文献情報
文献番号
200705033A
報告書区分
総括
研究課題名
建築物における貯水槽の衛生的管理に関する研究
課題番号
H19-特別-指定-025
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
大高 道也((財)ビル管理教育センター(調査研究部))
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 厚生労働科学特別研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
2,070,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
特定建築物等に設置・使用されている受水槽や高置水槽など飲料水を貯水する貯水槽の維持管理方法については,建築物環境衛生維持管理要領を改定するための建築物環境衛生維持管理要領等検討委員会において,貯水槽清掃作業者への健康影響を考慮した見直しが必要ではないかとの指摘がなされた。
一方で,病原体による集団感染など飲用水における衛生上の問題の発生する可能性があるため,貯水槽の清掃については有効な消毒方法を用いる必要がある。
このような背景のもと,適正な貯水槽の維持管理を行うために,貯水槽内における微生物の消毒効果ならびに貯水槽清掃時の消毒剤による健康影響に関する科学的知見の収集を目的に行った。
一方で,病原体による集団感染など飲用水における衛生上の問題の発生する可能性があるため,貯水槽の清掃については有効な消毒方法を用いる必要がある。
このような背景のもと,適正な貯水槽の維持管理を行うために,貯水槽内における微生物の消毒効果ならびに貯水槽清掃時の消毒剤による健康影響に関する科学的知見の収集を目的に行った。
研究方法
建築物における貯水槽の衛生的管理,特に清掃と消毒の在り方に関して,消毒剤の消毒効果とその健康影響等について科学的な見地から5,000件以上の文献を収集した。文献調査で得た知見に基き,専門家で構成する研究委員会において総合的な検証と考察を行った。
研究委員会は,公衆衛生学,微生物・感染症学,環境衛生学,環境医学,水道工学等の専門家で構成した。
研究委員会は,公衆衛生学,微生物・感染症学,環境衛生学,環境医学,水道工学等の専門家で構成した。
結果と考察
貯水槽の清掃と消毒剤,微生物の消毒,消毒剤による健康影響,及び貯水槽の環境保全について知見をまとめた結果は以下のとおりである。
・貯水槽の清掃時には,有効塩素50-100ppmの濃度の消毒剤は,貯水槽内の微生物汚染を防止する上で有効である。
・また,有機物が存在しない条件下では10ppm以下でも微生物を死滅させることができるが,有機物等の存在下では、有効塩素量を50倍、100倍と変化させる必要がある。
・消毒剤の使用においては,条件によっては塩素系ガスなどによる作業者への健康影響の可能性は否定できない。ただし,貯水槽における消毒剤に由来するガス状物質やエアロゾル、副生成物等に関する知見が少ないことから,これに関する研究は今後の課題である。
・いずれにしても,貯水槽の清掃および消毒に当たっては,作業者の安全のために塩素系ガス等に対する防護措置が必要である。
・貯水槽の清掃時には,有効塩素50-100ppmの濃度の消毒剤は,貯水槽内の微生物汚染を防止する上で有効である。
・また,有機物が存在しない条件下では10ppm以下でも微生物を死滅させることができるが,有機物等の存在下では、有効塩素量を50倍、100倍と変化させる必要がある。
・消毒剤の使用においては,条件によっては塩素系ガスなどによる作業者への健康影響の可能性は否定できない。ただし,貯水槽における消毒剤に由来するガス状物質やエアロゾル、副生成物等に関する知見が少ないことから,これに関する研究は今後の課題である。
・いずれにしても,貯水槽の清掃および消毒に当たっては,作業者の安全のために塩素系ガス等に対する防護措置が必要である。
結論
貯水槽の消毒においては、有効塩素50-100ppmの濃度の次亜塩素酸ナトリウム溶液などの塩素剤は,貯水槽内の微生物汚染を防止する上で有効であり,この濃度の塩素剤の使用においては,条件によっては塩素系ガスや消毒副生成物を発生する可能性は否定できないなどの知見を得た。
公開日・更新日
公開日
2008-04-23
更新日
-