文献情報
文献番号
199700309A
報告書区分
総括
研究課題名
医師国家試験の出題形式の改善に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成9(1997)年度
研究代表者(所属機関)
細田 瑳一(財団法人日本心臓血圧研究振興会)
研究分担者(所属機関)
- 大野良三(埼玉医科大学)
- 神津忠彦(東京女子医大)
- 小寺一興(帝京大学)
- 徳永力雄(関西医科大学)
- 西園昌久(福岡大学)
- 原田研介(日本大学)
- 伴信太郎(川崎医科大学)
- 平山正実(東洋英和女学院大学)
- 松岡雄治(福岡大学)
研究区分
厚生科学研究費補助金 行政政策研究分野 健康政策調査研究事業
研究開始年度
平成7(1995)年度
研究終了予定年度
平成9(1997)年度
研究費
2,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
医師国家試験の改善については、常に時代の要請にこたえるよう、出題内容の見直し、問題形式の見直し等が行われているが、さらに改善が求められている課題がある。
平成7年4月の医師国家試験改善検討委員会は、次のように報告している。「医師国家試験では、単に医学知識の量だけを評価するだけでなく、適切な情報を獲得する能力や得られた情報を適切に分析できる能力といった、応用力の評価も望まれる。現在でも問題解決型(TaxonomyIII)の問題をできるだけ増やすよう試験委員の努力がなされているが、米国における医学校の入学選抜に用いられているSkills Analysis等を参考として、将来的には受験者の応用力をより積極的に評価できるような試験方法の導入について検討を続けることとする。」
本研究においては、上記報告を踏まえMCAT(medical college admission test)Skills Analysisを参考とした問題解決型問題形式の医師国家試験の妥当性、信頼性等を踏まえた導入の可能性について検討を進めるとともに、問題作成上の問題点・留意点を検討するものである。
平成7年4月の医師国家試験改善検討委員会は、次のように報告している。「医師国家試験では、単に医学知識の量だけを評価するだけでなく、適切な情報を獲得する能力や得られた情報を適切に分析できる能力といった、応用力の評価も望まれる。現在でも問題解決型(TaxonomyIII)の問題をできるだけ増やすよう試験委員の努力がなされているが、米国における医学校の入学選抜に用いられているSkills Analysis等を参考として、将来的には受験者の応用力をより積極的に評価できるような試験方法の導入について検討を続けることとする。」
本研究においては、上記報告を踏まえMCAT(medical college admission test)Skills Analysisを参考とした問題解決型問題形式の医師国家試験の妥当性、信頼性等を踏まえた導入の可能性について検討を進めるとともに、問題作成上の問題点・留意点を検討するものである。
研究方法
従来の研究について調査したことに基いて、各班員に巾広い領域からの問題作成を依頼してそれらの問題を遂次討論し修正する。
作問の要領は以下の通りとした。
?設問文は医学領域、800字程度とし、設問に対する問題は3~5問とする。またReading
(読解力)とQuantitative(数量解釈)等の問題を数題づつ作成する。
?問題肢は原則として5肢択一形式とするが正誤形式、×形式でもよい。
作問の要領は以下の通りとした。
?設問文は医学領域、800字程度とし、設問に対する問題は3~5問とする。またReading
(読解力)とQuantitative(数量解釈)等の問題を数題づつ作成する。
?問題肢は原則として5肢択一形式とするが正誤形式、×形式でもよい。
結果と考察
平成9年3月6日、6月26日、11月5日、12月24日の4回班会議を開いて作成された50問を
検討した。次の点が明らかになった。
?.Skills analysis形式の利点
1)論理性、優先順位、重みづけ、の判断力を問える。
2)診断のプロセスを問うことができる。
3)禁忌肢の選択肢を作り易い。
4)臨床現場の実態に近い問題(例えば医師・患者の会話形式など)を作り易い。
5)根拠と判断を分けて問うことができる。
6)論理的な批判力を問うことができる。
