宿主側及びウイルス側要因からみたHIV感染症の病態解明と新規医薬品・診断薬品の開発によるエイズ発症防止の研究

文献情報

文献番号
200710016A
報告書区分
総括
研究課題名
宿主側及びウイルス側要因からみたHIV感染症の病態解明と新規医薬品・診断薬品の開発によるエイズ発症防止の研究
課題番号
H19-政策創薬-一般-004
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
岩本 愛吉(東京大学 医科学研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 塩田達雄(大阪大学 微生物病研究所)
  • 松下修三(熊本大学 エイズ学研究センター)
  • 市村 宏(金沢大学 大学院医学系研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 創薬基盤推進研究(政策創薬総合研究)
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
32,375,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
先進工業国においては、抗レトロウイルス療法(ART)が普及し、治療を受けているHIV感染者の予後は著しく改善した。しかし、薬剤耐性ウイルスの問題や薬剤長期服用による毒性がしばしば問題となっている。抗ウイルス薬以外のエイズ発症阻害法の開発は非常に重要な課題である。もちろん、高価な抗HIV薬が購入できない途上国にとっての意義も大きい。本研究は(1)ゲノム情報を駆使した宿主因子の解明、(2)HIVに対する細胞性及び液性獲得免疫の解析とその応用、(3)ケニアやタイ、日本の臨床現場と直結したウイルスと宿主の研究である、ことを特徴とする。
研究方法
タイ国でHLA-Cの遺伝子型と臨床経過と比較した。TRIM5αの発現を改変した細胞でのHIV感染効果を検討した。非BサブタイプHIV-1に感染しているケニアの母子感染児の血漿中のHIV-1逆転写酵素遺伝子領域の塩基配列およびアミノ酸配列を解析した。HIV-1慢性感染細胞の細胞表面に対する抗体の結合活性をsCD4または低分子化合物の有無とともに解析した。組換えバキュロウイルスを用いて単鎖抗体をヒトIgGへと組換え、発現させた。
結果と考察
HLA-Cw*04がネビラピンによる薬疹発症と強く相関していることが明らかになり、副作用を未然に防ぐことのできる可能性が示唆された。RIM5αに加え、旧世界サルの細胞中ではサイクロフィリンAもHIV-1感染を阻害することが明らかになった。非サブタイプB型HIV-1では、サブタイプB型HIVとは異なるRTI耐性関連アミノ酸変異の出現パターンをとる場合があることが示唆された。分子量350前後の低分子化合物中にsCD4に似た立体構造変化を引き起こすものが存在し、しかもV3に対する中和抗体の抗ウイルス効果を増強する機能を持つことを証明できた。HIV Nefタンパク質由来抗原ペプチド(Nef138)を提示したHLA-A*2402分子を特異的に認識する完全ヒト型単クローン抗体を樹立した。HIV由来抗原ペプチドを提示したMHC class I/ペプチド複合体に結合する単クローン抗体を樹立した初めての報告である。
結論
事前の遺伝子検査により、途上国で最も汎用されている抗HIV薬ネビラピンの副作用を回避できる可能性が生まれた。旧世界サルの細胞における抗HIV宿主因子の同定は、ヒトの細胞との差異の解析に興味が持たれ、さらにその結果を人の治療に応用できる可能性がある。低分子化合物の開発により、中和抗体が治療応用される可能性に道が開けた。HIVの抗原提示研究に新たな方法の可能性を開いた。研究は順調に進んでいる。

公開日・更新日

公開日
2008-04-17
更新日
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