赤血球・酸素輸液の有効利用を目的としたヒト組換型アルブミン修飾製剤の開発(課題番号)

文献情報

文献番号
200710009A
報告書区分
総括
研究課題名
赤血球・酸素輸液の有効利用を目的としたヒト組換型アルブミン修飾製剤の開発(課題番号)
課題番号
H18-創薬-一般-025
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
末松 誠(慶應義塾大学・医学部 医化学教室)
研究分担者(所属機関)
  • ライアン マーシャル ベートマン(慶應義塾大学・医学部 医化学教室)
  • 中城 圭介(㈱ニプロ医薬品研究所)
  • 片山 富博(愛媛大学医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 創薬基盤推進研究(政策創薬総合研究)
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
11,100,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究はショック時に投与されるヘモグロビン含有製剤の投与量を必要最低限とし,かつ最大の組織ガス交換効率を発揮するヒト組換型アルブミン修飾製剤(PEG-hrAlb)を創製し,血液製剤の確保と使用量最適化に資する技術開発を行うことを最終的な目的とする.平成19年度はPEG-rHSAの長期保存試験,加速試験,温度及び光苛酷試験などの安全性試験を行った.また出血性ショックモデルを作製し,本製剤投与における組織エネルギー代謝を検討すべくメタボローム解析を実施し,その有効性を検証した.
研究方法
安全試験に関しては,平成18年度に確立した製造法により調整したPEG-hrHSAを用いた.動物実験に関してはマウスを腹腔内投与により麻酔後,気管挿管し,脱血・輸液の投与,肝臓・心臓の摘出を行った.摘出した臓器にメタノールを加え,冷却しながら均一化した.さらに蒸留水を加え,クロロホルム処理後,水層をフィルタ処理した後に代謝測定用サンプルとして調整した.
結果と考察
熱安定性の検討から変性中点温度は62.0°Cで,変性過程は多状態転移の可能性が示唆された.また,各条件下に保存したPEG-rHSAに関して蛍光スペクトル及びCDスペクトル,新たにHPLC法やSDSポリアクリルアミドゲル電気泳動法等を加え,多面的に品質の変化を解析する新たな課題を得た.一方,PEG-rHSA投与した際の組織への酸素運搬および臓器機能の維持の側面を検討すべく,心臓および肝臓における網羅的代謝測定を実施した結果,特に肝臓ではPEG-hrAlb投与ではATP産生量は他の輸液群と同レベルに維持され,生理食塩水群に比べて高値を示した.以上からショックからのエネルギー回復に関しては対照群同等に維持され,酸化還元バランスも良好であることが示された.
結論
本研究で製造法を確立したPEG-hrHSAはサンプル間の物性誤差が極めて小さく,物性的に安定した調整が可能である.生体計測実験において,昨年度明らかにした一酸化窒素(NO)による血流改善効果に加え,代謝の改善効果をメタボローム解析法を用いることで証明した.

公開日・更新日

公開日
2008-04-17
更新日
-