抗体ライブラリを活用した疾患関連蛋白質可視化解析技術の研究

文献情報

文献番号
200712024A
報告書区分
総括
研究課題名
抗体ライブラリを活用した疾患関連蛋白質可視化解析技術の研究
課題番号
H18-ナノ-若手-001
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
角田 慎一(独立行政法人医薬基盤研究所 基盤的研究部)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 医療機器開発推進研究(ナノメディシン研究)
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
5,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では、細胞内で機能する一本鎖化Fv(scFv)抗体、あるいは細胞内発現型抗体(イントラボディ)を創出し、疾患関連蛋白質の機能解析・機能制御に応用することを目的に、①簡便かつ迅速に、微量の抗原蛋白質に対する抗体を創製可能な抗体ライブラリおよび、そのスクリーニング法の確立、②それら抗体と蛍光蛋白等との結合体を用い、蛍光分子イメージング技術を活用することで、細胞内疾患関連蛋白質の動態や蛋白間相互作用等を効率よく解析できる技術の開発を目指すものである。
研究方法
これまでに構築した非免疫マウス由来scFv抗体ライブラリに加え、よりアフィニティの高い抗体単離も可能とするために、あらかじめ目的抗原に感作させたマウスB細胞を遺伝子ソースとする免疫抗体ライブラリの構築を試みた。また、2D-DIGE解析ゲルから回収可能な微量蛋白質に対する抗体作製法の確立のため、蛋白質の固定化効率に優れるブロットメンブランを固相化担体とし、抗体ライブラリのアフィニティパンニングを行うメンブランパンニング法を開発した。また一方で、抗体蛋白質自体を細胞外から細胞内に導入しうる技術の確立を目的に、細胞内移行活性を有するcell penetrating peptide (CPP)を利用したペプチドキャリアの創製と特性評価を行い、基礎情報を集積した。
結果と考察
アポトーシス関連蛋白をモデル抗原として免疫抗体ライブラリ作製し、非免疫抗体ライブラリからの抗体単離を試みた結果、免疫抗体ライブラリでは、より多種類の特異抗体を取得可能であったことから、イントラボディ作製に有用であるものと考えられた。メンブランパンニング法を用いることにより、わずか0.5ngという極微量の蛋白質を回収できれば、それらに対する抗体を一挙に、かつ短期間で作製可能となった。また、細胞外から細胞内へ効率よく蛋白質を導入可能なキャリアペプチドを開発し、それは既存のTatペプチドの約3倍も導入効率が優れていた。
結論
これまでの基礎検討をもとにして、次年度では、各種scFv抗体を用いて、蛍光標識イントラボディを用いた種々細胞内蛋白質の細胞内局在等の可視化解析を試みるとともに、細胞内シグナル制御法としてのイントラボディ法の可能性について検討を行う。本研究により、イントラボディ創出方法の最適化、細胞内疾患関連蛋白質の動態解析による疾患分子病態の解明、治療標的の探索、細胞内分子標的治療薬(細胞内抗体医薬)創出等への展開が期待される。

公開日・更新日

公開日
2008-04-11
更新日
-