再生医療の研究振興のシステム構築および実施普及に向けた社会受容の在り方に関する研究

文献情報

文献番号
200706026A
報告書区分
総括
研究課題名
再生医療の研究振興のシステム構築および実施普及に向けた社会受容の在り方に関する研究
課題番号
H18-再生-若手-006
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
川上 浩司(京都大学大学院医学研究科薬剤疫学分野)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 厚生科学基盤研究分野 再生医療等研究
研究開始年度
平成18(2006)年度
研究終了予定年度
平成20(2008)年度
研究費
2,700,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
我が国において活発に行われている再生医療研究が現実化した際に国民に受け入れられる素地を形成することを目標とする。
研究方法
平成19年度は、欧州における当該分野の規制の動向およびガイドラインを調査した。また、平成18年度に引き続き、日本国内で再生医療に関係する研究者、企業、臨床試験や医療を行う医療施設・医師、審査当局からのヒアリング結果から、再生医療を推進するにあたっての科学的懸念事項、社会、制度的問題についてまとめ、さらに、産学連携の諸問題や産業化の障壁についても研究した。
結果と考察
再生医療製品開発における規制の枠組みとして、欧州においては、再生医療製品は通常の医薬品の規制となるDir. 2001/83/ECとDir. 93/42/EECとのギャップに入るという判断のもと、2004年以降はATMP規制が導入された。その後、2007年に細胞を利用した医薬品に関するドラフトガイドラインが発表されている。また、日米欧欧州各局の再生医療製品関連ガイドラインにおいてはそれぞれの守備範囲自体はほぼ同様ことがわかった。
 日本国内で再生医療に関係する研究者、企業、臨床試験や医療を行う医療施設・医師、審査当局からのヒアリング結果から、開発上の主な問題点としては、規格・基準、品質管理に関連する意見が多く認められた。また、法規制関連ではバイオロジクス(生物製剤)のカテゴリーの設置の要望が多かった。また、産学連携、産業化に関しては、多くの大学関係者に事業性(知的財産など)、迅速性の重要さ、再生医療製品に関する大量生産による製造の考えなどがないことがわかった。産業化に関して、行政審査費用に関する指摘もあった。米国では審査費用において企業規模が考慮されており、ベンチャー企業は審査費用が少なくてよい、大学は費用がかからないという方法がとられている。しかし科学的審査は一様に行われている。一方、日本では企業規模に関わらず費用は一律であり、また薬事法外であることから大学からは医師主導治験以外の臨床研究は科学的審査とアドバイスのための申請をすることができない。日本の再生医療分野では大学から技術移転されベンチャー企業で製品開発されることが多いことから、産学連携やその後の製品開発を順調に進めていくためにも、欧米のような手法を導入し、ベンチャー企業のような規模の小さい企業が申請しやすい環境を整えることが重要である。
結論
本邦における再生医療の発展と社会への受容の実現のための、科学的懸念事項、社会、制度的問題、産学連携や産業化の障壁の諸問題について研究し、知見を得た。

公開日・更新日

公開日
2008-04-11
更新日
-