細胞研究資源の資源化ならびに品質評価法・特性解析法開発に関する研究

文献情報

文献番号
200711013A
報告書区分
総括
研究課題名
細胞研究資源の資源化ならびに品質評価法・特性解析法開発に関する研究
課題番号
H19-生物資源-指定-002
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
増井 徹(独立行政法人医薬基盤研究所 生物資源研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 水澤 博(独立行政法人医薬基盤研究所 生物資源研究部)
  • 鈴木 治(独立行政法人医薬基盤研究所 生物資源研究部)
  • 小原 有弘(独立行政法人医薬基盤研究所 生物資源研究部)
  • 内尾 こずえ(独立行政法人医薬基盤研究所 生物資源研究部)
  • 清水 則夫(東京医科歯科大学難治疾患研究所ウイルス学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 創薬基盤推進研究(生物資源研究)
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
45,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
培養細胞は医薬品開発・再生医療研究など多岐にわたる研究において必須の研究資源として利用されている。本研究では細胞資源バンク(年間分譲3100アンプル,保有資源数3000株)として、①新たな細胞資源の品質管理法・資源化法の開発 ②汚染の無い高品質細胞資源供給基盤の構築 ③ゲノム解析・遺伝子発現解析・機能解析による標準化された細胞の構築を行い、研究者の研究を積極的に推進する研究基盤の構築を図る。
研究方法
本研究では、①新たな細胞資源の品質管理法・資源化法の開発 ②汚染の無い高品質細胞資源供給基盤の構築 ③ゲノム解析・遺伝子発現解析・機能解析による標準化された細胞資源の構築を行うため、遺伝子導入方法の確立、ゲノム詳細解析の実施、ウイルス・マイコプラズマ汚染検査等を行った。
結果と考察
<新たな細胞資源の品質管理法・資源化法の開発>ヒトテロメラーゼ遺伝子(hTERT)の遺伝子導入のためレンチウイルスベクターを作成し、ヒト細胞の不死化法に関する技術開発を行った。これにより間葉系幹細胞の不死化技術を確立することで、様々な生体機能を有した細胞の構築が可能となり、創薬への応用が期待できる。染色体詳細解析を実施することにより、細胞の設計図ともいえるゲノムの変化を鋭敏に捉えられる技術開発を行った。<汚染の無い高品質細胞資源供給基盤の構築>細胞資源のウイルス検査法を実施し、ヒト由来細胞を中心に446検体を検査し、48検体でウイルス検査陽性の結果を得ることが出来、細胞資源のウイルス汚染の現状を把握することができた。また、細胞のマイコプラズマ汚染検査に関する全国調査を実施し、1500検体におよぶ検査を実施した結果、26%程度の細胞においてマイコプラズマ汚染が認められる結果が得られた。<ゲノム解析・遺伝子発現解析・機能解析による標準化された細胞資源の構築>細胞のキャラクタライズ情報として細胞の染色体情報の付加ならびに生物資源のプロファイル法としてmiRNAの集団構成分析による種・系統の識別法を開発を行った。
結論
本研究を通じて、国内の多くの研究者によって樹立された培養細胞の品質を高度化し、誤った細胞や汚染された細胞を排除する研究支援システムを確立した。さらに、誤謬や汚染を含む細胞を研究に利用することの問題点をホームページに掲載し、正しい細胞を利用するよう積極的な啓蒙活動も行っている。これにより多くの研究者が誤謬や汚染を避ける必要性を強く認識するようになってきているという具体的成果が上がっている。

公開日・更新日

公開日
2008-04-10
更新日
-