重篤な皮膚有害事象の診断・治療と遺伝子マーカーに関する研究

文献情報

文献番号
200707030A
報告書区分
総括
研究課題名
重篤な皮膚有害事象の診断・治療と遺伝子マーカーに関する研究
課題番号
H18-ファーマコ-一般-002
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
鹿庭 なほ子(国立医薬品食品衛生研究所 医薬安全科学部)
研究分担者(所属機関)
  • 頭金正博(国立医薬品食品衛生研究所 医薬安全科学部)
  • 黒瀬光一(国立医薬品食品衛生研究所 医薬安全科学部)
  • 斎藤嘉朗(国立医薬品食品衛生研究所 機能生化学部)
  • 高橋幸利(国立病院機構静岡てんかん・神経医療センター 臨床研究部小児科)
  • 古谷博和(国立病院機構大牟田病院 臨床研究部)
  • 松永佳世子(藤田保健衛生大学医学部 皮膚科学教室)
  • 池澤善郎(横浜市立大学大学院医学研究科 環境免疫病態皮膚科学教室)
  • 村松正明(東京医科歯科大学難治疾患研究所 分子疫学講座)
  • 小菅治彦(練馬総合病院 皮膚科)
  • 木下茂(京都府立医科大学 視覚機能再生外科学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 創薬基盤推進研究(ヒトゲノムテーラーメード研究)
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
14,760,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
重症薬疹のひとつであるスティーブンス・ジョンソン症候群(SJS)及び中毒性表皮壊死症(TEN)は、致死率の高い重篤副作用である。SJS/TENは、発症率こそ低いが、100以上の医薬品で発症することが指摘されており、年間400例以上の副作用報告がある。本研究では、重篤な副作用回避のための薬物治療の個別化を目指して、日本人の患者を対象としたケース・コントロール研究により、SJS/TENを発症しやすい体質や視力障害と関連する日本人患者に有用な遺伝子マーカーを探索・同定し、そのマーカーの検査キットを開発することとした。
研究方法
研究班の専門家によってSJS/TENと診断のついた新規発症症例57例について、PCR-SBT法によりHLA領域の解析を行った。また、同症例35例及び健常人対照群25例について、DNAマイクロアレイ(GeneChip Human Mapping 250K Nsp Array)によりゲノムワイドの多型解析を行った。眼合併症を伴う症例においては、患者57例とその健常人対照群160例を対象にTLR3の7つのSNPsを、また、患者70例と健常人対照群160名を対象にIL4Rの3つのSNPs(Ile50Val, Ser478Pro, Gln551Arg)を、ダイレクトシークエンス法にて解析した。
結果と考察
新規発症症例に関するHLA解析の結果、SJS/TEN発症群と日本人母集団値との間で頻度差が大きい数種のHLA型が見いだされたが、検定の多重性の補正後には有意差は消失した。DNAマイクロアレイによる解析では、SJS/TENの発症と関連する候補SNPsが複数個見いだされた。一方、眼合併症を伴うSJS/TEN患者を対象としたケース・コントロール研究においては、SJS/TEN患者と健常人との間では、TLR3の2つのSNPsのアレル頻度に有意な差を認め (それぞれオッズ比4.5および2.2)、また、IL4RのGln(A)551Arg(G)にも有意な差を認めた。これらの遺伝子多型が発症に関与する可能性が示唆され、自然免疫応答が発症に関与する可能性が高いことが示唆された。
結論
今後更に症例を追加し検出力を高めると共に、服用薬剤別に解析を行うなどして、SJS/TENの発症と関連するマーカーを探索する必要が示唆された。

公開日・更新日

公開日
2008-04-10
更新日
-