トキシコゲノミクスデータベースを活用した毒性メカニズムに基づく医薬品安全性評価に関する研究

文献情報

文献番号
200708014A
報告書区分
総括
研究課題名
トキシコゲノミクスデータベースを活用した毒性メカニズムに基づく医薬品安全性評価に関する研究
課題番号
H19-トキシコ-指定-001
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
漆谷 徹郎(独立行政法人医薬基盤研究所基盤研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 大野 泰雄(国立医薬品食品衛生研究所)
  • 菅野 純(国立医薬品食品衛生研究所毒性部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 創薬基盤推進研究(トキシコゲノミクス研究)
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
355,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
平成14-18年度に行われた「トキシコゲノミクスプロジェクト」(TGP1)において、約150の医薬品を中心とした化合物を投与したラット肝臓・腎臓について、トキシコゲノミクスデータベース・解析システム・安全性予測システムを構築し、TG-GATEsと命名した。本研究は、このTG-GATEsを最大限に活用し、1.安全性予測の向上・安全性バイオマーカーの開発 2.ゲノミクスデータからのヒトの副作用予測性の向上、3.医薬品審査におけるゲノミクスデータによる安全性評価への応用、の3点を達成しようとするものである。

研究方法
基盤研、国衛研、各企業の連携のもと、TG-GATEsシステムの維持・管理・改良、情報の更新を行うとともに、1.システムをフル稼働してバイオマーカーを得る、2.ラットとヒトの種差を克服する一手段として末梢血のトランスクリプトームによる予測の可能性を検討しつつ、他の手法の可能性を探る、3.ゲノミクスデータをレギュラトリーサイエンスへ応用するための一歩として、バリデーション試験を行う。種差のブリッジングに関しては、国衛研のヒト型マウスを用いた研究を分担研究とし、臨床データ取得を含めた各種ブリッジング戦略に関しては、次年度からの公募研究との連携によりこれを達成する。

結果と考察
計算用サーバーを導入し、データベース中の全データの標準化の検討を行った。また、本研究で目標とするバイオマーカーの定義を明確化し、研究方針を決定した。本年度は4種類の候補を得た。ラット末梢血遺伝子発現測定のプロトコールを確立し、4種類の化合物について、肝臓の病変を血球における遺伝子発現が反映しうるかの検討を行った。データ解析が終了するのが来年度6月ごろであり、評価はそれ以降に下すことになる。施設間バリデーションについては、計12社の参画を得て、少なくとも参加企業内ではSOPの違いがあっても遺伝子発現データの互換性は非常に高いことが示された。分担研究においては、薬剤代謝に大きな役割を果たすPXR受容体をヒト型に変換したマウスの作成に成功した。

結論
TGP1の成果を元に、これを活用する体制が整った。バリデーションの結果を含め、TG-GATEsの質・量は十分高いことが確認され、バイオマーカー抽出戦略も確定されたことから、全臨床における利用価値の高いマーカーが得られると期待できる。これを臨床応用可能なものに高めることが今後の課題である。

公開日・更新日

公開日
2008-04-10
更新日
-