血管炎治療のための人工ポリクローナルグロブリン製剤の開発と安全性確保に関する研究

文献情報

文献番号
200710005A
報告書区分
総括
研究課題名
血管炎治療のための人工ポリクローナルグロブリン製剤の開発と安全性確保に関する研究
課題番号
H18-創薬-一般-020
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
鈴木 和男(国立感染症研究所免疫部)
研究分担者(所属機関)
  • 大島 正道(国立感染症研究所免疫部)
  • 武曾 惠理(財団法人田附興風会北野病院研究所)
  • 相澤 義房(新潟大学大学院医歯学総合研究科)
  • 佐地 勉(東邦大学医療センター大森病院小児医療センター)
  • 小林 茂人(順天堂大学附属順天堂越谷病院 内科)
  • 今井 圓裕(大阪大学大学院医学系研究科)
  • 湯村 和子(自治医科大学 地域医療学センター)
  • 山縣 邦弘(筑波大学附属病院 腎泌尿器内科)
  • 布井 博幸(宮崎大学医学部)
  • 河内 正治(国立国際医療センター 手術部)
  • 大野 尚仁(東京薬科大学 薬学部)
  • 高橋 啓(東邦大学医療センター大橋病院 病理部)
  • 荒谷 康昭(横浜市立大学大学院 国際総合科学研究科)
  • 山本 健二(国立国際医療センター研究所国際臨床研究センター)
  • 宇野 賀津子(財団法人ルイ・パストゥール医学研究センター 基礎研究部)
  • 亀岡 洋祐(独立行政法人医薬基盤研究所生物資源研究部)
  • 野島 博(大阪大学微生物病研究所)
  • 平橋 淳一(東京大学医学部附属病院 腎臓内科)
  • 長尾 朋和(千葉大学大学院 医学研究院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 創薬基盤推進研究(政策創薬総合研究)
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
23,125,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
大量免疫グロブリン製剤(IVIg)は、重症感染症や川崎病の治療として使用されている。高齢者に発症し近年増加している自己免疫疾患に、より有効な免疫補助療法としてその適応拡大が検討されはじめている。血管炎である川崎病の治療には、IVIgが標準化療法として認可されていることや他の疾患へのIVIgの適応拡大から、その需要が増加している。この需要の増加に加え、血液製剤の安全性や医療経済の点からも、人工化することが今日的急務となっている。そこで、本研究では、免疫グロブリンを人工化することを目的とした。また、本製剤のin vitroでの評価法を検討することを目的とした。
研究方法
「基礎分科会」では、マウス型のストラテジーを用いてヒト型人工ガンマグロブリンを作製しその安全性を検討した。また、「臨床分科会」では、免疫グロブリン製剤によるIVIgの血管炎(RPGN)の探索試験を施行しつつ、ヒト型人工ガンマグロブリン臨床試験に向けた医師団による臨床研究を準備した。
結果と考察
これまでに、血管炎モデルマウス(川崎病、腎炎)開発とそれに有効なマウス型人工ガンマグロブリンを完成させ、ヒト型に特化した人工型ガンマグロブリンのプロトタイプの作製にも成功した。また、臨床応用に向けたin vitroでの体外診断法の開発を推進した。本研究は、社会的にも注目されはじめており(日経2月11日付)、今後、臨床応用に向けた開発を推進する。
結論
IVIg治療は、川崎病の主たる治療法として確立し、他の血管炎へのIVIgによる治療試験も当研究班が中心となり好成績を得て報告した。MPO-ANCA関連血管炎の発症率は、日本は欧米より高く、日本人に適したIVIg治療が要望されている。また、川崎病では乳幼児に、MPO-ANCA関連血管炎では高齢者に多発することや免疫グロブリンの需要の増加と安全性確保から、人工化が今日的急務であり、ヒト型人工免疫グロブリンのプロトタイプを開発してきた。国外からもその使用の要望が寄せられている。以上から、人工型は、自然型よりもリスクを軽減し、はるかに副作用の少ない安価な治療法として確立でき、他疾患への適用への拡大も見込まれ、国民の保健・医療ならびに医療経済に役立つことから期待が大きい。また、海外からの要望にも応えることができるなど国際的にも優位の立場にたっている。

公開日・更新日

公開日
2008-06-11
更新日
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