H17-チーム(がん)-若手-004
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
堀部 敬三(独立行政法人国立病院機構名古屋医療センター臨床研究センター)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 医療技術実用化総合研究(臨床研究基盤整備推進研究)
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
35,265,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
小児白血病およびリンパ腫の臨床試験を遂行するために必要なデータ管理等の手順の確立と技能の習熟を図り、質の高い臨床試験の実施に寄与する。
研究方法
日本小児白血病リンパ腫研究グループ(JPLSG)データセンターにおいて、小児白血病研究会(JACLS)の臨床試験ALL-02のデータ管理をモデルとして、JPLSGの10つの臨床試験:未分化大細胞型リンパ腫に対するALCL 99治療研究、乳児急性リンパ性白血病(ALL)に対する早期同種造血幹細胞移植療法の有効性に関する第Ⅱ相臨床試験(MLL03)、成熟B細胞性腫瘍に対する第Ⅱ相臨床試験(B-NHL03)および付随研究として顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)の予防的投与の有用性に関する無作為割付比較試験(B-NHL03 G-CSF)、リンパ芽球型リンパ腫に対する第Ⅱ相臨床試験(ALB-NHL03、LLB-NHL03)、フィラデルフィア染色体陽性ALLに対するimatinib mesylate第Ⅱ相臨床試験(Ph+ ALL04)、小児急性骨髄性白血病(AML)に対する多施設共同後期第II相臨床試験(AML-05、AML-P05、AML-D05)、小児ALL再発例に対する多施設共同後期第Ⅱ相臨床試験(ALL-R06)、および施設限定の小児白血病に対してフルダラビンとメルファランを前処置として用いた同種骨髄移植に関する早期第II相臨床試験(FM-05)について5つの臨床研究実施チームでデータ管理を実践する。
結果と考察
平成20年3月末までにALCL 99 81例、MLL03 56例、B-NHL03 178例、B-NHL03 G-CSF 32例、ALB-NHL03 91例、LLB-NHL03 7例、Ph+ ALL04 39例、AML- P05 12例、AML-05 144例、AML-D05 5例、FM-05 3例の合計648例が登録された。JACLS ALL-02には1206例が登録されている。ALCL99治療研究は、目標症例数に達したため無作為割付を終了し、推奨アームによる治療研究継続となっている。ALL-R06は、年度内の試験開始が出来なかったが、実施計画書がほぼ完成しており、まもなく開始予定である。なお、ALCL99の割付登録終了以外に治療研究の登録期間が終了した試験はなく、最終解析、最終解析レポート、研究成果公表時の支援はまだ実施していない。
結論
試験の進行はおおむね順調であり、本研究によるデータ管理チームの整備により小児造血器腫瘍に関して質の高い臨床試験の遂行が期待される。

公開日・更新日

公開日
2008-06-25
更新日
-

文献情報

文献番号
200715003B
報告書区分
総合
研究課題名
小児造血器腫瘍の標準的治療法の確立に関する研究
課題番号
H17-チーム(がん)-若手-004
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
堀部 敬三(独立行政法人国立病院機構名古屋医療センター臨床研究センター)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 医療技術実用化総合研究(臨床研究基盤整備推進研究)
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
小児白血病およびリンパ腫の臨床試験を遂行するために必要なデータ管理等の手順の確立と技能の習熟を図り、質の高い臨床試験の実施に寄与する。
研究方法
日本小児白血病リンパ腫研究グループ(JPLSG)データセンターにおいて、小児白血病研究会(JACLS)の臨床試験ALL-02のデータ管理をモデルとして、小児造血器腫瘍の11つの臨床試験:未分化大細胞型リンパ腫に対するALCL 99治療研究、乳児急性リンパ性白血病(ALL)に対する早期同種造血幹細胞移植療法の有効性に関する第Ⅱ相臨床試験(MLL03)、成熟B細胞性腫瘍に対する第Ⅱ相臨床試験(B-NHL03)および付随研究として顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)の予防的投与の有用性に関する無作為割付比較試験(B-NHL03 G-CSF)、リンパ芽球型リンパ腫に対する第Ⅱ相臨床試験(ALB-NHL03、LLB-NHL03)、フィラデルフィア染色体陽性ALLに対するimatinib mesylate第Ⅱ相臨床試験(Ph+ ALL04)、小児急性骨髄性白血病(AML)に対する多施設共同後期第II相臨床試験(AML-05、AML-P05、AML-D05)、小児ALL再発例に対する多施設共同後期第Ⅱ相臨床試験(ALL-R06)、血球貪食性リンパ組織球症(HLH)に対する国際共同臨床試験(HLH-2004)、および施設限定の小児白血病に対してフルダラビンとメルファランを前処置として用いた同種骨髄移植に関する早期第II相臨床試験(FM-05)について5つの臨床研究実施チームでデータ管理を実践する。
結果と考察
平成20年3月末までにALCL 99 81例、MLL03 56例、B-NHL03 178例、B-NHL03 G-CSF 32例、ALB-NHL03 91例、LLB-NHL03 7例、Ph+ ALL04 39例、AML- P05 12例、AML-05 144例、AML-D05 5例、HLH-2004 19例、FM-05 3例の合計667例が登録された。JACLS ALL-02には1206例が登録された。ALL-R06は、本研究期間内の試験開始が出来なかったが、実施計画書がほぼ完成しており、まもなく開始予定である。また、AML-05、AML-P05、およびAML-D05においてオンライン登録システムを構築し、Web登録を開始した。
結論
試験の進行はおおむね順調であり、本研究によるデータ管理チームの整備により小児造血器腫瘍に関して質の高い臨床試験の遂行が可能となった。

