ヒトパピローマウィルス持続感染制御に関するゲノム医学からのアプローチ

文献情報

文献番号
200707041A
報告書区分
総括
研究課題名
ヒトパピローマウィルス持続感染制御に関するゲノム医学からのアプローチ
課題番号
H19-ゲノム-一般-006
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
吉浦 孝一郎(長崎大学大学院医歯薬学総合研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 増崎 英明(長崎大学大学院医歯薬学総合研究科)
  • 中山 大介(長崎大学大学院医歯薬学総合研究科)
  • 三浦 清徳(長崎大学医学部・歯学部附属病院)
  • 木住野 達也(長崎大学先導生命科学研究支援センター遺伝子実験施設)
  • 近藤 新二(長崎大学大学院医歯薬学総合研究科)
  • 三輪 晋智(特別医療法人 春回会 井上病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 創薬基盤推進研究(ヒトゲノムテーラーメード研究)
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
43,508,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目標は、子宮頚癌の発症リスクを高めている宿主であるヒトのSNPの検索を行い、SNPタイピングによって子宮頸癌検診の効率を高めること、またワクチン投与に関し科学的な基盤情報を得ることを目的とする。子宮頚癌の発症は、ほとんどがヒトパピローマウィルス(HPV)の持続感染によると考えられている。HPV感染はほとんど全ての女性が経験するが、90%以上が自然治癒すると考えられているのである。研究初年度に当たる本年度は、産婦人科学教室との連携による試料収集システムの構築、HPV感染患者試料収集、HPV型判定、とその傾向の解析を中心課題とした。
研究方法
子宮頸癌検診によって要精密検査とされた患者群からのスメアを採取し、細胞診とHPV型判定を同時に行い、細胞診の結果とHPV型を対比させHPV型頻度を算出する。また、長く患者を追跡調査することによりHPVが排除される患者群の試料収集を行い、子宮頚癌患者試料をHPV持続感染群と見なした試料収集も行う。HPVの型判定は、アンプリコア®リニアアレイHPVジェノタイピングキット(Roche ダイアグノスティック社)を採用した。それらの患者DNA試料をAffymetrix社のGeneChipシステムにより全ゲノム多型解析を行うことでHPV持続感染を規定するSNPの同定を行う。
結果と考察
長崎大学医学部・歯学部附属病院、長崎市民病院、日本赤十字社長崎原爆病院、佐世保市立総合病院の4箇所で試料収集を行った。平成19年9月から平成19年12月20日までに延べ211例の症例を収集した。HPV感染の型は、最も多いのが16型、次に52型、次に18型と58型が同数となっている。検出された全HPV型頻度において52型と58型(いずれも高リスク群)の割合が高く、16型・18型の割合が約45%、52型・58型が約35%程度である。扁平上皮癌に限ってみれば、むしろ52型・58型の方が多い。これは、いわゆる欧米で16型・18型が多いことに比して、かなり日本人特異的であることが分かる。
結論
ヒトパピローマウィルス持続感染制御にかかわるSNP探索に向けて研究が立ち上がり、試料収集が順調に進んでいる。SNPアレイの活用についても、技術面、コスト面からも使用するアレイが絞り込まれ、次年度でのタイピングに向けて順調に進んでいる。

公開日・更新日

公開日
2008-06-20
更新日
-