テラヘルツ波によるラベルフリーバイオチップシステムの開発

文献情報

文献番号
200712025A
報告書区分
総括
研究課題名
テラヘルツ波によるラベルフリーバイオチップシステムの開発
課題番号
H18-ナノ-若手-003
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
小川 雄一(国立大学法人東北大学大学院農学研究科 テラヘルツ生物工学寄附講座)
研究分担者(所属機関)
  • 林伸一郎(独立行政法人理化学研究所 テラヘルツ光研究プログラム テラヘルツ量子素子研究チーム)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 医療機器開発推進研究(ナノメディシン研究)
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
5,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
テーラーメイド医療やライフサイエンス研究現場での利活用を目的とした,テラヘルツ波を利用したラベルフリーによる安価で簡便な生体高分子相互作用解析ツールを開発する。特にセンシング部には,導電性周期構造体を印刷技術で作成する手法を確立し,それに対するテラヘルツ波の透過特性の変化を利用することで抗原抗体反応における、微量な相互作用変化を簡便かつ高感度に検出する分析システムを開発する。
研究方法
金属メッシュの原理解析として、電磁界解析(FDTD)を用いた電界分布の様子を解析した。次に、メンブレンを金属メッシュに密着させ、メンブレン上での生体高分子の相互作用を非標識で検出することを試みた。さらに、次年度試作するシステム用の光源開発として、前年度に開発したパラメトリック光源にシード光を注入した細線化技術、ならびにマイクロ波光源を逓倍管を介してTHz波を発生させる波長可変光源の開発を行った。
結果と考察
FDTDの結果、金属メッシュの開口内部と金属エッジ部で高い電界強度が観測された。また、金属メッシュ表面に斜入射する条件で解析を行った結果、透過率スペクトルにディップが観測され、ディップ周波数では、電界の強度が他の局所電界よりも数十倍高くなっている様子が確認された。さらに、この金属メッシュでタンパク質の検出を行ったところ、500pg/mm^2の量を検出することに成功した。また、メンブレン上でのビオチン‐アビジン結合の判別にも成功した。
THzパラメトリック光源に光注入を行い、1.5THzにおいて、線幅200GHz以下、出力180pJ/pulse以上のTHz波を観測した。励起光源がトップハット型の強度分布を横モードの重ねあわせで形成しているため、線幅は100GHz以下にはならないことが考えられた。
結論
金属メッシュに関する動作原理やセンシング実験を行い、メンブレン上のタンパク質の有無や結合の有無を判別できることを明らかにした。インクジェットプリンタによるメンブレンへの印刷メッシュの作成は、メンブレンが多孔質であることから銀ナノ粒子による導電性周期構造の作成が困難であったが、メンブレン上に一層作成することにより、これらを解決できる知見を得た。
パラメトリック光源と逓倍式サブミリ波光源による2つ試作した。次年度は、これらを比較検討し、システム化を行い、モデル実験において評価を行う予定である。

公開日・更新日

公開日
2008-04-11
更新日
-