文献情報
文献番号
199700299A
報告書区分
総括
研究課題名
地域需要からみた医療供給体制に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成9(1997)年度
研究代表者(所属機関)
松田 朗(国立医療・病院管理研究所)
研究分担者(所属機関)
- 長谷川敏彦(国立医療・病院管理研究所)
- 信川益明(杏林大学)
- 星野桂子(国立医療・病院管理研究所)
研究区分
厚生科学研究費補助金 行政政策研究分野 健康政策調査研究事業
研究開始年度
平成9(1997)年度
研究終了予定年度
-
研究費
25,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
1「救急」に関しては日常生活圏である二次医療圏において救急医療体制を完結することを目指し、救急医療の確保のために、初期、二次、三次救急医療機関の機能分担に基づいて、地域における効率的な救急医療体制を構築することが不可欠であり、救急患者の重症度と発生状況を考慮した二次医療圏の初期、二次救急医療機関数について考察することが必要となる。そこで、一次、二次、三次の救急患者を受け入れる救急医療機関における一次、二次救急患者のフローと三次救急患者のフロー及び疾病、重症度などの調査を行い、二次医療圏の初期、二次救急医療機関の必要数を考える上での医療情報について検討した。
2「医療計画」の1)「任意的記載事項」について。各都道府県では医療計画を作成し、その見直しも行われている。計画の中には任意的記載事項があり、それぞれの都道府県で自由に書かれているのが実状である。今回、この任意的記載事項が必要的記載事項となるのを契機に、どのような事柄を記載すべきかについて検討することになった。本研究の目的は、各都道府県がこれまでに作成した医療計画の中の任意的記載事項を収集し、モデルとなる計画のひな形を作ることにある。
2)「医療機能の分担と連携」に関しては、日本の病院や診療所の機能や構造、そしてそれらの役割分担、連携につき定性的かつ定量的分析諸手法を用いて現状を把握し、歴史的分析や投入資源、所有形態の分析、さらに国際比較研究を踏まえて類型化を試み、今後の医療供給体制のあり方を探ることを目的とする。
3)「必要病床数」に関しては、今年度は一部前年度の課題を継続しかつ新たな課題を加え、以下の5つの項目について研究した。
? 地域医療計画に関する文献レビュー
? 地域医療計画の影響の評価分析
? 急性期、長期病床定義検討
? 一般必要病床数算定法の検討
? 特定病床の機能検討
3「医師需給」に関しては今年度は一部前年度の課題を継続し、かつ新たな課題を加え、以下の6項目について研究した。
1)日本の医師の供給と需要に関する研究
2)女性医師の現状と将来に関する研究
3)医師卒業コホート(世代論)に関する研究
4)医師の地域分布に関する研究
5)医療費に対する医師数、病床数、医療機器の与える影響の分析
6)先進国における医師数と医師収入の分析
7)米国における必要医師数算定方式に関する研究
2「医療計画」の1)「任意的記載事項」について。各都道府県では医療計画を作成し、その見直しも行われている。計画の中には任意的記載事項があり、それぞれの都道府県で自由に書かれているのが実状である。今回、この任意的記載事項が必要的記載事項となるのを契機に、どのような事柄を記載すべきかについて検討することになった。本研究の目的は、各都道府県がこれまでに作成した医療計画の中の任意的記載事項を収集し、モデルとなる計画のひな形を作ることにある。
2)「医療機能の分担と連携」に関しては、日本の病院や診療所の機能や構造、そしてそれらの役割分担、連携につき定性的かつ定量的分析諸手法を用いて現状を把握し、歴史的分析や投入資源、所有形態の分析、さらに国際比較研究を踏まえて類型化を試み、今後の医療供給体制のあり方を探ることを目的とする。
3)「必要病床数」に関しては、今年度は一部前年度の課題を継続しかつ新たな課題を加え、以下の5つの項目について研究した。
? 地域医療計画に関する文献レビュー
? 地域医療計画の影響の評価分析
? 急性期、長期病床定義検討
? 一般必要病床数算定法の検討
? 特定病床の機能検討
3「医師需給」に関しては今年度は一部前年度の課題を継続し、かつ新たな課題を加え、以下の6項目について研究した。
1)日本の医師の供給と需要に関する研究
2)女性医師の現状と将来に関する研究
3)医師卒業コホート(世代論)に関する研究
4)医師の地域分布に関する研究
5)医療費に対する医師数、病床数、医療機器の与える影響の分析
6)先進国における医師数と医師収入の分析
7)米国における必要医師数算定方式に関する研究
研究方法
1「救急」としては、研究方法として北多摩南部医療圏を例としてとりあげ、杏林大学医学部付属病院救命救急センターに来院した救急患者の重症度と発生状況等を調査し、この分析結果について検討した。
2「医療計画」の1)「任意的記載事項」に関しては、次の手順で研究を行った。
?各都道府県の直近の医療計画を集め、任意的記載事項として書かれた項目を整理する。
?各項目ごとに、記載内容を整理し、記載の意義や目的を議論する。
?記載モデルを作成する。
2)「医療機能の連携と分担」に関しては、次の手順で研究を行った。
?歴史的分析
「平均在院日数」「入院外来比」「職員」「病床規模」「所有主体」等につき、医療施設調査、病院報告からデータを抽出し、時系列分析を行った。また施設病院協会の協力を得、福岡県の約300の私立病院の歴史的沿革についてアンケート調査を行う。
?機能構造分析
1993年の医療施設調査並びに病院報告の個票データより病院の機能を表す「平均在院日数」「入院外来比」等の変数を抽出し、主成分分析にて変数の有用性を検証しクラスター分析を行った。専門病院の分類を行うため耳鼻咽喉科・眼科に診療科を絞り、規模別・機能別特徴の分析を行った。また長期ケア施設の機能を分析するために老人病院や老健施設、特養との機能比較を行った。有床診療所の病床の活動状況の分析のため医療施設調査と病院報告の1984、1987、1993の各年の個票を用い、入院機能の有無について時系列の分析と診療科、病床規模との相関をみた。
?機能連携研究
国民生活基礎調査等のデータ及び横浜市による市民6000人を対象に約50%の回答率を得たアンケート調査を分析した。診療所医の疾病紹介パターンにつき、横浜市が行った調査から各個別の想定された疾患に対する紹介パターンを分析した。患者受療行動及び受診経路の分析のため1993年の患者調査の入院票並びに退院票を分析し、統計的分析を行った。グループ診療につき、旧ソ連、英国、米国の類型を元に日本での可能性、欠点、利点を分析した。
?機能資源分析
3師調査の診療科の複数と単独の割合を、診療科別に時系列分析した。また、32診療科の特徴を「手術件数」「紹介率」等8変数選び、その変数に従って主成分分析を行い、第1、第2の主成分を用いてクラスター分析を行い、機能の類似性の類型化を試みた。高度医療技術か高度医療機器とは何かを位置づけるため、30の国立病院の各診療科の医長にアンケート調査を行い、「医療技術、医療機器が高度か否か」「どのようなレベルの医療圏で保有すべきか」のアンケート調査を行い、統計的処理を行う。ICUの機能につき保険認定ICU、自己申告ICU、一般病床の3つにわけ、その資源投入、医療費等について比較分析した。総合病院の平均在院日数と看護人員投入量の相関関係を分析するために1993年の医療施設調査及び病院報告から関連変数を抽出し、対数変換し、その相関をみた。また病床回転率でも同様の分析を行った。病院資産の歴史的な変遷を分析するため、公私病院連盟の資産を元に所有形態別に時系列で推計した。さらに地方公営企業年鑑における資産、建築予定額を減価償却して算定した建物資産と検証した。
