肉腫および悪性中皮腫を標的破壊する腫瘍溶解性ウイルスベクターのシードストックおよび臨床ロットの製造とその安全性・有効性評価に関する研究

文献情報

文献番号
200707034A
報告書区分
総括
研究課題名
肉腫および悪性中皮腫を標的破壊する腫瘍溶解性ウイルスベクターのシードストックおよび臨床ロットの製造とその安全性・有効性評価に関する研究
課題番号
H18-遺伝子-一般-003
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
高橋 克仁(大阪府立成人病センター 研究所病態生理学)
研究分担者(所属機関)
  • 山村 倫子(大阪府立成人病センター 研究所病態生理学)
  • 川口 寧(東京大学医科学研究所 感染症国際制御センター)
  • 城野 洋一郎(化学及び血清療法研究所 第二研究部)
  • 菅原 敬信(化学及び血清療法研究所 試作研究部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 創薬基盤推進研究(ヒトゲノムテーラーメード研究)
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
18,788,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
平滑筋肉腫など難治性肉腫と悪性中皮腫に対する腫瘍溶解性単純ヘルペスウイルス(HSV-1)を用いた標的遺伝子療法の速やかかつ適切な実用化・臨床応用を目指し、1)平滑筋肉腫・悪性中皮腫標的化腫瘍溶解性ウイルスのマスターウイルスシードストック・ワーキングウイルスシードストックを製造すること、2)効力試験、生物学的評価試験を経て臨床試験用最終バルク標品を製造することにある。
研究方法
1)平滑筋肉腫・悪性中皮腫標的化腫瘍溶解性HSV-1のウイルスバルクハーベストからウイルスシードストックを精製するためにアフィニティー担体を用いた。生物学的評価試験を実施するため、家兎抗HSV-1抗体を作製した。
2)塩基配列決定等ウイルス標品の規格化をはかり、均一なウイルスDNAを大量に精製するため、ヘルペスウイルスのゲノムDNAをBACmidに挿入するためのクローニングベクターを構築した。
結果と考察
研究代表者らが我が国で独自に開発したカルポニンプロモーターでICP4の合成を制御するカルポニン標的化組換えHSV-1d12.CALPΔRRと細胞の低酸素状態を感知して増殖し、固形腫瘍全般を標的化し得る組換えHSV-1の無血清培地を用いたウイルスのラージスケール精製の条件を検討した。続いて、平成18年度に確立したヒト悪性中皮腫と平滑筋肉腫のマウス実験モデルを用いて、効力試験を実施し、両腫瘍に対し低酸素標的化HSV-1の顕著な治療効果を得た。特に低酸素応答ウイルスがカルポニン非発現腫瘍細胞にも治療効果をもつことを確認した。また、ウイルスバルクハーベストからアフィニティー担体を用いてウイルスシードストックを精製する簡便かつ迅速な新規精製方法を確立した。生物学的評価試験に使用する抗HSV-1抗体を作製した。さらに、ヘルペスウイルスゲノムDNAをBACmidに挿入するためのクローニングベクターを用いて、ウイルスゲノム全長DNAのBACmidベクターへのクローニングを進めた。

結論
本年度の研究により、低酸素応答性で固形腫瘍全般を標的化し得る新規組換えHSV-1の中皮腫および平滑筋肉腫治療薬としての有用性が明らかになった。平成20年度に平滑筋肉腫と悪性中皮腫標的化腫瘍溶解性HSV-1のウイルスシードストックとバルク精製標品を製造するための基礎的データを得た。

公開日・更新日

公開日
2008-06-19
更新日
-