ヒト免疫機構を構築した新規「ヒト化マウス」を用いたエイズワクチン・治療薬評価系の開発

文献情報

文献番号
200710020A
報告書区分
総括
研究課題名
ヒト免疫機構を構築した新規「ヒト化マウス」を用いたエイズワクチン・治療薬評価系の開発
課題番号
H19-政策創薬-一般-008
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
田中 勇悦(国立大学法人琉球大学 大学院医学研究科/医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 山本直樹(国立感染症研究所エイズ研究センター)
  • 小柳義夫(京都大学ウイルス研究所)
  • 伊藤守((財)実験動物中央研究所)
  • 藤田次郎(国立大学法人琉球大学 大学院医学研究科/医学部 )
  • 大隈和(国立大学法人琉球大学 大学院医学研究科/医学部 )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 創薬基盤推進研究(政策創薬総合研究)
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
30,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
ヒト免疫機構細胞を構築した免疫不全マウス“ヒト化マウス”をHIV個体感染実験モデルとして、エイズ新規ワクチンや予防治療薬候補の評価系へと開発・普及する目的で研究を行なった。
研究方法
免疫不全マウスは、実中研より提供された。移植するヒト細胞の提供と動物移植は各所属機関の倫理委員会や動物実験委員会等で承認を受けた後に実施された。ヒト化マウスの作製と利用は、(1)PBMCを移植したhu-PBL-SCIDマウスはヒト樹状細胞(DC)の免疫誘導能を利用してHIVワクチンの評価や新規治療法の評価に用い(2)ヒト造血幹細胞(CD34+)を移植したNOGマウスはHIV-1の長期持続感染における抗HIV-1薬やヒト抗体応答の評価に用いいた。
結果と考察
本年度は、初年度であるので班員のオリジナリティを生かしそれぞれの研究範囲を拡大し以下の5項目について結果を得た。(1)ヒト樹状細胞(DC)の新たな分化誘導法を開発しその新たな免疫誘導能について検討し、さらに制御性T細胞の除去法の確立とその免疫誘導へ応用を試みた。(2) ヒト造血幹細胞を移植したヒト化マウスの開発とその長期感染モデルとしての応用範囲の拡大を試みた。(3)新たなエイズ治療戦略しての組み換えVSVを調製し、ヒト化マウスでの評価を始めた。効果が認められている。(4)ヒトIL-4を分泌する新たな高度免疫不全マウス作出とその長期HIV感染実験への応用について検討を始めた。(5)日本人未治療HIV感染者からの野生HIV株の分離と保存を始め、感染実験への適用について検証を始めた。このような本年度の基盤をもとに来年度には、新規評価系システムの検証とさらなるバージョンアップを求める。
結論
我々の研究班では、世界でも最高レベルの免疫不全マウスを使って、ヒトPBMCあるいはCD34陽性ヒト造血幹細胞を移植して、ヒト化マウスを作製し、その普及化と鋭敏化に挑戦しているの。これらのヒト化マウスを使い分けることによって、HIV薬剤やワクチンの短期あるいは長期の詳しい評価の可能性が示唆された。

公開日・更新日

公開日
2008-04-11
更新日
-