?公私役割分担研究
公私病院の機能につき、その機能を表す変数を医療施設調査から選び、集中度分析法等を使用して比較した。さらにあり方論に関する理念を分析を行った。国立病院に関し、その政策医療や年代的変化、現状及びエージェンシー化の過程に関する分析を行った。私的病院の経営に関して社会福祉・医療事業団の施設データを使い、その収支構造や資産構造の研究を行った。
?国際比較研究
OECD97データベースより先進国の医療供給体制の構造並びに活動の変数を抽出し、時系列分析を行い、日本と比較した。プライマリケア制度に関し、WHOのヨーロッパ事務局並びにその他の政府資料から「就業場所」「就業時間」「ゲートキーパー機能」等につき比較研究した。日米の医療制度に関し、とりわけ手術機能、投入資源、職員数等について比較研究した。
3)「必要病床数」に関しては、以下の5方法による。
?医療中央雑誌JICSTデータベースにより地域医療計画に関する文献を抽出し、フォーマットを定めて
レビューした。
?医療施設調査、その他資料の時系列分析を行った。
OECDデータベースによる分析を行った。
?医療施設調査、患者調査等の入院退院票等のデータにより日本の病院機能及び病床利用を分析した。
?患者調査等、のデータに基づき、特定病床関連疾患の入院分析を行った。
3「医師需給」に関しては、以下の5つ作業を通して研究した。
1)OECD Health Data 97分析によって国際比較分析を行った。
2)3師調査の公表時系列データにより経年変化を分析した。
3)3師調査の個票を医籍登録番号でつなぎ、就業場所等の変化をみた。また、医籍登録者数を分母にして卒後の就業場所の変化を分析した。
4)国民健康保険医療費を若人と老人、入院と外来に分け、医師数、病床数、医療機器数との関係を多変量解析にて分析した。
5)米国の算定方式を文献や現地調査によって調査した。
2「医療計画」の1)「任意的記載事項」に関しては、次の手順で研究を行った。
?各都道府県の直近の医療計画を集め、任意的記載事項として書かれた項目を整理する。
?各項目ごとに、記載内容を整理し、記載の意義や目的を議論する。
?記載モデルを作成する。
2)「医療機能の連携と分担」に関しては、次の手順で研究を行った。
?歴史的分析
「平均在院日数」「入院外来比」「職員」「病床規模」「所有主体」等につき、医療施設調査、病院報告からデータを抽出し、時系列分析を行った。また施設病院協会の協力を得、福岡県の約300の私立病院の歴史的沿革についてアンケート調査を行う。
?機能構造分析
1993年の医療施設調査並びに病院報告の個票データより病院の機能を表す「平均在院日数」「入院外来比」等の変数を抽出し、主成分分析にて変数の有用性を検証しクラスター分析を行った。専門病院の分類を行うため耳鼻咽喉科・眼科に診療科を絞り、規模別・機能別特徴の分析を行った。また長期ケア施設の機能を分析するために老人病院や老健施設、特養との機能比較を行った。有床診療所の病床の活動状況の分析のため医療施設調査と病院報告の1984、1987、1993の各年の個票を用い、入院機能の有無について時系列の分析と診療科、病床規模との相関をみた。
?機能連携研究
国民生活基礎調査等のデータ及び横浜市による市民6000人を対象に約50%の回答率を得たアンケート調査を分析した。診療所医の疾病紹介パターンにつき、横浜市が行った調査から各個別の想定された疾患に対する紹介パターンを分析した。患者受療行動及び受診経路の分析のため1993年の患者調査の入院票並びに退院票を分析し、統計的分析を行った。グループ診療につき、旧ソ連、英国、米国の類型を元に日本での可能性、欠点、利点を分析した。
?機能資源分析
3師調査の診療科の複数と単独の割合を、診療科別に時系列分析した。また、32診療科の特徴を「手術件数」「紹介率」等8変数選び、その変数に従って主成分分析を行い、第1、第2の主成分を用いてクラスター分析を行い、機能の類似性の類型化を試みた。高度医療技術か高度医療機器とは何かを位置づけるため、30の国立病院の各診療科の医長にアンケート調査を行い、「医療技術、医療機器が高度か否か」「どのようなレベルの医療圏で保有すべきか」のアンケート調査を行い、統計的処理を行う。ICUの機能につき保険認定ICU、自己申告ICU、一般病床の3つにわけ、その資源投入、医療費等について比較分析した。総合病院の平均在院日数と看護人員投入量の相関関係を分析するために1993年の医療施設調査及び病院報告から関連変数を抽出し、対数変換し、その相関をみた。また病床回転率でも同様の分析を行った。病院資産の歴史的な変遷を分析するため、公私病院連盟の資産を元に所有形態別に時系列で推計した。さらに地方公営企業年鑑における資産、建築予定額を減価償却して算定した建物資産と検証した。
?公私役割分担研究
公私病院の機能につき、その機能を表す変数を医療施設調査から選び、集中度分析法等を使用して比較した。さらにあり方論に関する理念を分析を行った。国立病院に関し、その政策医療や年代的変化、現状及びエージェンシー化の過程に関する分析を行った。私的病院の経営に関して社会福祉・医療事業団の施設データを使い、その収支構造や資産構造の研究を行った。
?国際比較研究
OECD97データベースより先進国の医療供給体制の構造並びに活動の変数を抽出し、時系列分析を行い、日本と比較した。プライマリケア制度に関し、WHOのヨーロッパ事務局並びにその他の政府資料から「就業場所」「就業時間」「ゲートキーパー機能」等につき比較研究した。日米の医療制度に関し、とりわけ手術機能、投入資源、職員数等について比較研究した。
3)「必要病床数」に関しては、以下の5方法による。
?医療中央雑誌JICSTデータベースにより地域医療計画に関する文献を抽出し、フォーマットを定めて
レビューした。
?医療施設調査、その他資料の時系列分析を行った。
OECDデータベースによる分析を行った。
?医療施設調査、患者調査等の入院退院票等のデータにより日本の病院機能及び病床利用を分析した。
?患者調査等、のデータに基づき、特定病床関連疾患の入院分析を行った。
3「医師需給」に関しては、以下の5つ作業を通して研究した。
1)OECD Health Data 97分析によって国際比較分析を行った。
2)3師調査の公表時系列データにより経年変化を分析した。
3)3師調査の個票を医籍登録番号でつなぎ、就業場所等の変化をみた。また、医籍登録者数を分母にして卒後の就業場所の変化を分析した。
4)国民健康保険医療費を若人と老人、入院と外来に分け、医師数、病床数、医療機器数との関係を多変量解析にて分析した。
5)米国の算定方式を文献や現地調査によって調査した。
結果と考察
1「救急」としては、杏林大学医学部付属病院救命救急センターの入院患者(3次救急患者)1,170名(平成9年4月から平成10年2月)、外来患者12,748名(平成9年9月から平成10年2月)を対象として調査を行った。入院患者の調査項目は、性別、年齢、入院年月日、入院時診断名、住所、搬入経路等であり、外来患者の調査項目は、性別、年齢、初診日、時間外区分、住所、診療科、病名等である。
