治療薬としてのヒトモノクローン抗体製剤化に関する研究

文献情報

文献番号
200710008A
報告書区分
総括
研究課題名
治療薬としてのヒトモノクローン抗体製剤化に関する研究
課題番号
H18-創薬-一般-024
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
黒澤 良和(藤田保健衛生大学 総合医科学研究所抗体プロジェクト)
研究分担者(所属機関)
  • 奥野 良信(阪大微生物病研究会 観音寺研究会)
  • 白木 公康(富山大学 医学部)
  • 浅野 喜造(藤田保健衛生大学 医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 創薬基盤推進研究(政策創薬総合研究)
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
9,250,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本プロジェクトは、感染症を中心とした各種疾患に対して治療に役立つヒトモノクローン抗体開発を目的として、具体的にはインフルエンザ、VZV、サイトメガロウィルスを対象としている。最初それぞれの疾患ウィルスに対して中和活性を示すヒトモノクローン抗体を単離したのち、完全IgG型抗体を大量調製し、最終的に疾患モデル動物を用いてin vivoでの抗ウィルス効果を調べる。
研究方法
ウィルス疾患患者を治療することから頻繁にウィルス感染を受けていると推定される小児科医の協力を得て、apheresisにより大量のBリンパ球を採取し、ファージディスプレー系を用いて巨大抗体ライブラリーを作製する。その中からインフルエンザウィルスに対しては1968年から2004年までに使われた12種類のH3N2型ワクチン株、VZVについてはgHタンパク質、サイトメガロウィルスに対してはgBタンパク質を抗原として、多くのヒトモノクローン抗体を単離する。そして抗原結合性、ウィルス中和活性を測定する。
結果と考察
H3N2型インフルエンザウィルスを中和できる抗体の単離・解析により、ヒト体内に存在する中和抗体レパートリーの全体像を明らかにした。その中にはわずかかだが1968年から現在に至る全てのワクチン株を中和できる抗体が含まれていた。VZVに対して8種類の中和抗体を単離した。エピトープ解析の結果、6ヶ所の異なるエピトープに結合すると推定される抗体が存在し、全て中和活性を示した。更に、モルモットを用いた感染実験でウィルス増殖を抑制する抗体も含まれていた。サイトメガロウィルスに対する10種類の抗体を単離解析したが、それらは大きく3ヶ所の異なるエピトープを認識した。抗体単独ではウィルスを中和できないが、補体存在下で強い中和力を示した。
結論
インフルエンザウィルス、VZV、サイトメガロウィルス全てに対し、それぞれ充分に強い中和力を示すヒト抗体が単離され、それを完全IgG型ヒト抗体として調製した。それぞれin vitro、in vivoで強い中和活性、ウィルス増殖抑制効果を示すので、今後、治療薬開発へ向けて具体的作業に入る段階に到達した。

公開日・更新日

公開日
2008-04-11
更新日
-