超早期がんの低侵襲で効果的、正確で安全な診断・治療用微細内視鏡機器装置及びその医療技術の開発に関する研究

文献情報

文献番号
200712039A
報告書区分
総括
研究課題名
超早期がんの低侵襲で効果的、正確で安全な診断・治療用微細内視鏡機器装置及びその医療技術の開発に関する研究
課題番号
H19-ナノ-一般-013
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
小林 寿光(国立がんセンターがん予防・検診研究センター検診技術開発部)
研究分担者(所属機関)
  • 執印 太郎(高知大学医学部)
  • 馬目 佳信(東京慈恵会医科大学総合医科学研究センター)
  • 大原 健一(ペンタックス株式会社)
  • 玉川 克紀(株式会社玉川製作所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 医療機器開発推進研究(ナノメディシン研究)
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
45,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 超早期で微小ながんに、血管や尿管、気管支などの空隙を介して到達し、低侵襲で効果的、正確で安全な診断・治療を行う微細内視鏡機器装置を、具体的な診断・治療技術と共に開発する。
研究方法
 微細化を図るため内視鏡内部の屈曲機構を省略し、先端に磁性ステンレスを装備して、体外から小型超伝導電磁石を使用して屈曲誘導を行う。微細内視鏡内に処置チャンネルを設けても細径すぎて実際には機能しないために、必要に応じ微細内視鏡を挿入するカテーテルの内腔壁と微細内視鏡の外壁との間隙を処置用に使用する。体外からの画像補助にも配慮し、標準化を考え特定の疾患を対象とせず、磁気誘導の特徴が生きる尿路系を誘導経路とし、診断・治療の対象疾患を高い精度や安全性が求められる脳腫瘍として、この矛盾を満たす高次の開発を行うことで、幅広い領域と疾患に適用できる機器装置とする。
結果と考察
 これまで不可能と考えられていた、X線透視装置への干渉を防止する磁気遮蔽装置の開発に目処がついたため、研究全体を臨床応用に向けて前倒しにした。微細内視鏡は、円滑な磁気誘導が可能な強磁性体量を確保することと、ブタ尿細管内に挿入したカテーテル内に挿入できることを目標に、今年度の外径は0.8mmに設定して製作した。磁気誘導装置は、X線透視を使用すれば2次元方向への誘導で十分であることから、大がかりな3次元的な誘導装置を使用せずに、対象を挟み込むことで誘導を行う小型超伝導電磁石装置を開発した。将来の診断・治療技術の開発に配慮して、動物実験用にタイプⅡ組織吸収性ゼラチンを基質にT24膀胱癌細胞を培養し、3次元腫瘍塊として腎盂内に固定した。磁気遮蔽装置は低磁場では有効に機能し、X線透視下に尿管内に挿入した微細内視鏡を腎盂内に誘導して、3次元腫瘍塊を確認することができた。しかし腎盂の観察に必要な急峻な屈曲を可能とする磁力では、磁気遮蔽装置の効果は十分ではなかった。また微細内視鏡の画質や耐久性の問題も指摘された。来年度以降はこれらの問題を一つ一つ改善し、並行で開発している治療技術の導入も図り、臨床的に使用可能な機器装置と技術の開発に繋げていく。
結論
 X線干渉防止用磁気遮蔽装置を使用して、X線透視下に微細内視鏡を尿管から腎盂まで誘導し、目標の腫瘍塊の確認を行うことができた。

公開日・更新日

公開日
2008-04-11
更新日
-