「救急」の研究結果としては、
1)入院患者(3次救急患者)
?入院患者の構成
入院患者1,170名の性別の内訳は、男性705名、女性440名、不明25名であった。
?住所
入院患者の住所について見ると、三鷹市が207名と最も多く、次いで、調布市181名、杉並区180名、世田谷区157名、武蔵野市79名、練馬区77名、狛江市39名、府中市34名、小金井市19名等であった。
?搬入経路
救命救急センターへの搬入経路別に人院患者数を見ると、東京消防庁からのホットラインによる者729名、1次・2次救急外来からの者333名、他の医療機関からの紹介による者84名、母体病院からの者24名であった。ホットラインによる入院患者について、住所を見ると三鷹市123名、調布市112名、世田谷区101名、武蔵野市55名、練馬区53名、狛江市31名、府中市18名、小金井市10名、川崎市6名等であった。1次2次外来からの者について、住所を見ると、三鷹市が71名と最も多く、次いで、調布市58名、世田谷区43名、杉並区35名、武蔵野市20名、練馬区19名、府中市12名、小金井市9名、狛江市7名等であった。他の医療機関からの紹介による者について、住所を見ると、杉並区が11名と最も多く、次いで、世田谷区10名、調布市9名、三鷹市8名、府中市4名、練馬区4名、武蔵野市3名等であった。
2)外来患者
?外来患者の構成
外来患者12,748名の性別の内訳は、男性6,664名、女性6,084名であった。
?時間外区分
時間外の来院患者は、4,828名(再診1486名、初診3,342名)、休診日の来院患者は、4,582名(再診1,230名、初診3,352名)、深夜の来院患者は3,328名(再診566名、初診2,772名)である。
?診療科
診療科では、小児科が2,675名と最も多く、次いで、内科2,584名、耳鼻咽喉科2196名、眼科1510名、整形外科950名、形成外科658名、脳神経外科426名、皮膚科602名、泌尿器科373名、精神神経科184名、婦人科163名等であった。
?疾病
咽顕炎602名、急性中耳炎353名、角膜ビラン349名、気管支喘息348名、急性腸炎329名、急性鼻炎282名、胃炎234名、急性胃腸炎218名、鼻出血216名、急性上気道炎169名、急性咽頭炎168名、頭部打撲150名、便秘症138名、急性気管支炎137名、アレルギー性鼻炎117名等であった。
3)「救急」の考察
?北多摩南部医療圏の救急医療体制
北多摩南部医療圏には、病院47、診療所703があり、三次救急医療機関として、杏林大学病院以外に武蔵野赤十字病院、都立府中病院があり、在宅当番医数406、病院群輸番制病院24である。
?救急患者のフロー
救命救急センター入院患者のうち、ホットラインによる患者62.3%、1次・2次救急外来からの患者28.4%、他の医療機関からの紹介患者7.2%であった。
杏林大学病院は三鷹市に位置し、北多摩南部医療圏(三鷹市、武戯野市、調布市、府中市、狛江市、小金井市)に属している。3次救急愚者の住所が北多摩南部医療圏に属している割合はホットラインによる場合47.9%、1次・2次救急外来からの場合53.1%であった。
?救急医療機関の医療情報の整備
救急医療機関の医療情報を把握するための調査項目の検討と調査の実施、並びに医療機関での医療情報の整備が必要である。
2「医療計画」の1)「任意的記載事項」の研究結果としては、
?任意的記載事項に書かれた項目の整理任意的記載事項の内容は、概ね地域保健医療計画の任意的記載事項の条文に沿ったものであった。すなわち、保健医療供給体制の整備、医療と保健対策等との連係・一体化が記述されていた、地域によっては、学校保健、労働衛生、原爆医療、障害児(者)、透析、臓器移植、食品保健、食品化学、上下水道整備、廃棄物処理、生活化学安全、大気汚染、公害問題、騒音・振動・悪臭の間題が記載されている計画書もあった。
?記載内容の検討都道府県医療計画書の任意的記載事項の多くに共通するキーワードは「検討する」「重要である」「実施する」「めざす」などであり、具体的な数値により、計画を示し達成度の評価ができるようになっているものは少ない。一つの統計資料が様々な問題に重複して利用される可能性が高く、情報収集と分析を別々の体系として捉え、整理する必要がある。各都道府県の計画書には費用の問題までふれたものはほとんどない。今後、医療計画は住民による評価を得る必要があり、そのためには各項目毎に費用を予測して記載するべきであると思われる。
?上記検討を踏まえ、医療計画書の記載モデル試案を作成した。
2)「医療機能の連携と分担」の現在までの研究結果としては、
?歴史的分析
機能からみると、日本の病院は大規模高機能病院、中規模長期療養型病院、小規模外来主体病院に分かれ、その機能分化は1970年代半ばから始まったことがわかる。この歴史的過程を個別に分析するための福岡県私立病院のアンケートは現在進行中である。
?機能構造分析
一般病院の機能分類では、主成分分析で長期療養型機能と急性期機能と外来機能に比較的明確に区別され、クラスター分類としても3つの類型並びに未分化な病院が存在することが判明した。専門病院並びに長期ケア施設に関しては現在分析中で、明確な定義はなされていない。有床診療所の分析に関しては約半数の診療所が入院機能を停止しており、小さな病床規模の、需要が低下していると思われる診療科にそれが多く認められることが判明した。
?機能連携分析
国民生活基礎調査のデータによると約3分の1の患者が病院にかかりつけ医を持ち、中には大学病院にさえかかりつけ医を持っている。横浜市の調査では約半数までが病院にかかりつけ医を持ち、診療所医師もプライマリケア機能以外に一つの専門性を有することを望んでいる。連携の分析では逆紹介をしても帰りたがらない患者が多く、病院から診療所への逆紹介の難しさが浮き彫りとなっている。日本でのグループ診療は諸外国の条件を未だ有さず、欠点も多いと思われるが、これらの条件は今後大いに変わると考えられる。横浜市における疾病紹介パターン分析は進行中である。患者調査による患者の受療パターンの分析では、老人・小児に医療圏内に受診するパターンが多く、疾病が重篤なほど圏外に流出する傾向が認められた。癌の診療でその傾向は顕著である。癌専門施設15の医長アンケートの分析によると、専門家の意見でも高度技術になるほど専門病院で施行すべきとの意見が大半を占めた。
?診療資源分析
複数回答と単数回答の割合を時系列でみると、次第に小さくなりつつあるも割合が大きな科目があり、分化していないと考えられる科が多く存在する。診療科を機能で分析すると4つのクラスターに類型化された。そのコンポーネントから高度に特殊な心臓外科、脳外科等のグループ、第2に内科、外科、小児科等のプライマリケア機能を持つグループ、第3にその中間層である眼科、耳鼻咽喉科、泌尿器科グループ、最後にこれらのグループから大きくはずれる産婦人科、理学療法科のグループである。自己申告の高度技術、機器に関するアンケート調査が現在進行中である。ICUの機能分析からは自己申告ICUと一般病床では1日医療費に大きな差は認められなかった。総合病院の平均在院日数と看護人員投入量は、弱いが負の相関関係を認めた。病床回転率を用いると相関は高まった。患者調査の時系列分析による外来患者数分析では1970年代半ばから日本全体の外来患者数が減少し、特に診療所では著しく、またその時期に一致して院外処方せんが増加が認められており、さらに詳細な分析が進行中である。
