天然資源を元にした新規医薬リード化合物の開発に関する研究

文献情報

文献番号
200711008A
報告書区分
総括
研究課題名
天然資源を元にした新規医薬リード化合物の開発に関する研究
課題番号
H19-生物資源-一般-008
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
関田 節子(徳島文理大学 香川薬学部)
研究分担者(所属機関)
  • 渕野 裕之((独)医薬基盤研究所・薬用植物資源研究センター)
  • 黒柳 正典(県立広島大学)
  • 細川 敬三(兵庫大学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 創薬基盤推進研究(生物資源研究)
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
10,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
全世界には約34万種の植物があり、その30%が民間薬的に利用されており、そのうち一部の植物成分は医薬品や医薬品のリード化合物として利用されてきた。また、成分と薬効との因果関係が明らかでない民間薬から画期的な医薬品が見つかる可能性が高く、これまでに重要な医薬品が薬用植物から見いだされてきた。最新のゲノム創薬といった新しい創薬手法の開発の中でも、ゲノム情報から得られたターゲットタンパク質に作用するリード化合物として天然物の重要性が再認識され薬用植物資源の創薬への有効活用が望まれている。
 本研究では、薬用植物資源研究センターが保有する植物を利用して、メタボリックシンドロームを中心とする多元的なスクリーニングを行い、活性物質を明らかにし新薬開発のリード化合物としての可能性を探ることを目的とする。
研究方法
文献調査により民間薬的に利用されていても成分と薬効について未検証である薬用植物を選択し、抽出エキスを作成する。次いで、脂肪細胞分化抑制、アディポネクチン量測定等のメタボリックシンドローム関連因子についてアッセイし、生物活性を指標にして活性化合物の特定、誘導体による構造活性相関、メカニズム解明を行う。
結果と考察
今年度は、南米産生薬46種、東南アジア産39種、北海道研究部保有植物109種、筑波研究部保有植物225種、種子島研究部保有植物327種、合計742種類等についてアッセイを実施した。アミラーゼ阻害活性糖吸収抑制活性では、現在までの結果では、チョウジ、シクンシ科の植物A等12種に活性が認められた。植物Aにおいては1/1000濃度で約30%の抑制活性を示した。抗肥満活性においては、植物B、トウダイグサ科の植物Cにおいて1/100濃度で約50%近く脂肪分化を抑制した。今回検討した植物の活性のうち数種は文献未記載であり、今後の活性本体の究明に興味がもたれる。(注:一部の植物に関しては特許取得などの理由により学名を非開示とし、それらについてはアッルファベットでの記載とした)
結論
当該研究機関で保有している薬用植物およびこれまでに収集した海外の薬用植物・生薬について文献調査を行いメタボリックシンドローム、癌、熱帯感染症を対象に活性試験を行った。その結果、これまでに未検討であった活性が認められ、一部については活性本体の化合物を分離し、新規化合物、既知化合物の化学構造を明らかにした。

公開日・更新日

公開日
2008-04-21
更新日
-