文献情報
文献番号
200705030A
報告書区分
総括
研究課題名
食品による窒息の現状把握と原因分析
研究課題名(英字)
-
課題番号
H19-特別-指定-035
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
向井 美惠(昭和大学)
研究分担者(所属機関)
- 才藤 栄一(藤田保健衛生大学)
- 大越 ひろ(日本女子大学)
- 市川 光太郎(北九州市立八幡病院)
- 堀口 逸子(順天堂大学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 厚生労働科学特別研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
4,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
窒息事故の現状を明らかにするために窒息事故の疫学分析および窒息事故の原因となる食品に対するリスクについて食品の物性特徴やヒト側の要因を分析し、食品衛生法等による規制の可否を判断するための基礎的データを得ることを目的とする。
研究方法
大きく3つ(現状分析、食物の要因分析、ヒトの要因分析)の点から研究を遂行した。
第1は食品による窒息事故の現状を明らかにするために、消防本部及び救命救急センターを対象として平成18年一年間の事故例を収集し分析した。第2は窒息の原因となりやすい食品の物性に対するテクスチャー解析について、食物環境(冷やして食べる、熱くして食べる)を考慮して、同一食品の温度による物性の変化の解析を行った。第3は食品によりヒトが窒息する場は咽頭から喉頭の形態の加齢変化および窒息を意識した嚥下機能時の咽頭・喉頭における食塊の動きを解析した。
第1は食品による窒息事故の現状を明らかにするために、消防本部及び救命救急センターを対象として平成18年一年間の事故例を収集し分析した。第2は窒息の原因となりやすい食品の物性に対するテクスチャー解析について、食物環境(冷やして食べる、熱くして食べる)を考慮して、同一食品の温度による物性の変化の解析を行った。第3は食品によりヒトが窒息する場は咽頭から喉頭の形態の加齢変化および窒息を意識した嚥下機能時の咽頭・喉頭における食塊の動きを解析した。
結果と考察
1.窒息の現状調査:乳幼児と高齢者で多く、人口動態統計と同傾向にあった。原因食品は多岐にわたっており、「もち」だけでなく、ご飯類など穀類で事故を起こす可能性が高いことが示唆された。2.原因食品の物性把握:窒息事例で最も多かった餅は、温度が高いほど軟らかく、付着エネルギーは温度が下がると増加した。こんにゃく入りゼリーは、室温に比べて冷温ではかたさ、付着性、破断応力のすべての物性評価項目で測定値が増加する傾向にあり、摂取時の食品の温度変化が小児や高齢者にとって、窒息の原因となると考えられた。3.窒息事故のヒト側の要因分析:窒息事故のヒト側の要因分析では、窒息のリスク部位である中咽頭部の長さと幅の形態的な特徴と嚥下時の咽頭クリアランスが窒息に強く関与していると推察された。
結論
窒息のリスクは摂取食品の形や物性・温度などの食品側の要因と咽頭腔の形態特徴や嚥下機能などヒト側のリスク要因を考慮する必要がある。リスクの高い食品は、咀嚼して食品を充分に粉砕するとともに年齢を考慮した咽頭を通過しやすいように唾液と充分に混和することが窒息を予防する点から重要である。今後さらに窒息の詳細な現状把握と原因分析の必要性が示唆された。
公開日・更新日
公開日
2008-05-13
更新日
-