?公私役割分担研究
私的病院が多いにもかかわらず、病床数や急性期医療機能、特に手術、入院回数に関しては公的病院のほうが多いことが判明した。
?国際研究比較
OEDC先進諸国の中で、日本は病床数や従業員数等構造上でも、また平均在院日数や入院回数等、活動上の特徴としても大きく平均からはずれていることが判明した。プライマリケア制度の比較では英国のように入院・外来、専門医・一般医と極めて機能と就業場所が分化した国から、米国のように専門医が開業し、病院に患者を連れてくるといった、診療所と病院が開業医によって一体化している国と、その間の国々と位置づけることができる。しかし一般にプライマリケア医の数は減少傾向で各国とも奨励策がとられている。日米の医療の大きな差は平均在院日数と手術件数であり、米国の医療資源の病床当たりの投入は日本の数倍にも及んでいることが判明した。
3)「必要病床数」に関しては、
?地域医療計画に関する文献レビュー
1977年から97年までの21年間の関連文献は206存在した。医療法改正までの18年間で110、改正後の12年間で96であった。内訳をみると論評が86で最も多く、実証的研究は66にとどまっている。主要論者も研究者が最も多く、次いで医師会であった。キーワードとしては地域特性や計画の策定状況についての内容が多く、圏域設定についても多く語られていた。
?地域医療計画の影響の評価分析
i全国レベルと国際比較
日本の一般病床数は戦後一貫して増加しており1992年にはじめて減少に転じ、それ以降一貫して減少している。各年毎の増床をみると1996、1980、1987年と1960年以降3つの増床ピークがあり、最後のピークは約20万床の増床で医療計画策定に一致している。この増床は主として私的な中規模病院に多い。小規模病院はむしろ減少、大規模病院は増加傾向にあるが、その傾向はピークの以前からあり、ピークの型と一致していない。これらの結果から、私的中規模病院は医療計画による規制に対するかけこみ増床が示唆されるが、大規模病院は高度技術化,規模の経済等他の要因が考えられる。
ii2次医療圏レベル
2次医療圏は公示日当初345で、1992年には341まで減少し、1996年3月には347まで増加している。既存病床と必要病床の差も1990年までは開く傾向にあったものがそれ以降減少に転じている。既存病床が必要病床のプラスマイナス5%以内の2次医療圏は、公示当初18%にすぎなかったものが、1992年は36%とピークに達し1996年には32%となっている。
公示当初の345、2次医療圏のうち20は変更のため追跡不可能だが、過剰であった135のうち46が不足へと、不足であった188のうち42が過剰となっている。これらより、既存病床数は概して必要病床数に近づき地域格差が減少しているといえよう。しかし近年算定された必要数が増加の傾向にあり,平均在院日数が低下していることと、国際的な標準を考えると,必要病床数算定法に問題があると考えられる。必要病床対既存病床割合と平均在院日数の2次医療圏毎の関係は正の相関を示しており病床が多い医療圏に長期ケアのための入院者が多いことが示唆される。
?急性期、長期病床定義検討
病床の定義は各国とも複雑で日本のように医療法によってきめ細かく定義されている国はなく、日本はここでも例外的といえる。従って、定義の方法としては病院建築家や医師会など専門家団体による自主的取り決め、医療計画の中に定められたもの、保険の支払に際しての条件、あるいは一般に流布している常識、例えば辞書に書かれていたり、政府統計の定義となっているなど多岐に渡っている。
定義の内容も平均在院日数、上限在院日数、看護婦や医師など投入資源、病室の広さなど構造、診療科、疾病など様々であるが、疾病はほとんど見当たらない。
米国、仏国で法律や保険に平均在院日数を使っている例、独仏では計画や法律で診療科を使っている例が存在する。診療科では長短きめ細かい場合もあり、平均在院日数を用いることが、辞書の定義や統計上の定義に用いられていることもあり、最も妥当と考えられる。
?一般必要病床数算定法の検討
有病率である在院者ベースから発生回数である入院回数ベースに必要病床数の算定式を切り替えた。新長期必要病床数は老人病床、療養型病床、非老人、非療養型、3ヶ月以内入院者数を平均の病床利用率0.95で割り返した数で算定した。新急性期必要病床数は、非老人、非療養型病床、3ヶ月以内の予測入院回数に全国一律平均20日の平均在院日数をかけ、病床利用率0.85で割り返して算定した。なお予測平均入院回数は9ブロック入院回数率を各2次医療圏の人口に掛け合わせたもので計算した。9ブロック男女とも高齢者を除いて平均入院回数はそれほどの差はなかった。新算定方式で求めた必要病床数と従来の必要病床数との間は高い相関を示し、新方式にて必要病床数を計算しても行政的にそれほど大きな混乱はないと考えられる。
長期ケアのための病床定員数を分析すると、2次医療圏などの高齢化率と全長期病床並びにケア定数は正の強い相関を示したが福祉系の施設の定員数と病院系の病床数の間は相関がなく、代替機能が示唆される。
?特定病床の機能検討
各疾病毎に患者調査より特定病床の対象となる疾患群につき、その入院患者を分析した。特に2次医療圏単位病床や医療機器等、医療資源と関連させて分析した。その結果、精神病質、小児慢性、結核後遺症の呼吸不全については継続の意味がない。癌及び循環器並びにリハビリテーションについては厳しい条件付きで特定病床を存続させる。残りの疾患については条件付きで継続であることの結論をえた。
3「医師需給」の 研究結果並びに考察としては、
1.日本の医師の供給と需要に関する研究
?供給モデル
1994年の段階における卒業後就業率を基本に2050年まで医師数を推計した。このモデルでは医籍登録者数中、女性医師比率、医籍登録者数層数、将来人口推計を変化させることによって人口当たりに医師数が変化するワークシートにしている。推計数は条件によって大きく異なってはいるが、人口当たりの医師数は急激に増加することが予測された。
?需要モデル
入院回数及び診患外来患者が労働需要と最も相関が高いと考え、1993年の患者調査に基づく年齢階級別の患者数を基本に、将来の人口推計に掛け合わせることによって需要の変化を推計した。必要医師数は1993年の医療施設調査より病院医師数と診療所医師数をそれぞれ入院と外来で働く時間に振り分け、推計した。病院に関しては、地域中核病院を中心とする約20病院の医師のタイムスタディを使用した。結果は病院では入院6に対して4であったので、有床診療所では逆の数字を用いた。需要も同様に将来人口の伸びが抑制されることから、2020年以降は伸びを示さないことが判明した。
2)女性医師の現状と将来に関する研究
OECD先進国では女性医師の比率が高く平均で35%を越えている(1994年)。日本は次第に増加し12.4%(1994年)であったが、今後の増加が予測される。日本の医籍登録者数を、医師登録数が不明の1926年から1946年については1976年の生存生命表を使って推計し、かつ同時期並びに戦後の1945年から1954年までの性別不明時期に関しても男女別医籍登録者数を推計した。1928年に6.0%であった女性の登録者数も、1994年には24.2%に増大している。医学部入学者の女性比率の増加から勘案して今後、著しく増加すると考えられる。女性の就業場所を3師調査の登録と3師調査から分析すると、女性一般に存するM字カーブをなし、子育て後には診療所勤務が増加し、これらが男性の就業カーブとは大きく異なっていることが判明した。
