ゲノム研究、プロテオーム研究に適用可能な「病理解剖組織バンク」の開発

文献情報

文献番号
200711010A
報告書区分
総括
研究課題名
ゲノム研究、プロテオーム研究に適用可能な「病理解剖組織バンク」の開発
課題番号
H19-生物資源-一般-010
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
沢辺 元司(東京都老人医療センター 剖検病理科)
研究分担者(所属機関)
  • 新井冨生(東京都老人医療センター 臨床病理科)
  • 白澤卓二((財)東京都高齢者研究・福祉振興財団 東京都老人総合研究所・老化ゲノムバイオマーカー研究チーム)
  • 戸田年総((財)東京都高齢者研究・福祉振興財団東京都老人総合研究所・老化ゲノムバイオマーカー研究チーム)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 創薬基盤推進研究(生物資源研究)
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
9,750,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
従来、医学研究には人由来試料を供給するシステムが必要であるにもかかわらず、日本における取り組みは乏しい。本研究の目的はゲノム研究、プロテオーム研究に適用可能な「病理解剖バイオリソース」を開発し、人由来試料の供給システムを開発する事にある。
研究方法
1.病理解剖バイオリソースの法律的検討:病理解剖組織由来の組織バンクは国内でこれまでに例がないので、まず法律的検討を行った。
2.人由来試料バンクの調査:現在、国内で運営されている以下の人由来試料バンクについて活動調査を行った:ヒューマンサイエンス研究資源バンク、エッチ・エー・ビー研究機構(HAB)、理化学研究所バイオリソースセンター(BRC)、臨床研究・教育支援センター(SCCRE)「ヒト組織バンク」、神奈川がん臨床研究・情報機構 腫瘍組織センター、パーキンソン病ブレインバンク。
3.病理解剖試料の品質管理について:病理解剖検体からのDNA、タンパクをPCRやプロテオーム解析の試料とする場合の品質管理について基礎的検討を行なった。
結果と考察
1.病理解剖バイオリソースの法律的検討:東海大学法科大学院 宇都木教授に法律学的検討を依頼した。本研究で設立する「病理解剖組織バンク」を規定する既存の法律はなく、研究用組織利用の必要性と適正さを提示できればその範囲で適法であることが分かった。
2.人由来試料バンクの調査:人由来試料バンクを規定する法律や専門に管轄する組織がないため、個々のバンクの内容が多様であること、一般研究者に開かれたオープンなヒト組織バンクがないことが分かった。
3.病理解剖バイオリソース機構の設立準備:上記調査により、本研究で設立する病理解剖組織バンクのモデルとしては神奈川「腫瘍組織センター」が適切であることが分かった。そこで腫瘍組織センターの文書を参考に研究班案を作成し、機構事務局を開設した。更に高齢者ブレインバンクとの統合を図った。
3. 病理解剖試料の品質管理について:死後90時間以内に採取した組織から抽出したDNAは良好な品質を保持していた。またタンパク試料は死後直ちに低温室に移し、1時間以内に組織を採取して凍結保存すれば良好な品質を保持していた。
結論
人由来試料バンクの創設には十分な法律的、倫理的検討が不可欠である。今年度の研究により、病理解剖バイオリソースの法律的検討が終了し、バイオリソース機構の研究班案が作成され、機構事務局が開設された。

公開日・更新日

公開日
2008-06-11
更新日
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