非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)を基盤分子とするアミロイドイメージングプローブの開発

文献情報

文献番号
200712047A
報告書区分
総括
研究課題名
非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)を基盤分子とするアミロイドイメージングプローブの開発
課題番号
H19-ナノ-若手-003
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
小野 正博(京都大学大学院薬学研究科)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 医療機器開発推進研究(ナノメディシン研究)
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
5,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
近年、アルツハイマー病の疫学調査において、NSAIDsの長期間服用者にアルツハイマー病発症率が低く、またその要因として、NSAIDsのアミロイドへの直接的な相互作用によるアミロイド凝集抑制の可能性が報告されている。本研究では、多様な基本骨格を持つNSAIDsの基盤分子とし、放射性ヨウ素および種々の置換基を導入した化合物を設計・合成し、そのアミロイドイメージングプローブとしての有用性について基礎的評価を行った。
研究方法
①種々のNSAIDsを基本骨格に選択して、放射性ヨウ素とへの結合性に重要な置換基と考えられている、ジメチルアミノ基やメトキシ基などの電子供与性基を同一分子内に持つ数種類の化合物の合成を試みた。② ①で合成した化合物に関して、アミロイド凝集体を用いたインビトロ結合実験により、アミロイド凝集体との親和性を評価した。さらに、アルツハイマー病モデル動物を用いて、化合物の蛍光特性を利用した蛍光染色法により、アミロイド斑への結合性を検討した。③ アミロイド凝集体への結合親和性を確認した化合物については、正常マウスにおける体内放射能分布実験を行い、正常脳への移行性とクリアランスについて評価を行い、化合物のアルツハイマー病画像診断用放射性プローブとしての有用性を評価した。
結果と考察
アスピリン、インドメタシン、イブプロフェン、スリンダックなどの基本骨格に種々の置換基を導入した化合物を合成した。放射性ヨウ素標識は、トリブチルスズ化合物を標識前駆体として用いたスズ-ヨウ素交換反応により行い、逆相HPLCによる分離精製後、放射化学的純度95%以上で作製することに成功した。Aイ凝集体との結合親和性の検討したところ、アスピリン、インドメタシン、イブプロフェン、スリンダックから派生した化合物に関しては、アミロイド凝集体への顕著な結合性が確認されなかった。一方、別途、設計・合成を行った、ジフェニルオキサジアゾール骨格を持つ化合物は、アミロイド凝集体への高い結合性を示した。放射性ヨウ素標識したジフェニルオキサジアゾール誘導体は、正常マウスを用いた体内放射能分布実験において、脳への高い移行性を示した。
結論
ジフェニルオキサジアゾール誘導体のアミロイドイメージングプローブとしての有用性が示された。

公開日・更新日

公開日
2008-04-14
更新日
-