3)医師卒業コホート(世代論)に関する研究
医籍登録者数は、1941年に大きなピークを持ち、1952年に戦時の臨時制度が廃止されるまで高いピークを持っている。その後、低下し、医師国家試験ボイコットによる1968年のピークを除いて1970年頃まで低い登録数であった。その後次第に増加し、1980年頃には新設医大の卒業生を迎えて多数卒業者時代に突入し、今日に至っている。
第2次大戦前後のいわゆる医師団塊の世代の就業パターンは短期の病院での研修後、診療所を開設し、今日まで日本の診療所の中核を担ってきた。一方、それ以降の世代は診療所の開業時期が遅く、40歳前後まで開業割合が増えていない。しかし医師団塊世代も引退期を迎え、大きな世代交代が予測される。
4)医師の地域分布に関する研究
1976年から1994年の「医師・歯科医師・薬剤師調査」の個票データ及び市町村データを用いて、地域分布の分析を行った。1980年と1990年の10年間の変化をみると、医師数が増加したにもかかわらず、医師数が3名以下の市町村割合はほとんど変化していない。これらの市町村には70歳以上高齢者が多いことから近々の無医村化が憂慮される。
5)医療費に対する医師数、病床数、医療機器の与える影響の分析
国民健康保険医療費に与える医師数の分析では、病床や医療機器と共に多変量解析を行った結果、病院医師数は低い相関を示し、これまでの知見とは異なった結果を得た。病床数は正の相関を持ち、医療機器は分析によっては異なった相関を示していた。
6)先進国における医師数と医師収入の分析
OECD先進国間では医師数が増加しても、GDPのうち医師全体の占める割合は増加せずほぼ平坦であった。このことは医師1人当たりの収入が減少していることを意味している。一方、看護婦収入の割合は増加し、薬剤に関しては総医療費に関する割合が増加すると共にGDP全体に占める薬剤費の割合は国々によって増加・減少・一定と異なった動向を示した。米英日等、先進8ヶ国に限り1970年代から現代に至る医療費の変化を説明する変数として、老齢化、医師数、薬剤費を選びどのような要因が影響するかを分析した。医師数は加、独で強い相関を示した。それぞれの変数は国々によって大きなばらつきを示した。
7)米国における必要医師数算定方式に関する研究
米国の1970年代の算定方式、GMENACにおいては疾病毎の需要をエキスパートオピニオンによって推測し、それらを足し合わせて全国の需要とした。近年の1993年のBHPモデルでは人口数、受療回数、診療科の3領域から需要を予測する方法である。この予測についてはウィスコンシン大学クーパーらによって、需要が低めに算定されていると批判されている。
「救急」の研究結果としては、
1)入院患者(3次救急患者)
?入院患者の構成
入院患者1,170名の性別の内訳は、男性705名、女性440名、不明25名であった。
?住所
入院患者の住所について見ると、三鷹市が207名と最も多く、次いで、調布市181名、杉並区180名、世田谷区157名、武蔵野市79名、練馬区77名、狛江市39名、府中市34名、小金井市19名等であった。
?搬入経路
救命救急センターへの搬入経路別に人院患者数を見ると、東京消防庁からのホットラインによる者729名、1次・2次救急外来からの者333名、他の医療機関からの紹介による者84名、母体病院からの者24名であった。ホットラインによる入院患者について、住所を見ると三鷹市123名、調布市112名、世田谷区101名、武蔵野市55名、練馬区53名、狛江市31名、府中市18名、小金井市10名、川崎市6名等であった。1次2次外来からの者について、住所を見ると、三鷹市が71名と最も多く、次いで、調布市58名、世田谷区43名、杉並区35名、武蔵野市20名、練馬区19名、府中市12名、小金井市9名、狛江市7名等であった。他の医療機関からの紹介による者について、住所を見ると、杉並区が11名と最も多く、次いで、世田谷区10名、調布市9名、三鷹市8名、府中市4名、練馬区4名、武蔵野市3名等であった。
2)外来患者
?外来患者の構成
外来患者12,748名の性別の内訳は、男性6,664名、女性6,084名であった。
?時間外区分
時間外の来院患者は、4,828名(再診1486名、初診3,342名)、休診日の来院患者は、4,582名(再診1,230名、初診3,352名)、深夜の来院患者は3,328名(再診566名、初診2,772名)である。
?診療科
診療科では、小児科が2,675名と最も多く、次いで、内科2,584名、耳鼻咽喉科2196名、眼科1510名、整形外科950名、形成外科658名、脳神経外科426名、皮膚科602名、泌尿器科373名、精神神経科184名、婦人科163名等であった。
?疾病
咽顕炎602名、急性中耳炎353名、角膜ビラン349名、気管支喘息348名、急性腸炎329名、急性鼻炎282名、胃炎234名、急性胃腸炎218名、鼻出血216名、急性上気道炎169名、急性咽頭炎168名、頭部打撲150名、便秘症138名、急性気管支炎137名、アレルギー性鼻炎117名等であった。
3)「救急」の考察
?北多摩南部医療圏の救急医療体制
北多摩南部医療圏には、病院47、診療所703があり、三次救急医療機関として、杏林大学病院以外に武蔵野赤十字病院、都立府中病院があり、在宅当番医数406、病院群輸番制病院24である。
?救急患者のフロー
救命救急センター入院患者のうち、ホットラインによる患者62.3%、1次・2次救急外来からの患者28.4%、他の医療機関からの紹介患者7.2%であった。
杏林大学病院は三鷹市に位置し、北多摩南部医療圏(三鷹市、武戯野市、調布市、府中市、狛江市、小金井市)に属している。3次救急愚者の住所が北多摩南部医療圏に属している割合はホットラインによる場合47.9%、1次・2次救急外来からの場合53.1%であった。
?救急医療機関の医療情報の整備
救急医療機関の医療情報を把握するための調査項目の検討と調査の実施、並びに医療機関での医療情報の整備が必要である。
2「医療計画」の1)「任意的記載事項」の研究結果としては、
?任意的記載事項に書かれた項目の整理任意的記載事項の内容は、概ね地域保健医療計画の任意的記載事項の条文に沿ったものであった。すなわち、保健医療供給体制の整備、医療と保健対策等との連係・一体化が記述されていた、地域によっては、学校保健、労働衛生、原爆医療、障害児(者)、透析、臓器移植、食品保健、食品化学、上下水道整備、廃棄物処理、生活化学安全、大気汚染、公害問題、騒音・振動・悪臭の間題が記載されている計画書もあった。
?記載内容の検討都道府県医療計画書の任意的記載事項の多くに共通するキーワードは「検討する」「重要である」「実施する」「めざす」などであり、具体的な数値により、計画を示し達成度の評価ができるようになっているものは少ない。一つの統計資料が様々な問題に重複して利用される可能性が高く、情報収集と分析を別々の体系として捉え、整理する必要がある。各都道府県の計画書には費用の問題までふれたものはほとんどない。今後、医療計画は住民による評価を得る必要があり、そのためには各項目毎に費用を予測して記載するべきであると思われる。
