文献情報
文献番号
200710019A
報告書区分
総括
研究課題名
HIV吸着・膜融合過程を標的とする多剤耐性克服型HIV化学療法剤の開発
課題番号
H19-政策創薬-一般-007
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
松岡 雅雄(京都大学ウイルス研究所感染免疫研究領域)
研究分担者(所属機関)
- 藤井 信孝(京都大学大学院薬学研究科 )
- 児玉 栄一(京都大学ウイルス研究所感染免疫研究領域 )
- 大石 真也(京都大学大学院薬学研究科)
- 村上 努(国立感染症研究所エイズ学研究センター)
- 西垣 純爾(富士フィルム株式会社)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 創薬基盤推進研究(政策創薬総合研究)
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
30,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
耐性HIVの出現は治療上大きな脅威であり、その克服には新たな標的に対する抗HIV剤の開発が必要である。本研究では、HIV吸着・膜融合過程を標的とした強力かつ安全な新規抗HIV剤を開発することを目的とする。
研究方法
抗HIV-1活性はMAGI法で測定した。gp41由来ペプチドの結晶化後にX線構造解析を行った。
結果と考察
抗HIV-1活性測定法の開発:NCK-45細胞にレポーター遺伝子を導入したNCK-β-Gal/SEAP細胞を使った抗HIV-1活性測定法を検討しMAGI細胞と同等の特異性・感度を有していた。
融合阻害ペプチドの抗HIV-1活性:C34から5アミノ酸を少なくしたC29は抗 HIV-1活性を示さなかったが、SC34EKから5アミノ酸を削減したSC29EKはHIV-1WTやT-20耐性HIV-1に対してSC34EKと同等の抗HIV-1活性を示した。
SC29EKの抗HIV-1活性メカニズムの解析:SC29EKの強い抗HIV-1活性機構を明らかにするために解析を行いαヘリックス性の増強が抗HIV-1活性に関与すると考えられた。
構造解析:HIV-1野生株、T-20耐性株のgp41 N-領域部分ペプチドとC-領域部分ペプチドを調製し複合体の結晶を得た。X線構造解析により3:3の比で結晶構造を構成しており互いのペプチドが逆平行型に相互作用していた。T-20耐性変異部位に着目すると、Asp43は、Arg46と塩橋を形成し、Glu137とは水分子を介した水素結合により連結していた。
低分子膜融合阻害剤の開発研究:化学合成法を確立した。
CXCR4阻害剤:経口吸収性を示すCXCR4阻害剤KRH-3955に関して解析を行った。X4, R5X4 HIV-1の複製をEC50: 1-4 nMという低濃度で抑制した。CXCR4変異体を使い結合責任アミノ酸を解析し、Asp262、His281と相互作用することが示された。
融合阻害小分子化合物の探索:融合阻害活性を有する小分子化合物を同定していたが、更に活性が強い化合物を探索した。3000種類以上の化合物を検討し、EC50が100nM前後の強い抗HIV活性を有する化合物を複数見出している。
融合阻害ペプチドの抗HIV-1活性:C34から5アミノ酸を少なくしたC29は抗 HIV-1活性を示さなかったが、SC34EKから5アミノ酸を削減したSC29EKはHIV-1WTやT-20耐性HIV-1に対してSC34EKと同等の抗HIV-1活性を示した。
SC29EKの抗HIV-1活性メカニズムの解析:SC29EKの強い抗HIV-1活性機構を明らかにするために解析を行いαヘリックス性の増強が抗HIV-1活性に関与すると考えられた。
構造解析:HIV-1野生株、T-20耐性株のgp41 N-領域部分ペプチドとC-領域部分ペプチドを調製し複合体の結晶を得た。X線構造解析により3:3の比で結晶構造を構成しており互いのペプチドが逆平行型に相互作用していた。T-20耐性変異部位に着目すると、Asp43は、Arg46と塩橋を形成し、Glu137とは水分子を介した水素結合により連結していた。
低分子膜融合阻害剤の開発研究:化学合成法を確立した。
CXCR4阻害剤:経口吸収性を示すCXCR4阻害剤KRH-3955に関して解析を行った。X4, R5X4 HIV-1の複製をEC50: 1-4 nMという低濃度で抑制した。CXCR4変異体を使い結合責任アミノ酸を解析し、Asp262、His281と相互作用することが示された。
融合阻害小分子化合物の探索:融合阻害活性を有する小分子化合物を同定していたが、更に活性が強い化合物を探索した。3000種類以上の化合物を検討し、EC50が100nM前後の強い抗HIV活性を有する化合物を複数見出している。
結論
今年度の研究から融合阻害剤耐性機構を構造学的に明らかにすると共に融合阻害ペプチド製剤の低分子化に成功した。融合阻害活性を有する小分子化合物を同定しており、今後開発を進めて行く。
公開日・更新日
公開日
2008-07-18
更新日
-