細胞性免疫誘導能を持つペプチド結合リポソームを応用したウイルスワクチンの創製

文献情報

文献番号
200712022A
報告書区分
総括
研究課題名
細胞性免疫誘導能を持つペプチド結合リポソームを応用したウイルスワクチンの創製
課題番号
H18-ナノ-一般-006
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
内田 哲也(国立感染症研究所血液・安全性研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 種市 麻衣子(国立感染症研究所血液・安全性研究部)
  • 石川 昌(東京大学大学院分子予防医学教室)
  • 赤塚 俊隆(埼玉医科大学微生物学教室)
  • 松井 政則(埼玉医科大学微生物学教室)
  • 梶野 喜一(北海道大学人獣共通感染症リサーチセンター)
  • 小田 洋(日油株式会社DDS研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 医療機器開発推進研究(ナノメディシン研究)
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
23,442,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は我々が開発した細胞性免疫誘導可能なリポソーム処方を用いて高病原性鳥インフルエンザ、SARS等の新興感染症、およびC型肝炎に対するワクチンを開発することを目標とする。この研究を通じてウイルス感染抵抗性の誘導に有効なワクチンが開発されれば、対象疾病は上記に留まらず、同一の手法によってエイズをはじめとする未解決のウイルス疾患に対するワクチンの創製に応用することが期待され、厚生労働行政上のみならず、社会への貢献、国民の保健・医療・福祉の向上への貢献という点からも意義があると考えられる
研究方法
鳥インフルエンザ、SARS、HCVの各ウイルス由来CTL得ぴとー婦をペプチド検索システムを用いて予測し、これに基づいて合成したペプチドにつきヒトHLAクラスIとの結合親和性、試験管内CTL誘導能等によりスクリーニングして候補となるエピトープを選ぶ。次いで、in vivo CTL誘導能を検討することにより各ウイルスのイムノドミナントエピトープを同定する。
結果と考察
高病原性鳥インフルエンザウイルス(H5N1)由来CTLエピトープの同定作業を行い、高効率にCTLを誘導することの出来るCTLエピトープが複数同定された(特許出願準備中)。また、これらの多くがヒトインフルエンザウイルスH1N1およびH3N2に共通なエピトープであったことから、複数のウイルス亜種に対して有効なワクチンの創製が期待された。SARSコロナウイルスに関しても同様の作業を行い、CTL誘導型ワクチンの創製に使用可能な複数のCTLエピトープが同定された(特許出願準備中)。C型肝炎ウイルス由来のCTLエピトープとリポソームとの結合物による有意なCTL誘導が確認され、治療型HCVワクチンの創製が期待された。
結論
平成20年度は、今年度までに同定された高効率にCTLを誘導することの出来るペプチドとリポソームとの結合物を作製し、ヒト由来クラスIを遺伝子導入したマウスに投与してウイルス感染抵抗性の誘導を検討する。上述のように、イムノドミナントなCTLエピトープが複数同定されており、これらを組み合わせることにより高効率に免疫誘導を行うことの出来るワクチンを開発する。

公開日・更新日

公開日
2008-04-11
更新日
-