?上記検討を踏まえ、医療計画書の記載モデル試案を作成した。
2)「医療機能の連携と分担」の現在までの研究結果としては、
?歴史的分析
機能からみると、日本の病院は大規模高機能病院、中規模長期療養型病院、小規模外来主体病院に分かれ、その機能分化は1970年代半ばから始まったことがわかる。この歴史的過程を個別に分析するための福岡県私立病院のアンケートは現在進行中である。
?機能構造分析
一般病院の機能分類では、主成分分析で長期療養型機能と急性期機能と外来機能に比較的明確に区別され、クラスター分類としても3つの類型並びに未分化な病院が存在することが判明した。専門病院並びに長期ケア施設に関しては現在分析中で、明確な定義はなされていない。有床診療所の分析に関しては約半数の診療所が入院機能を停止しており、小さな病床規模の、需要が低下していると思われる診療科にそれが多く認められることが判明した。
?機能連携分析
国民生活基礎調査のデータによると約3分の1の患者が病院にかかりつけ医を持ち、中には大学病院にさえかかりつけ医を持っている。横浜市の調査では約半数までが病院にかかりつけ医を持ち、診療所医師もプライマリケア機能以外に一つの専門性を有することを望んでいる。連携の分析では逆紹介をしても帰りたがらない患者が多く、病院から診療所への逆紹介の難しさが浮き彫りとなっている。日本でのグループ診療は諸外国の条件を未だ有さず、欠点も多いと思われるが、これらの条件は今後大いに変わると考えられる。横浜市における疾病紹介パターン分析は進行中である。患者調査による患者の受療パターンの分析では、老人・小児に医療圏内に受診するパターンが多く、疾病が重篤なほど圏外に流出する傾向が認められた。癌の診療でその傾向は顕著である。癌専門施設15の医長アンケートの分析によると、専門家の意見でも高度技術になるほど専門病院で施行すべきとの意見が大半を占めた。
?診療資源分析
複数回答と単数回答の割合を時系列でみると、次第に小さくなりつつあるも割合が大きな科目があり、分化していないと考えられる科が多く存在する。診療科を機能で分析すると4つのクラスターに類型化された。そのコンポーネントから高度に特殊な心臓外科、脳外科等のグループ、第2に内科、外科、小児科等のプライマリケア機能を持つグループ、第3にその中間層である眼科、耳鼻咽喉科、泌尿器科グループ、最後にこれらのグループから大きくはずれる産婦人科、理学療法科のグループである。自己申告の高度技術、機器に関するアンケート調査が現在進行中である。ICUの機能分析からは自己申告ICUと一般病床では1日医療費に大きな差は認められなかった。総合病院の平均在院日数と看護人員投入量は、弱いが負の相関関係を認めた。病床回転率を用いると相関は高まった。患者調査の時系列分析による外来患者数分析では1970年代半ばから日本全体の外来患者数が減少し、特に診療所では著しく、またその時期に一致して院外処方せんが増加が認められており、さらに詳細な分析が進行中である。
?公私役割分担研究
私的病院が多いにもかかわらず、病床数や急性期医療機能、特に手術、入院回数に関しては公的病院のほうが多いことが判明した。
?国際研究比較
OEDC先進諸国の中で、日本は病床数や従業員数等構造上でも、また平均在院日数や入院回数等、活動上の特徴としても大きく平均からはずれていることが判明した。プライマリケア制度の比較では英国のように入院・外来、専門医・一般医と極めて機能と就業場所が分化した国から、米国のように専門医が開業し、病院に患者を連れてくるといった、診療所と病院が開業医によって一体化している国と、その間の国々と位置づけることができる。しかし一般にプライマリケア医の数は減少傾向で各国とも奨励策がとられている。日米の医療の大きな差は平均在院日数と手術件数であり、米国の医療資源の病床当たりの投入は日本の数倍にも及んでいることが判明した。
3)「必要病床数」に関しては、
?地域医療計画に関する文献レビュー
1977年から97年までの21年間の関連文献は206存在した。医療法改正までの18年間で110、改正後の12年間で96であった。内訳をみると論評が86で最も多く、実証的研究は66にとどまっている。主要論者も研究者が最も多く、次いで医師会であった。キーワードとしては地域特性や計画の策定状況についての内容が多く、圏域設定についても多く語られていた。
?地域医療計画の影響の評価分析
i全国レベルと国際比較
日本の一般病床数は戦後一貫して増加しており1992年にはじめて減少に転じ、それ以降一貫して減少している。各年毎の増床をみると1996、1980、1987年と1960年以降3つの増床ピークがあり、最後のピークは約20万床の増床で医療計画策定に一致している。この増床は主として私的な中規模病院に多い。小規模病院はむしろ減少、大規模病院は増加傾向にあるが、その傾向はピークの以前からあり、ピークの型と一致していない。これらの結果から、私的中規模病院は医療計画による規制に対するかけこみ増床が示唆されるが、大規模病院は高度技術化,規模の経済等他の要因が考えられる。
ii2次医療圏レベル
2次医療圏は公示日当初345で、1992年には341まで減少し、1996年3月には347まで増加している。既存病床と必要病床の差も1990年までは開く傾向にあったものがそれ以降減少に転じている。既存病床が必要病床のプラスマイナス5%以内の2次医療圏は、公示当初18%にすぎなかったものが、1992年は36%とピークに達し1996年には32%となっている。
公示当初の345、2次医療圏のうち20は変更のため追跡不可能だが、過剰であった135のうち46が不足へと、不足であった188のうち42が過剰となっている。これらより、既存病床数は概して必要病床数に近づき地域格差が減少しているといえよう。しかし近年算定された必要数が増加の傾向にあり,平均在院日数が低下していることと、国際的な標準を考えると,必要病床数算定法に問題があると考えられる。必要病床対既存病床割合と平均在院日数の2次医療圏毎の関係は正の相関を示しており病床が多い医療圏に長期ケアのための入院者が多いことが示唆される。
?急性期、長期病床定義検討
病床の定義は各国とも複雑で日本のように医療法によってきめ細かく定義されている国はなく、日本はここでも例外的といえる。従って、定義の方法としては病院建築家や医師会など専門家団体による自主的取り決め、医療計画の中に定められたもの、保険の支払に際しての条件、あるいは一般に流布している常識、例えば辞書に書かれていたり、政府統計の定義となっているなど多岐に渡っている。
定義の内容も平均在院日数、上限在院日数、看護婦や医師など投入資源、病室の広さなど構造、診療科、疾病など様々であるが、疾病はほとんど見当たらない。
米国、仏国で法律や保険に平均在院日数を使っている例、独仏では計画や法律で診療科を使っている例が存在する。診療科では長短きめ細かい場合もあり、平均在院日数を用いることが、辞書の定義や統計上の定義に用いられていることもあり、最も妥当と考えられる。
?一般必要病床数算定法の検討
