シックハウス患者の住宅確保に関する研究

文献情報

文献番号
200705032A
報告書区分
総括
研究課題名
シックハウス患者の住宅確保に関する研究
課題番号
H19-特別-指定-024
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
相澤 好治(北里大学(医学部))
研究分担者(所属機関)
  • 長谷川 眞紀(国立病院機構相模原病院)
  • 岸 玲子(北海道大学大学院医学研究科)
  • 吉野 博(東北大学大学院工学研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 厚生労働科学特別研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
2,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
シックハウス症候群患者が住居の改修や転居先を探す間、公営住宅に当該期間中優先的に入居できる手続きを公営受託事業主体が適切に行うために必要なガイドラインを策定する。
研究方法
公営住宅の目的外使用等を図る際の具体的方法を検討するにあたり、真に住宅確保を要する患者の確認のため、既存の医学的知見を整理した。これらの知見に基づき、住居内化学物質が原因のシックハウス症候群患者が住居対策を行うか、別住居を探す間、患者に公営住宅を目的外使用させる場合等における医学的見地から材料や留意点を整理し、指針となる事項を作成した。指針案に対する厚生労働省、国土交通省及び一部の公営住宅事業主体の意見を聴く会議を2回開催した。
結果と考察
分担研究者は、シックハウス症候群受診患者の住居あるいは職場の室内空気中化学物質を調査し、病因を疑われる住宅内空気汚染や健康被害の実態を把握した。また全般的に経年変化を見れば室内空気中化学物質濃度の減少傾向を示した。さらに、全国的な疫学研究の結果から、シックハウス症候群の原因となる室内環境要因を示し、経年の集合住宅では、湿度環境対策の重要性も指摘された本研究に基づき、シックハウス症候群患者の公営住宅使用に関するガイドラインを作成した。
結論
これまで住宅を保有しているシックハウス症候群患者は、制度上公営住宅に入居でき住めなかったが、目的外使用等を活用する上で、必要な基礎資料、すなわち住宅困窮の判断基準等を作成することで、公営住宅事業主体に目的外使用等の柔軟な運営を促すことができる。基礎資料作成上必要なガイドラインを作成したので、実施上の標準化を図ることができる。すなわち本ガイドラインの対象患者は、住居内の化学物質が原因で健康障害を発症した者で、原則として、クリーンルーム又は専門外来を設置している医療機関のシックハウス症候群について知見を有する医師が作成した診断書が必要である。今後診断書作成に当たる上記医療機関へのガイドラインの周知、シックハウス症候群患者への公営住宅使用に関する事項の周知、公営住宅事業主体への周知が必要と思われる。また保健所など地域衛生主管部局と公営住宅事業主体との連携などが必要になる可能性がある。

公開日・更新日

公開日
2008-05-20
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200705032C

成果

専門的・学術的観点からの成果
シックハウス症候群受診患者の住居あるいは職場の室内空気中化学物質を調査し、病因を疑われる住宅内空気汚染や健康被害の実態を把握した。また全般的に経年変化を見れば室内空気中化学物質濃度の減少傾向を示した。さらに、全国的な疫学研究の結果から、シックハウス症候群の原因となる室内環境要因を示し、経年集合住宅では、湿度環境対策の重要性も指摘された。
臨床的観点からの成果
シックハウス症候群とは、「居住者の健康を維持するという観点から問題のある住宅において見られる健康障害の総称」を意味する用語とされている。厚生労働省科学研究費で相澤・秋山班は下記のような「化学物質によるシックハウス症候群」の診断基準案(2007.12)を作成した。1)発症のきっかけが、転居、建物の新築・増改築・改修、新しい日用品の使用等である。2)特定の部屋、建物内で症状が出現する。3)問題になった場所から離れると、症状が全くなくなるか軽くなる。4)室内空気汚染が認められれば、強い根拠となる。
ガイドライン等の開発
公営住宅の目的外使用等を図る際の具体的方法を検討するにあたり、真に住宅確保を要する患者の確認のため、既存の医学的知見に基づき、住居内化学物質が原因であるシックハウス症候群患者が住居対策を行うか、別住居を探す間、患者に公営住宅を目的外使用させる場合等における指針となる事項を作成した。対象者は、住居内の化学物質が原因で健康障害を発症した者で、原則としてクリーンルーム又は専門外来を設置している医療機関のシックハウス症候群について知見を有する医師が作成した診断書が必要である。
その他行政的観点からの成果
これまで住宅を保有しているシックハウス症候群患者は、制度上公営住宅に入居できなかったが、目的外使用等を活用する上で、必要な基礎資料、すなわち住宅困窮の判断基準等を作成することで、公営住宅事業主体に目的外使用等の柔軟な運営を促すことができる。基礎資料作成上必要なガイドラインを作成したので、実施上の標準化を図ることができる。
その他のインパクト
今後診断書作成に当たる上記医療機関へのガイドラインの周知、シックハウス症候群患者への公営住宅使用に関する事項の周知、公営住宅事業主体への周知が必要と思われる。また保健所など地域衛生主管部局と公営住宅事業主体との連携などが必要になる可能性がある。

発表件数

原著論文(和文)
1件
原著論文(英文等)
1件
その他論文(和文)
11件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
11件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
城川美佳、岸 玲子、長谷川友紀
東京都特別区におけるシックハウス症候群の有病率、電話調査による推計
民族衛生 , 73 , 99-111  (2007)
原著論文2
M,Ishibashi, K,Sakabe, Y,Aizawa et al.
Classification of patients complaining of sick house syndrome and/or multiple chemical sensitivity
Tohoku J.Exp.Med. , 211 (3) , 223-233  (2007)

公開日・更新日

公開日
2016-06-01
更新日
-