高磁場MRIとオールインワンナノデバイスによる癌微少病変の非侵襲的診断・治療システムの開発

文献情報

文献番号
200712040A
報告書区分
総括
研究課題名
高磁場MRIとオールインワンナノデバイスによる癌微少病変の非侵襲的診断・治療システムの開発
課題番号
H19-ナノ-一般-014
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
石坂 幸人(国立国際医療センター 難治性疾患研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 長谷川 正勝(名糖産業名古屋研究所)
  • 河野 健司(大阪府立大学工学部)
  • 青木 伊知男(放射線医学総合研究所)
  • 山下 克美(金沢大学薬学部)
  • 濱田 洋文(札幌医科大学)
  • 中釜 斉(国立がんセンター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 医療機器開発推進研究(ナノメディシン研究)
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
50,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
癌微少病変の診断と治療を同一のナノ粒子で達成可能なオールインワンナノデバイス(AIO)の創成を目指している。AIOが搭載する機能は、
1. 腫瘍を標的化可能な単クローン抗体や標的ペプチド
2. 磁性体ナノ粒子やマンガンイオン等のMRI造影剤
3. 抗癌剤を搭載したリポソーム
4. 抗癌剤を自在に放出するための特性
である。
研究方法
MRIプローブ用磁性体ナノ粒子として、長い血中半減期、肝臓等へ非特異的集積の少ない磁性体ナノ粒子(CMDM)を作成する。一方,温度により疎水性に変化するポリマーを含んだリポソーム(以下、感温性リポゾーム)を作成し、MRI造影剤であるマンガン、抗癌剤アドレアマイシンおよび蛍光色素ローダミンを内包させる。これらのナノ粒子に高性能標的化抗体を結合させ、BOPで誘発したハムスター膵臓を用いて、MRIプローブとしての有効性を検証する。
結果と考察
分担研究者が開発した膵臓癌標的用抗体により再現良くin vivoイメージングが可能になった。この抗体を搭載したCMDMも腫瘍特異的に集積した。マンガンを包埋した感温性リポソームを作成し、in vivoでの有用性を検定した。その結果、担癌マウスにおいて、造影剤の投与後直後から蛍光イメージにおいて高い信号が観察され、8時間後までに徐々にその特異性が上昇した。また、投与8時間後に撮像されたMRIでは、42℃加温の前後で、MRIの信号が上昇し、薬剤の放出が示唆された。
結論
抗体を用いたin vivイメージングが可能になったが、抗体結合型磁性体ナノ粒子によるMRI画像化には、さらなる改良の必要性が残された。一方、マンガンイオン包埋型感温性リポソームを用いた加温誘導後の可視化が可能になり、in vivoイメージング可能な抗体を付与することによるAIOナノダバイスの作成が可能になるものと期待される。次年度では、感温性リポソームに抗体を付与する条件を明確にし、AIO作成を行う。

公開日・更新日

公開日
2008-06-12
更新日
-