有病率である在院者ベースから発生回数である入院回数ベースに必要病床数の算定式を切り替えた。新長期必要病床数は老人病床、療養型病床、非老人、非療養型、3ヶ月以内入院者数を平均の病床利用率0.95で割り返した数で算定した。新急性期必要病床数は、非老人、非療養型病床、3ヶ月以内の予測入院回数に全国一律平均20日の平均在院日数をかけ、病床利用率0.85で割り返して算定した。なお予測平均入院回数は9ブロック入院回数率を各2次医療圏の人口に掛け合わせたもので計算した。9ブロック男女とも高齢者を除いて平均入院回数はそれほどの差はなかった。新算定方式で求めた必要病床数と従来の必要病床数との間は高い相関を示し、新方式にて必要病床数を計算しても行政的にそれほど大きな混乱はないと考えられる。
長期ケアのための病床定員数を分析すると、2次医療圏などの高齢化率と全長期病床並びにケア定数は正の強い相関を示したが福祉系の施設の定員数と病院系の病床数の間は相関がなく、代替機能が示唆される。
?特定病床の機能検討
各疾病毎に患者調査より特定病床の対象となる疾患群につき、その入院患者を分析した。特に2次医療圏単位病床や医療機器等、医療資源と関連させて分析した。その結果、精神病質、小児慢性、結核後遺症の呼吸不全については継続の意味がない。癌及び循環器並びにリハビリテーションについては厳しい条件付きで特定病床を存続させる。残りの疾患については条件付きで継続であることの結論をえた。
3「医師需給」の 研究結果並びに考察としては、
1.日本の医師の供給と需要に関する研究
?供給モデル
1994年の段階における卒業後就業率を基本に2050年まで医師数を推計した。このモデルでは医籍登録者数中、女性医師比率、医籍登録者数層数、将来人口推計を変化させることによって人口当たりに医師数が変化するワークシートにしている。推計数は条件によって大きく異なってはいるが、人口当たりの医師数は急激に増加することが予測された。
?需要モデル
入院回数及び診患外来患者が労働需要と最も相関が高いと考え、1993年の患者調査に基づく年齢階級別の患者数を基本に、将来の人口推計に掛け合わせることによって需要の変化を推計した。必要医師数は1993年の医療施設調査より病院医師数と診療所医師数をそれぞれ入院と外来で働く時間に振り分け、推計した。病院に関しては、地域中核病院を中心とする約20病院の医師のタイムスタディを使用した。結果は病院では入院6に対して4であったので、有床診療所では逆の数字を用いた。需要も同様に将来人口の伸びが抑制されることから、2020年以降は伸びを示さないことが判明した。
2)女性医師の現状と将来に関する研究
OECD先進国では女性医師の比率が高く平均で35%を越えている(1994年)。日本は次第に増加し12.4%(1994年)であったが、今後の増加が予測される。日本の医籍登録者数を、医師登録数が不明の1926年から1946年については1976年の生存生命表を使って推計し、かつ同時期並びに戦後の1945年から1954年までの性別不明時期に関しても男女別医籍登録者数を推計した。1928年に6.0%であった女性の登録者数も、1994年には24.2%に増大している。医学部入学者の女性比率の増加から勘案して今後、著しく増加すると考えられる。女性の就業場所を3師調査の登録と3師調査から分析すると、女性一般に存するM字カーブをなし、子育て後には診療所勤務が増加し、これらが男性の就業カーブとは大きく異なっていることが判明した。
3)医師卒業コホート(世代論)に関する研究
医籍登録者数は、1941年に大きなピークを持ち、1952年に戦時の臨時制度が廃止されるまで高いピークを持っている。その後、低下し、医師国家試験ボイコットによる1968年のピークを除いて1970年頃まで低い登録数であった。その後次第に増加し、1980年頃には新設医大の卒業生を迎えて多数卒業者時代に突入し、今日に至っている。
第2次大戦前後のいわゆる医師団塊の世代の就業パターンは短期の病院での研修後、診療所を開設し、今日まで日本の診療所の中核を担ってきた。一方、それ以降の世代は診療所の開業時期が遅く、40歳前後まで開業割合が増えていない。しかし医師団塊世代も引退期を迎え、大きな世代交代が予測される。
4)医師の地域分布に関する研究
1976年から1994年の「医師・歯科医師・薬剤師調査」の個票データ及び市町村データを用いて、地域分布の分析を行った。1980年と1990年の10年間の変化をみると、医師数が増加したにもかかわらず、医師数が3名以下の市町村割合はほとんど変化していない。これらの市町村には70歳以上高齢者が多いことから近々の無医村化が憂慮される。
5)医療費に対する医師数、病床数、医療機器の与える影響の分析
国民健康保険医療費に与える医師数の分析では、病床や医療機器と共に多変量解析を行った結果、病院医師数は低い相関を示し、これまでの知見とは異なった結果を得た。病床数は正の相関を持ち、医療機器は分析によっては異なった相関を示していた。
6)先進国における医師数と医師収入の分析
OECD先進国間では医師数が増加しても、GDPのうち医師全体の占める割合は増加せずほぼ平坦であった。このことは医師1人当たりの収入が減少していることを意味している。一方、看護婦収入の割合は増加し、薬剤に関しては総医療費に関する割合が増加すると共にGDP全体に占める薬剤費の割合は国々によって増加・減少・一定と異なった動向を示した。米英日等、先進8ヶ国に限り1970年代から現代に至る医療費の変化を説明する変数として、老齢化、医師数、薬剤費を選びどのような要因が影響するかを分析した。医師数は加、独で強い相関を示した。それぞれの変数は国々によって大きなばらつきを示した。
7)米国における必要医師数算定方式に関する研究
米国の1970年代の算定方式、GMENACにおいては疾病毎の需要をエキスパートオピニオンによって推測し、それらを足し合わせて全国の需要とした。近年の1993年のBHPモデルでは人口数、受療回数、診療科の3領域から需要を予測する方法である。この予測についてはウィスコンシン大学クーパーらによって、需要が低めに算定されていると批判されている。
結論
1「救急」に関しては、救命救急センターの入院患者、外来患者の搬入経路、住所地、重症度、診療科、疾病などの医療情報の整備が重要であり、救急医療機関の医療情報を把握するための調査項目の検討と調査の必要注が示された。今後、二次医療圏単位での初期、二次、三次救急医療機関の医療情報を把握するための調査の実施とそれに基づく必要病床数の算定方法の開発が急務である。
2「医療計画」の1)「任意的記載事項」に関しては、各都道府県の医療計画書を検討した結果、?医療需要の実態と予測、?医療提供側の施設・マンパワー・制度の実態と目標、?高次医療とプライマリー医療の関係、?医薬分業関係について記載モデルを作成した。各項目の記載に関連する統計資料は重複が多く、これらは、統計資料収集と分析推計(目標値設定)に分けて整理する必要があると思われた。