公開日・更新日

公開日
2008-06-25
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200715003C

成果

専門的・学術的観点からの成果
臨床試験実施にあたって、実施計画書の様式、倫理審査および説明と同意の手順、データセンター(統計家を含む)による実施計画書の作成支援およびデータ管理、および、効果安全性評価委員会による第三者的監視の体制が確立したことで質の高い臨床試験の実施が可能になった。また、欧州グループと共同で未分化大細胞型リンパ腫の臨床試験ALCL99を実施したことで、データ管理、中央診断、およびトランスレーショナルリサーチの国際共同研究基盤が整備され、稀少疾患の治療法開発に求められる国際共同研究の道筋が確立された。
臨床的観点からの成果
乳児リンパ性白血病、非ホジキンリンパ腫、急性骨髄性白血病においては、全国ほぼすべての小児血液腫瘍診療施設が参加する日本小児白血病リンパ腫研究グループとして8つの臨床試験が実施されており、また、一元化された精度の高いデータ管理により臨床現場の診断・治療の質の管理が可能になったことで、これらの疾患の標準治療の確立と治療の均てん化が実質的に達成されていると考えられる。
ガイドライン等の開発
日本小児白血病リンパ腫研究グループ(JPLSG)のプロトコールマニュアルを作成し、小児造血器腫瘍の臨床試験の質の向上と均質化に寄与した。また、小児造血器腫瘍の診断の手引きを作成した。
その他行政的観点からの成果
小児がんの長期フォローアップ体制整備の必要性を啓蒙したことで、がん臨床研究事業およびがん研究助成金において長期フォローアップ体制整備を目的とした研究課題が採択された。
その他のインパクト
読売新聞(平成17年5月10日)で当研究班の活動が紹介された。研究成果発表会(一般向け)「小児がんと闘うこどもたちのため~日本の小児がん医療のこれから~」(平成20年2月23日、大宮)で成果を紹介した。

発表件数

原著論文(和文)
2件
原著論文(英文等)
10件
その他論文(和文)
7件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
14件
学会発表(国際学会等)
6件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
1件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
大園秀一、石田也寸志、栗山貴久子、他
小児がん長期フォローアップ調査報告
日本小児科学会雑誌 , 111 (11) , 1392-1398  (2007)
原著論文2
Shimada A, Taki T, Tabuchi K, et al.
Tandem duplications of MLL and FLT3 are correlated with poor prognoses in pediatric acute myeloid leukemia: A study of the Japanese Childhood AML Cooperative Study Group.
Pediatric Blood Cancer , 50 (2) , 264-269  (2008)
原著論文3
Tomizawa D, Koh K, Sato T, et al.
Outcome of risk-based therapy for infant acute lymphoblastic leukemia with or without an MLL gene rearrangement, with emphasis on late effects: a final report of two consecutive studies, MLL96 and MLL98, of the Japan Infant Leukemia Study Group.
Leukemia , 21 (11) , 2258-2263  (2007)
原著論文4
Shimada A, Taki T, Kubota C, et al.
N822 mutation of KIT gene was frequent in pediatric acute myeloid leukemia patients with t(8;21) in Japan: a study of the Japanese childhood AML Cooperative Study Group.
Leukemia , 21 (10) , 2218-2219  (2007)
原著論文5
Shimada A, Taki T, Kubota C, et al.
No nucleophosmin mutations in pediatric acute myeloid leukemia with normal karyotype: a study of the Japanese Childhood AML Cooperative Study Group.
Leukemia , 21 (6) , 1307-1307  (2007)
原著論文6
Kobayashi R, Tawa A, Hanada R, et al.
Extramedullary infiltration at diagnosis and prognosis in children with acute myelogenous leukemia.
Pediatric Blood Cancer , 48 (4) , 393-398  (2007)
原著論文7
Nagayama J, Tomizawa D, Koh K, et al.
Infants with acute lymphoblastic leukemia and a germline MLL gene are highly curable with use of chemotherapy alone: results from the Japan Infant Leukemia Study Group.
Blood , 107 (12) , 4663-4665  (2006)
原著論文8
Mori T, Takimoto T, Katano N, et al.
Recurrent childhood anaplastic large cell lymphoma: a retrospective analysis of registered cases in Japan.
British Journal of Haematology , 132 (5) , 594-597  (2006)
原著論文9
Ishii E, Oda M, Kinugawa N, et al.
Features and outcome of neonatal leukemia in Japan: Experience of the Japan Infant Leukemia Study Group.
Pediatric Blood Cancer , 47 (3) , 268-272  (2006)
原著論文10
Shimada A, Taki T, Tabuchi K, et al.
KIT mutations, and not FLT3 internal tandem duplication, are strongly associated with a poor prognosis in pediatric acute myeloid leukemia with t(8;21): a study of the Japanese Childhood AML Cooperative Study Group.
Blood , 107 (5) , 1806-1809  (2006)

公開日・更新日

公開日
2015-05-26
更新日
-