文献情報
文献番号
200710011A
報告書区分
総括
研究課題名
新型インフルエンザ用ワクチンの有効性・安全性確保に関する研究
課題番号
H18-創薬-一般-033
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
小田切 孝人(国立感染症研究所ウイルス第3部)
研究分担者(所属機関)
- 田代 眞人(国立感染症研究所ウイルス第3部)
- 河岡 義裕(東京大学医科学研究所分子ウイルス学)
- 今井 正樹(国立感染症研究所ウイルス第3部)
- 二宮 愛(国立感染症研究所ウイルス第3部)
- 長谷川 秀樹(国立感染症研究所感染病理部)
- 高橋 宜聖(国立感染症研究所免疫部)
- 神谷 齊(国立病院機構三重病院)
- 城野 洋一郎((財)化学及血清療法研究所第2研究部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 創薬基盤推進研究(政策創薬総合研究)
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
18,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
高病原性H5N1鳥インフルエンザ由来のパンデミックの発生が危惧されている。本研究はパンデミック発生前に新型インフルエンザワクチンの供給体制の完成、新型ワクチン開発研究の推進、さらには次世代の培養細胞インフルエンザワクチンの開発と実用化へ進展させることを目的としている。
研究方法
1.GMP-LLCMK2細胞のRG-ワクチン株作製、製造への応用研究
2.マウスにおけるクレード2.1、2.2-H5N1ワクチンの効果評価
3.経鼻接種ワクチン用アジュバントの予防効果の検討
2.マウスにおけるクレード2.1、2.2-H5N1ワクチンの効果評価
3.経鼻接種ワクチン用アジュバントの予防効果の検討
結果と考察
1.ヒト用ワクチン株作製用GMP-LLCMK2細胞のRG-ワクチン株開発および製造効率の検討
・本研究において開発と細胞バンキングが完了したGMP-LLCMK2細胞は、H5亜型のみならずA/H6,A/H7,A/H9亜型ウイルス由来のRG-ワクチン株も効率良く作製できた。これはRG- A/H7亜型ウイルスを全く回収できないVero細胞を超える利点である。
・季節性インフルエンザワクチン株(H1N1, H3N2, B)の製造効率をGMP-LLCMK2細胞とMDCK-CCL34細胞で比較した。ワクチン株の増殖はMDCK-CCL34細胞が相対的に高いが、H3N2やB型ワクチン株の製造には培養条件によってはGMP-LLCMK2細胞も採用可能であった。
・よって、GMP-LLCMK2細胞はRG弱毒化ワクチン株開発から製造まで使用できる可能性があり、培養細胞ワクチンへの応用が期待される。
2.マウスにおけるクレード2.1、2.2-H5N1弱毒化アルムアジュバントワクチンの評価
・A/Indonesia/5/2005株(クレード2.1)、A/turkey/Turkey/1/2005株(クレード2.2)由来の弱毒化アルムアジュバント不活化ワクチンの抗体価上昇率、交叉免疫性を検討した。同一クレードウイルスには有効な感染防御効果を示したが、異なるクレード1との交叉免疫性は弱かった。
・よって、クレード2ワクチンは、複数の候補株からワクチン製造が必要である。
3.経鼻接種ワクチン用アジュバントよる高病原性鳥インフルエンザの予防効果の検討
・キチン微粒子を感染前にマウス投与し、その後にH1N1およびH5N1株を致死感染させた。その結果、キチン微粒子の事前投与により生存率を上げることができた。
・これは、局所リンパ装置へのNK細胞の遊走とTRAIL発現、活性化が関与していると思われた。
・本研究において開発と細胞バンキングが完了したGMP-LLCMK2細胞は、H5亜型のみならずA/H6,A/H7,A/H9亜型ウイルス由来のRG-ワクチン株も効率良く作製できた。これはRG- A/H7亜型ウイルスを全く回収できないVero細胞を超える利点である。
・季節性インフルエンザワクチン株(H1N1, H3N2, B)の製造効率をGMP-LLCMK2細胞とMDCK-CCL34細胞で比較した。ワクチン株の増殖はMDCK-CCL34細胞が相対的に高いが、H3N2やB型ワクチン株の製造には培養条件によってはGMP-LLCMK2細胞も採用可能であった。
・よって、GMP-LLCMK2細胞はRG弱毒化ワクチン株開発から製造まで使用できる可能性があり、培養細胞ワクチンへの応用が期待される。
2.マウスにおけるクレード2.1、2.2-H5N1弱毒化アルムアジュバントワクチンの評価
・A/Indonesia/5/2005株(クレード2.1)、A/turkey/Turkey/1/2005株(クレード2.2)由来の弱毒化アルムアジュバント不活化ワクチンの抗体価上昇率、交叉免疫性を検討した。同一クレードウイルスには有効な感染防御効果を示したが、異なるクレード1との交叉免疫性は弱かった。
・よって、クレード2ワクチンは、複数の候補株からワクチン製造が必要である。
3.経鼻接種ワクチン用アジュバントよる高病原性鳥インフルエンザの予防効果の検討
・キチン微粒子を感染前にマウス投与し、その後にH1N1およびH5N1株を致死感染させた。その結果、キチン微粒子の事前投与により生存率を上げることができた。
・これは、局所リンパ装置へのNK細胞の遊走とTRAIL発現、活性化が関与していると思われた。
結論
・本研究で開発したGMP-LLCMK2細胞を用いることにより、わが国でもヒト用のH5N1弱毒化ワクチン株の作製と供給が可能となった。
公開日・更新日
公開日
2008-04-11
更新日
-