文献情報
文献番号
200705020A
報告書区分
総括
研究課題名
診療行為に関連した死亡に係る死因救命等のための調査のあり方に関する研究
課題番号
H19-特別-指定-020
研究年度
平成19(2007)年度
研究代表者(所属機関)
木村 哲(東京逓信病院)
研究分担者(所属機関)
- 山口 徹(国家公務員共済組合連合会虎の門病院)
- 高本 眞一(東京大学医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 厚生労働科学特別研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成19(2007)年度
研究費
4,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
診療関連死の実態について、我が国には基本的データがなく、死因究明のための中立的第三者調査組織の立ち上げのためには、その実態把握が求められる。このため、本研究は想定される事例を収集し、混乱なく届け出の判断ができるかどうか検証すると共に、その届け出や調査対象となる事例数の推定する上での問題点を明らかにすることを目的とした。
研究方法
当研究班の班員および研究協力者(合計14人)の経験などから、届け出範囲に該当すると思われる、あるいは届け出るべきか否か迷われるシミュレーション事例を収集し、類型分類した。この作業を通じ、届け出範囲がより明確になるよう、条件を検討した。同時に、届け出が予想される事例数の調査を行う前の検討として、その調査票の妥当性を検討した。
結果と考察
誤った診療行為があるなどの理由で中立的第三者機関に届け出るべきシミュレーション事例、あるいは届け出るべきか否か迷われるシミュレーション事例として85例が収集された。シミュレーション事例を基に事例集を作成した。集められたシミュレーション事例をフィードバックし、班員および研究協力者間あるいは多くの医療関係者で判断の一致率を解析するために活用を開始した。「判断に迷う事例」を減らすための方策を模索した結果、「誤った診療行為」とは「その時点の医療常識から外れ、標準的医療とは言えない診療行為」とし、「標準的医療に伴う、通常起こり得る合併症の発生は誤った診療には含めない」、「誤った診療行為の存在が明らかでないもの」の中に、誤った診療行為が存在しないと思われる場合も含めること、その場合、死因が合理的に説明できない事例は「死亡を予期しなかった」ものとして届け出る、などの注釈をつけることが良いのではないかとの案が考えられた。また、「届け出事例数の予測調査」の調査票は妥当なものであると考えられた。
結論
現在想定されている届け出範囲案によって混乱なく届け出られるためには、「誤った診療行為」と、「合併症」に関する考え方については補足的説明が必要であることが明らかとなった。必要な脚注を判断の流れ図に付したものを提案した。診療行為に関連した死亡の実態(件数など)に関する調査の調査票には特段の問題はないと考えられた。今後、この結果に基づいた届け出範囲に関するガイドライン・マニュアルを作成する必要がある。
公開日・更新日
公開日
2008-06-24
更新日
-