7)総合判断能力を問うことができる。
8)選択肢の長さに制限が少ない。
・Skills analysis法を医師国家試験に用いるための問題作成要領
1)医療と全く関係のないテーマ、設問は避けること。
2)仮説や具体事例について、必須知識・事実・常識・示された情報などで理由づけして選択判断(病態診断、機序、鑑別、治療予後、倫理判断)させる。
3)既存の知識のみを問うというのではなく、様々な医療現場や状況の中で生じてくる問題に対してどう判断するか、つまり問題解決能力を見る。その場合、問題を解決し処理するにあたり、その根拠となる知識は必要である。
4)様々な臨床的テーマについて、医学的知識を評価する問題と、判断を評価する問題の両方を問うのもよい。
5)医療場面における倫理的問題状況を設定し、それに対して、いくつかの設問を設ける。重みづけを問うのもよい。
6)全人的アプローチやプライマリーケアに関連する問題を(複合状況)提示し、複眼的ないし、多次元的思考が出来るかどうかを評価する。
7)様々な臨床場面に当事者が関与する仕方を問い、受験している医学生の医療観、目標とする医師像が見えてくるような設問が作られることが望ましい。例えば検査のやりすぎなど。
8)知識、情報を読み取る能力(Reading)を問うこともできる。
9)臨床現場で得た情報から最終的判断を行う際にそのプロセスやその論理性を評価する問題を作成する。
10)出題形式に関して、X問題についてはYes、Noをはっきりさせる。疑いもなく、絶対にといった表現を使う。X2なら可能性のあるもの2つを選びなさい(X3なら3つ)として設問する。5択問題では5つとも可能性があるもの、その中でもウエイトづけが違ってくるような設問を考える。
検討した。次の点が明らかになった。
?.Skills analysis形式の利点
1)論理性、優先順位、重みづけ、の判断力を問える。
2)診断のプロセスを問うことができる。
3)禁忌肢の選択肢を作り易い。
4)臨床現場の実態に近い問題(例えば医師・患者の会話形式など)を作り易い。
5)根拠と判断を分けて問うことができる。
6)論理的な批判力を問うことができる。
7)総合判断能力を問うことができる。
8)選択肢の長さに制限が少ない。
・Skills analysis法を医師国家試験に用いるための問題作成要領
1)医療と全く関係のないテーマ、設問は避けること。
2)仮説や具体事例について、必須知識・事実・常識・示された情報などで理由づけして選択判断(病態診断、機序、鑑別、治療予後、倫理判断)させる。
3)既存の知識のみを問うというのではなく、様々な医療現場や状況の中で生じてくる問題に対してどう判断するか、つまり問題解決能力を見る。その場合、問題を解決し処理するにあたり、その根拠となる知識は必要である。
4)様々な臨床的テーマについて、医学的知識を評価する問題と、判断を評価する問題の両方を問うのもよい。
5)医療場面における倫理的問題状況を設定し、それに対して、いくつかの設問を設ける。重みづけを問うのもよい。
6)全人的アプローチやプライマリーケアに関連する問題を(複合状況)提示し、複眼的ないし、多次元的思考が出来るかどうかを評価する。
7)様々な臨床場面に当事者が関与する仕方を問い、受験している医学生の医療観、目標とする医師像が見えてくるような設問が作られることが望ましい。例えば検査のやりすぎなど。
8)知識、情報を読み取る能力(Reading)を問うこともできる。
9)臨床現場で得た情報から最終的判断を行う際にそのプロセスやその論理性を評価する問題を作成する。
10)出題形式に関して、X問題についてはYes、Noをはっきりさせる。疑いもなく、絶対にといった表現を使う。X2なら可能性のあるもの2つを選びなさい(X3なら3つ)として設問する。5択問題では5つとも可能性があるもの、その中でもウエイトづけが違ってくるような設問を考える。
結論
Skills Analysis法を医師国家試験に新たに導入するについては、実質的に問題解決型の問題を出題することが容易になると考えられる。しかし、当該手法がどんな領域の問題に馴染むのか、また、どんなカテゴリーまで広がるのか、設問・選択肢の作り方等については更なる検討が必要である。また作成された問題を試行しないと本法の意味について検討できないので来年度班員の施設で行う予定である。
公開日・更新日
公開日
-
更新日
-