人工酸素運搬体の臨床応用に関する研究

文献情報

文献番号
200710007A
報告書区分
総括
研究課題名
人工酸素運搬体の臨床応用に関する研究
課題番号
H18-創薬-一般-022
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
小林 紘一(慶應義塾大学医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 池田 久實(北海道赤十字血液センター)
  • 小田切 優樹(熊本大学大学院)
  • 村田 満(慶應義塾大学医学部)
  • 高折 益彦(東宝塚さとう病院)
  • 土田 英俊(早稲田大学理工学術院)
  • 酒井 宏水(早稲田大学理工学術院)
  • 山根 恒彦(㈱オキシジェニクス京都研究所)
  • 甲斐 俊哉(ニプロ㈱医薬品研究所)
  • 高野 久輝(ニプロ㈱総合研究所人工臓器開発センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 創薬基盤推進研究(政策創薬総合研究)
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
33,300,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
血液型がなく、長期保存が可能で、安全に大量に投与できる人工酸素運搬体を開発し、臨床応用へ向けた基礎的検討を進めることを目的とし、ヘモグロビンを脂質膜で被覆したヘモグロビン小胞体(HbV)の開発研究を行う。
研究方法
①中型動物としてBeagle犬を用い、出血性ショックモデルにおける大量投与、蘇生効果、長期生存による副作用を検討。②大量投与に伴う免疫系の混乱をHbV表面組成を変化させて検討。③ショック状態での体内動態をアイソトープを用いて検討。④遊離小腸の灌流保存の検討。⑤HbV投与時の血液型判定への影響を解析。また、簡易HbV除去法の臨床検査に及ぼす影響を検討。⑥膠質液と併用投与する際のレオロジー特性の解析。⑦製造された試料の均質性を動的光散乱、小角散乱法で検討。⑧HbVに使用される負電荷脂質の役割の検討。⑨HbV内でのガス拡散動態の解析。⑩他の人工臓器との適合性の評価。⑪厚生労働省科学研究用試料のの安定製造。⑫臨床応用のためのパイロットプラントの整備。を行った。
結果と考察
①Beagle犬での検討ではHbVは蘇生液として有効で、長期生存後の臓器機能、病理組織学的検討でも明らかな異常は指摘できず。②HbV大量投与は脾Tリンパ球の増殖抑制を起こし、脾内の2種類の細胞が関与している。③出血性ショック時にはHbVの半減期は平常時より短かく、分布領域も末梢コンパートメントに移行した。④遊離空腸における粘膜微小循環を維持し、Viabilityを向上させた。⑤HbV投与時の血液型検査には影響少なく、臨床検査には変換式が必要。⑥併用する膠質液により粘度は変動する。高粘度による塞栓形成は認めず。⑦製造されたHbVは粒径、膜制御ともに極めて均質。⑧補体活性化回避のためには陰性荷電基が重要。⑨脂質膜はガス拡散の障壁にはならず、NOは、外周側から吸着するため、吸着速度が遅くなる⑩HbVは人工肺、循環ポンプを用いても安定。⑪HbV試料製造を計画通り製造。⑬HbV製造の本年度はパイロットプラント建設を前提としたスケールアップを行った。
結論
中・大動物での安全性試験、免疫系への影響の詳細評価、病的状態での代謝状況を評価し、HbVの高い能力が明らかとなった。臨床検査法の確立、HbVの物理化学的特性の把握、均質な安定製造が可能であった。臨床応用へのステップを着実に進んでいる。

公開日・更新日

公開日
2008-04-14
更新日
-