2)「医療機能の連携と分担」に関しては、日本の病院は外来診療、日本の有床診療所は入院患者を受け入れ、外来と入院が診療所と病院という施設形態では分化されておらず、機能の連続性が認められる。高度とされるICUでも一般病床と大きな機能の差はなく、一方、一般開業医も専門家指向が強く、一部脳外科等の専門医の開業も認められる。患者は病院にかかりつけ医を持つ者も多く大学病院にまで及んでいる。これらの特徴は、先進国間で比較すると明らかで、日本がはずれ値を示すのは未分化性の故と考えられる。しかし過去20年間、次第に病院の機能は分化してきており、有床診療所や中小病院の機能は失われつつある。さらに長期ケア施設と急性期施設との役割も次第に分担されつつある。医療システムをめぐる状況も高い質と効率を求めて自己完結型から分担連携型に変わることが要請されている。長期的展望としてはそれぞれの医療機関が機能を特化し、それに見合った資源を投入し、質を高め、そして連携していくことが求められているといえよう。そのためには地域全体の診療機能の役割分担と患者紹介情報ネットワークが必須となる。特に病院から診療所への逆紹介の情報システムが連携のための重要な鍵となろう。現在のところ、高機能病院は公的病院が多く、システム全体の効率を考えるとその経営改善が望まれる。私的病院を圧迫せず、公的病院の機能を十分に生かす役割分担がもう一度問われているといえよう。
3)「必要病床数」に関しては、文献レビューを行った。その結果、医療法施行以前は反対意見が多かったが、施行後では計画の問題点を指摘する文献が多い。医療法改正7年後1992年以降はそれまで一貫して増加してきた日本の一般病床が減少に転じ医療計画の効果がではじめたと考えられる。しかし同時に中規模の私的病院を中心に駆け込み増床がみられ,病床過剰に拍車をかけた。国際比較研究から,日本は例外的に多い一般病床を持つことが判明したが,その一部は長期ケア病床として機能している可能性がある。医療計画以降,計算上は地域格差の減少が認められるが,日本の病床は急性期と長期の2種の異なったケアに使われており,現在の必要病床算定法はそれをひとつに捉えており問題があると考えられる。急性期、長期の定義は各国によって様々であるが、平均在院日数を用いることが、辞書の定義や統計上の定義に用いられていることもあり、最も妥当と考えられる。新たな算定式で急性期と長期の必要病床数を算定した。新方式にて必要病床数を計算してもそれほど大きな混乱はないと考えられる。
3「医師需給」に関しては、医師数の将来推計は、条件により大きく結果が異なることが判明した。それらの条件を入力することによって最終結果が判明するソフトの開発が必要とされる。将来の医師数を考える場合、女性医師の動向は重要で、日本でも急増することが予測された。戦後の診療所は医師団塊の世代によって支えられていたが、これらの世代が引退しようとしており、若手の医師への世代交代が始まっていることが判明した。地域分布の分析によると、医師数の数の少ない市町村は減少しておらず、かつこれらの市町村の医師は高齢化しており、将来の無医村化が憂慮される。先進国の時系列の分析では一部の国で医師数と強い相関を持っているが、影響の見られない国も存在した。医師数増加による医師収入に与える影響の分析では、OECD先進国のデータで医師数が増えても医師全体に対する支払のシェアは増加せず、結果的に1人当たりの収入が減少していることが判明した。一方、看護婦では増加し、薬剤費ではばらつきのあることが判明した。米国の必要算定方式は過去2回政府によって行われ、1970年代はエキスパートオピニオンによる疾病ベースの推計、1990年代は受診回数等を勘案した需要ベースの推計であった。米国における推計も問題点が指摘されている。
3
2「医療計画」の1)「任意的記載事項」に関しては、各都道府県の医療計画書を検討した結果、?医療需要の実態と予測、?医療提供側の施設・マンパワー・制度の実態と目標、?高次医療とプライマリー医療の関係、?医薬分業関係について記載モデルを作成した。各項目の記載に関連する統計資料は重複が多く、これらは、統計資料収集と分析推計(目標値設定)に分けて整理する必要があると思われた。
2)「医療機能の連携と分担」に関しては、日本の病院は外来診療、日本の有床診療所は入院患者を受け入れ、外来と入院が診療所と病院という施設形態では分化されておらず、機能の連続性が認められる。高度とされるICUでも一般病床と大きな機能の差はなく、一方、一般開業医も専門家指向が強く、一部脳外科等の専門医の開業も認められる。患者は病院にかかりつけ医を持つ者も多く大学病院にまで及んでいる。これらの特徴は、先進国間で比較すると明らかで、日本がはずれ値を示すのは未分化性の故と考えられる。しかし過去20年間、次第に病院の機能は分化してきており、有床診療所や中小病院の機能は失われつつある。さらに長期ケア施設と急性期施設との役割も次第に分担されつつある。医療システムをめぐる状況も高い質と効率を求めて自己完結型から分担連携型に変わることが要請されている。長期的展望としてはそれぞれの医療機関が機能を特化し、それに見合った資源を投入し、質を高め、そして連携していくことが求められているといえよう。そのためには地域全体の診療機能の役割分担と患者紹介情報ネットワークが必須となる。特に病院から診療所への逆紹介の情報システムが連携のための重要な鍵となろう。現在のところ、高機能病院は公的病院が多く、システム全体の効率を考えるとその経営改善が望まれる。私的病院を圧迫せず、公的病院の機能を十分に生かす役割分担がもう一度問われているといえよう。
3)「必要病床数」に関しては、文献レビューを行った。その結果、医療法施行以前は反対意見が多かったが、施行後では計画の問題点を指摘する文献が多い。医療法改正7年後1992年以降はそれまで一貫して増加してきた日本の一般病床が減少に転じ医療計画の効果がではじめたと考えられる。しかし同時に中規模の私的病院を中心に駆け込み増床がみられ,病床過剰に拍車をかけた。国際比較研究から,日本は例外的に多い一般病床を持つことが判明したが,その一部は長期ケア病床として機能している可能性がある。医療計画以降,計算上は地域格差の減少が認められるが,日本の病床は急性期と長期の2種の異なったケアに使われており,現在の必要病床算定法はそれをひとつに捉えており問題があると考えられる。急性期、長期の定義は各国によって様々であるが、平均在院日数を用いることが、辞書の定義や統計上の定義に用いられていることもあり、最も妥当と考えられる。新たな算定式で急性期と長期の必要病床数を算定した。新方式にて必要病床数を計算してもそれほど大きな混乱はないと考えられる。
3「医師需給」に関しては、医師数の将来推計は、条件により大きく結果が異なることが判明した。それらの条件を入力することによって最終結果が判明するソフトの開発が必要とされる。将来の医師数を考える場合、女性医師の動向は重要で、日本でも急増することが予測された。戦後の診療所は医師団塊の世代によって支えられていたが、これらの世代が引退しようとしており、若手の医師への世代交代が始まっていることが判明した。地域分布の分析によると、医師数の数の少ない市町村は減少しておらず、かつこれらの市町村の医師は高齢化しており、将来の無医村化が憂慮される。先進国の時系列の分析では一部の国で医師数と強い相関を持っているが、影響の見られない国も存在した。医師数増加による医師収入に与える影響の分析では、OECD先進国のデータで医師数が増えても医師全体に対する支払のシェアは増加せず、結果的に1人当たりの収入が減少していることが判明した。一方、看護婦では増加し、薬剤費ではばらつきのあることが判明した。米国の必要算定方式は過去2回政府によって行われ、1970年代はエキスパートオピニオンによる疾病ベースの推計、1990年代は受診回数等を勘案した需要ベースの推計であった。米国における推計も問題点が指摘されている。
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