国内未承認エイズ治療薬等を用いたHIV感染症治療薬及びHIV感染症至適治療法の開発に係る応用研究

文献情報

文献番号
200710014A
報告書区分
総括
研究課題名
国内未承認エイズ治療薬等を用いたHIV感染症治療薬及びHIV感染症至適治療法の開発に係る応用研究
課題番号
H19-政策創薬-一般-002
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
福武 勝幸(東京医科大学 医学部・臨床検査医学講座)
研究分担者(所属機関)
  • 青木 眞(東京医科大学 医学部・臨床検査医学講座)
  • 味澤 篤(東京都立駒込病院)
  • 岩本 愛吉(東京大学医科学研究所)
  • 菊池 嘉(国立国際医療センター)
  • 木村 哲(東京逓信病院)
  • 篠澤 圭子(東京医科大学)
  • 白阪 琢磨(国立病院機構大阪医療センター)
  • 高田 昇(広島大学医学部)
  • 花房 秀次(荻窪病院)
  • 松宮 輝彦(東京医科大学)
  • 三間屋 純一(静岡県立こども病院)
  • 山元 泰之(東京医科大学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 創薬基盤推進研究(政策創薬総合研究)
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
142,800,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
HIV感染の病態は進行性で、治療が遅れると様々な合併症が出現して予後不良となる。しかし、近年の治療薬の進歩により、予後は大きく改善し長期間生存可能な疾患となった。日本では血液凝固因子製剤による感染者が多数おり、この特殊な状況も重要な問題である。感染者の生命を守るために、最新の治療薬の導入は迅速で、使用は適切でなければならない。 本研究は治療上欠くことのできない薬剤を供給する人道的な役割も担っている。
研究方法
この研究は平成8年度に当時の厚生省薬務局研究開発振興課との協力により、HIV感染症及びエイズとその症随伴状の治療を日本の臨床現場に迅速に導入するための一つの方策として開始した。日本で未承認の治療薬のうち、分担研究者として参加している専門医が早急に必要と判断した薬剤を医師個人輸入により輸入し、海外の承認条件に基づいて治療に応用し、治療成績を収集する形式で薬剤の緊急導入し、同時に至適治療法の開発を目指している。情報公開のために研究班のホームページを有し、薬剤の情報を患者と医療者双方へ迅速に提供すると共に、最新の治療情報の提供や新規導入薬の情報を提供し医療水準の向上に寄与する。
結果と考察
ホームページへのアクセスは既に60万件を超えている。平成8年4月1日から平成20年2月29日までに、延べ2,455例へ6,160件の薬剤送付(IFNを除く)が行われた。この1年間(平成19年4月1日?平成20年2月29日)の申請は、延べ患者数と延べ送付回数でそれぞれ271例と682件であった。ほとんどの症例で薬剤供給の継続申請がある。患者数、年間供給件数ともに増加傾向が続いている。今回の研究期間中の有害事象報告は18件あり、軽症6件、中等度6件、重篤3件、不明3件であった。これらの症例のうち1例が死亡、2例が転帰不明であるが、他は軽快ないし回復している。
結論
今回の研究期間では、昨年に続き新しい抗HIV薬Prezistaの供給を少数例に行なった。供給量の多い薬剤の理由はトキソプラズマ症の治療に承認薬がなく、ニューモシスチス肺炎、非定型抗酸菌症の治療のために承認済み薬剤では種類が足りないためである。今後ともHIV感染症に係る適切な治療の発展のために本研究は重要であり、継続的な活動が必要と考えられる。

公開日・更新日

公開日
2008-06-26
更新日
-