生活習慣と遺伝子型による2型糖尿病症リスク予測法の開発

文献情報

文献番号
200707025A
報告書区分
総括
研究課題名
生活習慣と遺伝子型による2型糖尿病症リスク予測法の開発
課題番号
H18-ゲノム-一般-003
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
原 一雄(東京大学医学部附属病院 糖尿病・代謝内科)
研究分担者(所属機関)
  • 門脇 孝(東京大学医学部附属病院 糖尿病・代謝内科 )
  • 山内敏正(東京大学医学部附属病院 糖尿病・代謝内科 )
  • 戸辺一之(富山大学附属病院 内科学(1))
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 創薬基盤推進研究(ヒトゲノムテーラーメード研究)
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
39,996,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
糖尿病は細小血管症によるQOL(生活の質)の低下と動脈硬化促進による心筋梗塞・脳卒中発症のリスク増大を介して健康寿命を短縮している最大の問題の一つである。本研究では、日本人の2型糖尿病遺伝素因を明らかにし、2型糖尿病ハイリスク者スクリーニング法を開発することを目的とする。
研究方法
全ゲノム解析によってマップした2型糖尿病感受性遺伝子座について国際HapMap projectによるハプロタイプ標識SNPの情報も利用しながら複数の独立した糖尿病・糖代謝正常者のDNAパネルで一貫して2型糖尿病と相関を示すSNPを同定する。
結果と考察
色体11番(11p13-p12)の領域は、日本人を対象とした他のグループによる全ゲノム解析によっても一致して糖尿病との連鎖が報告され日本人に特異的な2型糖尿病感受性遺伝子座として極めて有望な領域である。本領域について網羅的なSNPによる相関解析を行ったところ、2型糖尿病と一貫して相関する遺伝子多型を同定した。更にヒト脂肪組織を利用した発現解析を行ったところ、本遺伝子の糖尿病リスクを上昇させるアリルの保持者は非保持者に比べて本遺伝子の発現が有意に低下していることが判明した。
新規2型糖尿病感受性遺伝子の生体内での機能については殆ど明らかにされていなかったため、本遺伝子の欠損マウスを作成して本遺伝子の機能について個体レベルで解析を行った。本遺伝子欠損マウスは高脂肪食下においてOGTT (Oral Glucose Tolerance Test:経口ブドウ糖負荷試験)におけるインスリン分泌能が野生型に比べて低下しており、本遺伝子がインスリン分泌低下に関与する2型糖尿病感受性遺伝子であることが示唆された。欧米から報告された2型糖尿病感受性遺伝子の日本人における役割を検討した、TCF7L2遺伝子HHEX遺伝子は日本人においても2型糖尿病感受性遺伝子であることを報告した。
結論
TCF7L2遺伝子はインスリン分泌不全に関与する普遍的な2型糖尿病感受性遺伝子と考えられる。今年度に見出した新規2型糖尿病感受性遺伝子は膵β細胞のグルコース依存性インスリン分泌機能低下に関与していることが示唆された。

公開日・更新日

公開日
2008-04-21
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2008-11-17
更新日
-