文献情報
文献番号
200712005A
報告書区分
総括
研究課題名
メラノーマ標的ナノ微粒子(NPrCAP/ML)によるメラノーマ温熱免疫療法の開発
課題番号
H17-ナノ-一般-004
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
神保 孝一(札幌医科大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
- 本多 裕之(名古屋大学大学院工学研究科・生体医応用工学)
- 佐藤 昇志(札幌医科大学医学部病理学第一講座)
- 伊藤 祥輔(藤田保健衛生大学衛生学部化学・化学/皮膚科学)
- 若松 一雅(藤田保健衛生大学衛生学部化学・化学/微量成分分析化学)
- 山下 利春(札幌医科大学医学部皮膚科学講座)
- 田村 保明(札幌医科大学医学部病理学第一講座)
- 小野 一郎(札幌医科大学医学部皮膚科学講座)
- 井藤 彰(九州大学大学院工学研究院化学工学部門分子・生体医用工学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 医療機器開発推進研究(ナノメディシン研究)
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
28,077,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
メラノーマ細胞の分化形質発現の鍵酵素として知られるチロシナーゼの基質となるシステアミニールフェノール(NPrCAP)がメラノーマ細胞に選択的に取り込まれ、直製細胞殺効果を有することを利用し、NPrCAPが温熱細胞殺効果を有するナノ磁気微粒子(magentite:M)に固定化することで、新しい選択的ナノ・ドラッグ・デリバリーシステムと化学温熱免疫(CTI)療法を開発する。
研究方法
研究方法として①薬剤の合成とその新規結合型マグネタイトの開発、②薬剤のデザインと合成法の開発、③薬剤の選択的メラノーマ細胞移行性とオン温熱細胞死の誘導及び抗腫瘍効果、④磁場発生装置の改良、化学温熱免疫(CTI)治療室設置と学内臨床試験、⑤メラノジェネシス標的化学温熱免疫(CTI)両方における腫瘍免疫機構の解析、これら5課題に分け、分担し研究した。
結果と考察
NPrCA/Mが①in vivoにおいて直接細胞殺化学療法効果、腫瘍免疫効果を有する事、②磁場照射により温熱細胞殺効果と熱ショック蛋白(HSP)産生を産生し、選択的にメラノーマ細胞を壊死させ、腫瘍の増殖を阻害する事、③in vivo メラノーマ再チャレンジ実験にて再移植した所、これら移植メラノーマは完全にホストにより拒絶(4ヶ月の%ILSが100%)された事を確認した。更にNPrCAP単独でも程度が低いが同様再移植腫瘍の拒絶が観察された。
実際のメラノーマの患者に対し①NPrCAP/Mよりもポリエチレングリコールを用いた薬剤(NPrCAP/PEG/M)が薬剤と腫瘍細胞との親和性が高い事、GMP製剤を合成するには最適である事を確認し、企業との提携・指導下にて学内にGMP-grade-NPrCAP/PEG/M合成施設とCTI治療室を作った。②倫理委員会の許可を受け、臨床試験(学内限定第I,II相)を開始し、現在まで4名の症例が登録されているが、1例はCR, 一例はPRであった。
実際のメラノーマの患者に対し①NPrCAP/Mよりもポリエチレングリコールを用いた薬剤(NPrCAP/PEG/M)が薬剤と腫瘍細胞との親和性が高い事、GMP製剤を合成するには最適である事を確認し、企業との提携・指導下にて学内にGMP-grade-NPrCAP/PEG/M合成施設とCTI治療室を作った。②倫理委員会の許可を受け、臨床試験(学内限定第I,II相)を開始し、現在まで4名の症例が登録されているが、1例はCR, 一例はPRであった。
結論
3年間の厚労省ナノメディシン研究事業に参加する事により、第III、IV病期メラノーマ患者を用いた予備的第I, II相臨床試験にてNPrCAPを用いたCTI治療法の有効性を確認し、世界で初めてメラノジェネシス標的磁性ナノ微粒子によるメラノーマ・ナノメディシンの開発に成功した。
公開日・更新日
公開日
2008-04-11
更新日
-