アレムツズマブを用いたHLA不一致同種造血幹細胞移植療法の医師主導治験および造血幹細胞移植領域における医師主導治験発展のための研究

文献情報

文献番号
200706029A
報告書区分
総括
研究課題名
アレムツズマブを用いたHLA不一致同種造血幹細胞移植療法の医師主導治験および造血幹細胞移植領域における医師主導治験発展のための研究
課題番号
H19-再生-一般-003
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
神田 善伸(自治医科大学附属大宮医療センター血液科)
研究分担者(所属機関)
  • 原田 実根(九州大学大学院医学研究院病態修復内科学)
  • 大橋 靖雄(東京大学大学院医学系研究科公共健康医学専攻生物統計学)
  • 中尾 眞二(金沢大学医薬保健研究域医学系細胞移植学)
  • 谷口 修一(国家公務員共済組合連合会虎の門病院血液科)
  • 宮村 耕一(名古屋第一赤十字病院血液内科)
  • 森 慎一郎(国立がんセンター臨床検査部)
  • 千葉  滋(東京大学医学部附属病院無菌治療部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 再生医療等研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
30,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は、アレムツズマブを用いたHLA二座以上不一致の血縁ドナーからの造血幹細胞移植を安全に行うことが可能であることを示すことである。医師主導治験として行い、アレムツズマムの承認申請を行う。また、先端医療領域の医師主導治験における問題点を体験、抽出、解析することによって、今後の医師主導治験のあり方を考察する。
研究方法
対象は、HLA適合または一座不一致の血縁・非血縁ドナーがいないがために移植を行うことができない16?65歳の患者である。移植前処置はシクロホスファミドと全身放射線照射とアレムツズマブ、あるいはフルダラビン、ブスルファン、少線量全身放射線照射とアレムツズマブで行う。主要評価項目は移植後60日以内の生着不全およびグレードIII以上の急性GVHDの発症率とする。アレムツズマブは0.20 mg/kg/dayを開始用量として、3例ずつのコホート法で0.16 mg/kg、0.20 mg/kg、あるいは0.25 mg/kgを投与し、CRM(連続再評価法)の開始用量を決定する。CRMにおいてはGVHD非発現率の期待値が60%を超える確率が90%以上となることを基準として用量選択を行い、最も早く必要症例数に達した用量を推奨用量と定め、その結果を主要変数の評価に用いる。
結果と考察
平成16年12月に治験を開始した。第1コホート(0.20 mg/kg)、第2コホート(0.16 mg/kg)の各3症例いずれもが治療の成功基準を満たしたため、平成19年度より0.16 mg/kgを開始量としたCRMでアレムツズマブの至適投与量を検討している。移植後60日以内の有害事象は第1、第2コホートの6症例において234件、移植後60日以降180日以内の有害事象は第1コホートの3症例で101件出現している。大半は治験薬との関連性が「関連あるかもしれない」に分類されており、その理由は関連性がないと断定する明らかな証拠を提示できないからである。これらの現状から、治験の安全性を損なうことなく合理的に有害事象を管理するための方策を検討する。
結論
本試験の結果として、アレムツズマブによってHLA不一致同種造血幹細胞移植の安全性が高まることが示されれば、適切なドナーがいないために移植を受けることが出来ない多くの患者に同種造血幹細胞移植療法を適応することが可能となる。また、合理的な医師主導治験のシステムを構築することによって造血幹細胞移植領域の医師主導治験が活性化されることが期待される。

公開日・更新日

公開日
2008-06-05
更新日
-