光・磁場応答性ナノ分子プローブの開発とその医療用生体分子イメージング手法への応用

文献情報

文献番号
200712049A
報告書区分
総括
研究課題名
光・磁場応答性ナノ分子プローブの開発とその医療用生体分子イメージング手法への応用
課題番号
H19-ナノ-若手-005
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
森田 将史(大阪大学免疫学フロンティア研究センター)
研究分担者(所属機関)
  • 犬伏俊郎(滋賀医科大学MR医学総合研究センター)
  • 小松直樹(滋賀医科大学生命科学講座)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 医療機器開発推進研究(ナノメディシン研究)
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
5,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
ナノ炭素化合物の一種であるナノダイヤモンド(ND)は、粒子径が約4-10nmと小さく、構成元素がほぼ炭素だけからなり、それらがsp3構造を保持するため、生体適合性が高く、非常に安定であると期待される。このNDをMRI造影剤として利用することを目指し、MR造影効果を持つが、それ自体では毒性が高い常磁性イオンを、ND中に閉じ込めることで毒性を回避させることを目指した。さらに、NDの表面へ有機化学的に官能基を付与し、その官能基を介して蛍光色素を付与させることで、NDを磁場・光応答性のマルチモーダル分子プローブとして利用する可能性を探った。
研究方法
ナノダイヤモンド(ND)に、100keVのMn+を1x1016/cm2の量打ち込んだ後(Mn-ND)、水素化、塩素化、アミノ化処理を順次施したND表面のアミノ基にAlexa Fluor 680-NHSを反応させ、蛍光色素付与を行った。合成された近赤外蛍光付与磁性NDの物性は、X-band ESR、FT-IR,分光光度計、およびMRIにより、それぞれ調べた。
結果と考察
 Mn-ND内部のMn電子状態を確認するため、ESR測定を行ったところ、イオン注入前のNDでは、3価によるFeイオンおよびダングリングボンドに由来するラジカル信号が見られたのに対し、イオン注入したNDでは、それ以外にMn2+による信号が見られた。さらに、表面修飾後の表面状態をFT-IRにより調べたところ、アミノ基が十分量、Mn-ND上にあることが確認できた。このアミノ基を介してAF-680が導入できたことは、吸収スペクトルから確認できた。
 合成したMn-NDのMRIへの効果を調べるため、7T MRI装置におけるT1およびT2強調画像で比較したところ、Mn+イオン注入したNDを含んだサンプルでのT2のコントラストが大きいことが分かった。さらに、T2短縮能を持つ濃度は、2mg/mlとイオン注入しない場合のT1短縮効果を持たせる場合に比べ、より低いことが分かった。
結論
常磁性イオンのイオン注入法という新規造影剤の開発方法が有効である可能性が示された。さらに表面修飾により、蛍光色素を付加できた。今後は、細胞イメージングプローブ、および器官特異的造影剤への応用を目指したい。

公開日・更新日

公開日
2008-06-27
更新日
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