ナノバブルと超音波を用いた高周波超音波三次元画像診断・分子導入システムの開発

文献情報

文献番号
200712036A
報告書区分
総括
研究課題名
ナノバブルと超音波を用いた高周波超音波三次元画像診断・分子導入システムの開発
課題番号
H19-ナノ-一般-010
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
小玉 哲也(東北大学 先進医工学研究機構)
研究分担者(所属機関)
  • 藤川 重雄(北海道大学 大学院工学研究科)
  • 小野 栄夫(東北大学 大学院医学系研究科)
  • 森 士朗(東北大学病院)
  • 福本 学(東北大学 加齢医学研究所)
  • 松村 保広(国立がんセンター東病院 臨床開発センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 医療機器開発推進研究(ナノメディシン研究)
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
43,556,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では, 超音波造影性薬剤封入型ナノバブルと超音波を用いて, がんの微小血管に特徴的な血管周囲へのバブルのEPR効果をバブルの軌跡としてとらえて, 三次元画像を構築し, その構築画像の特徴からがんの診断をおこない, 同時にナノバブルの超音波輝度の集積部への超音波照射によりバブルを破裂させ, 封入された抗腫瘍分子をがん組織に導入可能な高周波超音波三次元画像診断・分子導入システムを開発することを目的とする. 本年度は, (1)EPR効果で腫瘍新生血管から流出・貯留可能なナノバブルの作製, (2)臨床試験導入用動物実験モデル(マウス肝原発・転移モデル,マウス所属リンパ節転移モデル)の作製, (3) 腫瘍血管内を流れるバブルの輝度情報を基礎にした二次元, および三次元の腫瘍新生血管抽出法の開発, および(4)外来分子の細胞膜への導入機序の解明をおこなう.
研究方法
リポゾーム粒子を作製後, C3F8ガスと液体が封入される音響性ナノバブルを作製する.臨床試験導入用動物実験モデルとして, 肝原発がん・転移性肝がんモデル, および所属リンパ節転移がんモデルを作製する. 前者は腫瘍細胞を脾臓に移植し,後者は自己免疫疾患マウスのリンパ節にがん細胞を移植して作製する. 二次元・三次元の腫瘍新生血管抽出法の開発では, 腫瘍内血管を流れるバブルを高周波超音波で画像化し, その輝度情報を処理することで血管像を構築する. 分子導入機序の解明では, 微細気泡から放射される衝撃波の作用で, 外来分子が細胞内に導入される分子導入機序を非定常・非平衡分子動力学シミュレーションで明らかにする.
結果と考察
(1) 直径が80-200nmで, in vivoでの寿命が5分程度の音響性リポゾームを開発した.
(2) 腫瘍細胞をマウス脾臓に移植し, 門脈経由で形成されるマウス肝転移モデル, および自己免疫疾患マウスのリンパ節に腫瘍細胞を移植して得られる所属リンパ節転移モデルを作製した.
(3) 腫瘍血管内を流れるバブルの輝度情報を処理して二次元・三次元の血管抽出法を開発した.
(4)ナノバブル崩壊で発生する衝撃波の膜に対する垂直方向の運動量成分のみが,膜の構造変化に重要な因子となり,外来分子が膜に導入されることを明らかにした.
結論
EPR効果に着目したナノバブルの開発, および臨床試験導入用動物実験モデルの作製をおこなった. 外来分子の導入メカニズムとして, ナノバブル崩壊で発生する衝撃波の作用にともなう細胞膜の構造変化を数値的に明らかにした.

公開日・更新日

公開日
2008-04-11
更新日
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