がんの高度専門医療施設において研究用に提供される試料及び情報を統合したバイオバンク構築と、その実証的活用に基づくがんの分子解析に関する研究

文献情報

文献番号

200711009A

報告書区分

総括

研究課題名

がんの高度専門医療施設において研究用に提供される試料及び情報を統合したバイオバンク構築と、その実証的活用に基づくがんの分子解析に関する研究

課題番号

H19-生物資源-一般-009

研究年度

平成19(2007)年度

研究代表者(所属機関)

金井　弥栄(国立がんセンター研究所　病理部)

研究分担者(所属機関)

研究区分

厚生労働科学研究費補助金厚生科学基盤研究分野創薬基盤推進研究（生物資源研究）

研究開始年度

平成19(2007)年度

研究終了予定年度

平成21(2009)年度

研究費

10,000,000円

研究者交替、所属機関変更

研究報告書（概要版）

研究目的

高い診療情報・病理情報が付随した豊富な臨床試料よりなる研究資源バンクを、国立がんセンターに整備する。バンクの活用が、がんの予防・診断・治療の標的候補同定に有益であることを実証する。バンク構築のノウハウを全国のがん診療連携拠点病院等に提供し、バンクの標準化に資することを目指す。

研究方法

標本管理情報と院内がん登録情報を匿名化の上統合し、提供者の同意を確認できるカタログシステムの開発を進める。国立がんセンターに蓄積されてきた研究資源をバイオバンクに移管するとともに、病理組織標本・血清標本を新規に受け入れる。バンク保管試料を研究者に払い出す。現有試料を適切な環境下に保管する。保管試料が最新のオーム解析に利用可能なことを示すため、倫理委員会の承認を得て実証的分子解析を行う

結果と考察

院内がん登録アプリケーションHos-CanR 2.1に機能を付加する形で、カタログシステムの開発を進めた。要請のあったがん診療連携拠点病院に、Hos-CanR 2.1バイオバンク版を無償供与した。研究代表者は生物資源研究合同班会議に出席し、厚生科学行政上の要請の把握に努めた。セキュリティー対策と液体窒素タンク・冷凍冷蔵庫等の設備を備えたバイオバンク事務室を開設し、管理実務担当者を雇用して教育した。バイオバンク事務室運用規程・標準作業手順書を策定した。病理組織標本33,000検体・血清標本110,000検体が、平成19年度にバイオバンクに移管された。平成19年度に、病理組織標本3,000検体程度を新規に受け入れる一方で、国立がんセンターの研究者が倫理委員会の承認を得て行う研究のために病理組織標本1,000検体程度を払い出した。現有試料は、核酸・蛋白等の変性を防ぎ直ちに研究の用に供せる質を保持すべく適切な環境下に保管している。倫理委員会の承認を得ておこなう諸臓器がんの多段階発生過程におけるゲノム構造異常の網羅的解析等に保管試料を供し、良好な結果を得た。

結論

保管試料が最新のオーム解析に耐えるに充分な質を保持していることがわかった。今後は、カタログシステムの改良とカタログシステムのがん診療連携拠点病院等への無償配布を継続する。共同研究を通して試料を外部研究者にも提供し、我が国のがん研究の発展に寄与することを目指す。