文献情報
文献番号
200708002A
報告書区分
総括
研究課題名
ヒト肝3次元培養系、マウス・ヒト肝細胞融合系による新規医薬品毒性評価系に関する基盤研究
課題番号
H17-トキシコ-一般-002
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
小澤 正吾(岩手医科大学薬学部)
研究分担者(所属機関)
- 石田 誠一(国立医薬品食品衛生研究所薬理部)
- 宮島 敦子(国立医薬品食品衛生研究所薬理部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 創薬基盤推進研究(トキシコゲノミクス研究)
研究開始年度
平成17(2005)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
14,800,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
医薬品有害事象発現に関連する薬物代謝酵素誘導能評価可能な細胞培養系を構築する。健常ヒト肝mRNAの遺伝子発現の模倣を目指し、薬物代謝酵素の構成的発現ならびに誘導の機序を明らかにする。
研究方法
ヒト肝癌細胞株HepG2を平面培養、三次元培養した。対数増殖期細胞を薬剤(rifampicin 100 μM、dexamethasone 10μMAphenobarbital 250μM)に3日間暴露した。様々な条件下の細胞の遺伝子発現プロフィールを解析した。Paclitaxelで microtubuleを安定化させ、薬物代謝関連遺伝子の発現への影響を調べた。獨協医科大学およびHS研究資源バンクより供給された、転移性肝癌患者・非腫瘍部位30例につきCYP3A、PXR, CAR、RXRA mRNA発現量を定量した。これら遺伝子の候補miRNAを検索し、TaqMan Micro RNA Assay probeを用いてmiRNA発現量を測定した。ヒト肝組織の使用に係る倫理面への配慮を適正に行った。
結果と考察
薬物代謝関連遺伝子GAD1、CYP2B6、GSTP1、NAT2、GSTA3、SNN、SRD5A2、CHST1の発現が三次元培養環境下で3倍以上上昇した。Rifampicin、dexamethasone、phenobarbitalによりCYP3A4/5が誘導された。“細胞周期”、“コレステロール合成”、“細胞骨格”関連遺伝子、肝実質細胞のマーカーCK8が発現上昇した。CYP2B6、ABCC1、CYP3A4につきpaclitaxel処理濃度に依存して発現が上昇した。rifampicinによるCYP3A4誘導がさらに亢進した。CYP3A4遺伝子の発現量と正の相関を示すmiRNAと負の相関を示すmiRNAが存在し、CYP3A4の発現制御に関して異なる作用を示す可能性が示唆された。
結論
1.三次元培養環境では、薬物代謝動態関連遺伝子発現が高まり、“細胞周期”、“コレステロール合成”、“細胞骨格”に関連、肝実質・胆管上皮細胞マーカー遺伝子の発現上昇をみた。
2.microtubuleを安定化により、薬物代謝関連遺伝子であるCYP3A4、CYP2B6、ABCC1の発現上昇、rifampicinによるCYP3A4の誘導亢進を認めた。
3.CYP3A4の発現制御機構が異なるmiRNAの存在が示唆された。
2.microtubuleを安定化により、薬物代謝関連遺伝子であるCYP3A4、CYP2B6、ABCC1の発現上昇、rifampicinによるCYP3A4の誘導亢進を認めた。
3.CYP3A4の発現制御機構が異なるmiRNAの存在が示唆された。
公開日・更新日
公開日
2008-04-10
更新日
-