ナノメディシン分野における難治性眼表面疾患による涙液障害に対する超微細画像技術(ナノレベルイメージング)を応用した涙液再生治療法の開発

文献情報

文献番号
200712026A
報告書区分
総括
研究課題名
ナノメディシン分野における難治性眼表面疾患による涙液障害に対する超微細画像技術(ナノレベルイメージング)を応用した涙液再生治療法の開発
課題番号
H18-ナノ-若手-004
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
後藤 英樹(鶴見大学 歯学部)
研究分担者(所属機関)
  • 坪田 一男(慶應義塾大学 医学部眼科学教室)
  • 村戸 ドール(慶應義塾大学 医学部眼科学教室)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 医療機器開発推進研究(ナノメディシン研究)
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
5,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
現在日本のドライアイ患者数は全国で約2200万人といわれ、なかでもシェーグレン症候群・慢性スチーブンスジョンソン症候群に伴うドライアイは視覚障害を伴う難治性眼表面疾患であり、早急な治療法の確立が必要とされている。健常な涙液は油層・水層・ムチン層の三層構造をなしているといわれているが、その解剖生理、または病理を臨床的に評価する方法は確立していない。本研究ではこれら既存の治療で治癒しない患者の治療の為、涙液油層薄膜・水層薄膜の評価及びその欠乏に対しての治療、すなわち健常な涙液構造の再生による難治性眼表面疾患の治療を目指す。
本年度は昨年に引き続き;(1)主任研究者である後藤が総括を行うとともに涙液層厚み定量システムの開発を昨年度より発展させ、下記分担研究者坪田の行っている治療方法の評価も行い ;(2)分担研究者である坪田が涙液水層治療としての成功率のより高い涙点閉鎖術の開発を行い、;(3)分担研究者である村戸ドールが涙液油層再生治療による涙液蒸発率抑制の研究を、それぞれ担当した。(一部平成20年度の計画が前倒しされた。)
研究方法
健常人(nl群)14例28眼および涙液分泌低下型ドライアイ(DE群)27例49眼を対象とした。両郡の涙液層厚みを測定し比較した。また、涙点閉鎖術前後の涙液水層厚みを比較した。工業用薄膜厚み測定装置(Quore 1100および1000, マミヤOP、さいたま)をカスタマイズして使用し、涙液層厚み測定を行った。また、同時に眼表面所見評価としてフルオレセイン角膜染色スコア、ローズベンガル角結膜染色スコア、涙液層破壊時間、シルマーテスト値を測定した。
結果と考察
涙液層厚みはDE群においてNL群に比べて薄かった。眼表面の評価は全項目(フルオレセイン角膜染色スコア、ローズベンガル角結膜染色スコア、涙液層破壊時間、シルマーテスト値)においてDE群でnl群と比べて悪化していた。また、ドライアイ患者において涙点閉鎖術後に涙液層厚みが増加した。
結論
薄膜厚み測定装置を使用した涙液層厚みの測定が可能であり、角膜前面の涙液量の低下を非侵襲すなわち正確に評価できる手段であると思われた。ドライアイにおける涙液層厚みは世界で始めて報告された。薄膜厚み測定装置にて計測した涙液層厚みは涙液分泌低下型ドライアイ患者において健常人と比べ有意に低値を呈し、涙点閉鎖手術により回復した。

公開日・更新日

公開日
2008-04-11
更新日
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