文献情報
文献番号
200712018A
報告書区分
総括
研究課題名
細胞内元素アレイ解析の臨床応用に向けた基礎研究
課題番号
H18-ナノ-一般-002
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
志村 まり(国立国際医療センター研究所 難治性疾患研究部難治性疾患研究室)
研究分担者(所属機関)
- 山内 和人(大阪大学大学院工学研究科)
- 三村 秀和(大阪大学大学院工学研究科)
- 前島 一博(理化学研究所・中央研究所今本核研究室)
- 萩原將太郎(国立国際医療センター血液内科)
- 岡村 匡史(国立国際医療センター研究所ヒト型動物開発研究室)
- 石川 哲也(理化学研究所播磨研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 医療機器開発推進研究(ナノメディシン研究)
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
40,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
SXFMによる疾病解明への期待:近年、理化学研究所播磨研究所(SPring-8:石川ら)でのコヒーレントX線、および大阪大学(山内ら)のX線集光技術より、世界最小のナノビームが実現された。細胞内元素分布の画像化は、このナノビームを用いた高分解能走査型蛍光X線顕微鏡(SXFM)により可能となった。細胞内金属元素は、細胞機能を正常に維持するために必須であり、細胞機能を理解する上で、元素の増減や分布変化を把握することは重要である。SXFMにより、これまで未知の領域であった細胞内元素動態や、原因・治療法が不明な疾患について解明の糸口が見出されることが期待される。本申請では、いまだ解明されていない様々な難病について、ヒト疾患動物モデルおよび臨床検体を用いて、病態と細胞内元素や元素結合蛋白質との相関を見いだし、診断へ応用することを目的とする。SXFMの臨床実用化:本年度はSXFM高速測定およびSXFM改良型凍結ステージの完成により、臨床応用実用化を目的とする。
研究方法
A)測定系の確立;①ヒト希少検体からの解析を可能にするための作製法を検討する。②SXFM装置開発:H18年度の研究より、固定法によるイオン元素の喪失が明らかになった。そこで、細胞組織を自然な状態で観察するため、SXFM改良型凍結ステージの開発を行う。測定の高速化を、SDD検出器およびマルチチャンネルの改良を実施する。③元素結合蛋白質の分離同定法の確立。 B) 応用:ヒト正常および病態骨髄細胞を用いて、元素高分解画像解析、ライトギムザ染色、免疫染色、電顕などの多角的な解析を行う。
結果と考察
①臨床希少検体からの解析を可能にするための作製法を確立した。②SXFM装置開発: SXFM改良型凍結ステージが完成し、細胞測定にも成功した。測定の高速化では、マルチチャンネルの通信速度を改良し、現在の約1.3倍までの高速化が可能となった。③ラット肝より抽出した元素結合蛋白質分離を、HPLC-ICP-MSの連続測定を行った結果、TOFF-MS解析による分離同定法が可能となった。元素イメージングから元素結合蛋白質の同定までが一連の研究として可能になることで、難病疾患プロセスについて特定元素(分子)の同定や、新規治療法の開発が期待される。
結論
難病や近年増大している生活習慣病の解析においても、その原因・治療法の解明が期待される。細胞内元素に着目した病態解明は、これらの疾患に対して有効な糸口となる可能性が示唆され、国民の保健・医療・福祉の向上に貢献が期待される。
公開日・更新日
公開日
2008-04-11
更新日
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